情報①
宅配員の男はヤクザの見習い。浦島は漁師。赤ずきんちゃんは、山奥での修行。そして、白雪姫はモデルの卵。下っ端は、殺すことなく改心させることで片付けた。桃太郎には、俺のスパイになってもらうつもりだ。敵の情報は桃太郎のところに集まる。その情報をごっそりもらうのだ。桃太郎は、生かさず殺さず、泳がせることが良いと判断した。俺は分身仏に、桃太郎が出かけたら連絡するよう伝えた。
『ママ、最近、何か変わった様子とかない?』
『この頃は、いたって平穏よ。』
『レイ姉ちゃんはどう?』
『えーとねえ、変わったことが1つだけあるよ。』
レイちゃんの身の回りに変化があると言うのか。分身仏を護衛につけているが、特に何の報告もないのだが。
『あのね、彩姉ちゃんが、この頃、来ないよ。変わったのは、それくらい。』
それなら大丈夫だ。体育教師の孝に夢中なだけだ。それに、何かあれば、俺にテレパシーで連絡が来るはずだから。とりあえず、まだ、この場所が特定されていないと言うことだ。情報戦は、こちらが優勢とみえる。
『ちひろちゃん、疲れてない。あまり寝てないようだけど。今からでもいいから、少し睡眠とりなさい。』
『大丈夫よ、ママ。』
『ダメダメ。ママの言うことを聞きなさい。はい、赤ちゃんになって、オムツして、ねんねしなさい。』
確かに疲れている。ここは、素直になろう。俺はベビーの姿になった。
『ママ、おっぱい。』
『もう、甘えん坊さんなんだから。』
俺はかすみのおっぱいに、しゃぶりついた。乳首を思い切り吸うと、母乳が体の中に流れていく。と同時に、パワーも入っていくのが分かる。俺も、いずれ誰かに乳首を吸われ、母乳が出るようになるのかなあ。そんなことを考えていたら、あっという間に眠りについてしまった。
『主様、主様。起きて下さい。桃太郎が動きました。』
熟睡してしまった。かすみ、レイちゃんにバレないように着替えて、分身仏の元に飛んだ。山梨の民家には、人の気配は無かった。部屋に入ると、分身仏が待ち構えていた。
『主様、こちらです。』
俺はパソコンの電源を入れ、パスワードを打ち込んだ。
『kibidango』
パソコンは、問題なく立ち上がった。あとは、Mr.Tの用意した手順書通りの作業を進めた。そして、3分ちょうどでインストールは終了した。
『引き続き、見張りを頼むぞ。』
俺は、桃太郎の民家を後にした。行き先は、Mr.Tの事務所だ
。
『お待たせ、Tおじちゃん。桃太郎のパソコンにウイルスをインストールしてきたよ。上手く行くかなあ?』
『ちひろ様、連日の活躍、ご苦労様です。その姿の方が話しやすくて助かります。』
Mr.Tは恋愛が苦手とみた。子供の姿の方が接しやすいらしい。
『パソコンで、どんな情報の交換をしているのか、監視できるのね。』
『もちろん。それ以上のことも可能です。ハードディスク内のファイルも全て見られる。これから、ダウンロードする。』
Mr.Tは、遠隔操作を始めた。桃太郎のパソコン内のウイルスが動き、こちらからのアクセスを阻むことなく、侵入できた。奴らの情報は完全に無防備となったのだ。Mr.Tの作業に無駄はない。キーボードを叩く音が部屋に響いた。
『向こうから、ここの場所を特定される危険はないのかしら。』
『それは限りなく、ゼロに近い。私と同じ技術を持つものがいれば、可能性はあるが、世界に数名しかいないだろう。桃太郎では無理だ。』
『もしも、敵の方が上手で、あえて危険を冒していたとしたら、どう?つまり、ウイルスを侵入させることで、逆にこっちの情報を得ようと考えたとしたら。』
『了解。念のために、簡単に逆探知されないよう、海外の拠点を数箇所通し、迂回しているから、仮に桃太郎の能力が高かったとしても、ここに辿り着くには、相当な時間と労力がかかるはず。さらに、セキュリティーを上げて万全にしよう。それと、万が一のことを考え、このパソコンはサーバーと切り離し、そして、ファイルは空にしておく。まあ、杞憂だと思うが、それでも心配なら、情報を掴んだ段階で、こちらから、奴のパソコンを破壊するよ。』
『大丈夫よ。あなたのことを信頼しているから。』
『それで、最新のメールの中に、何か気になるものはない?』
『後で詳しく見るが、一つだけ知らせておいた方がいい情報がある。3日前にメールを受信している。それを受けて、すぐに送信をしている。これだ。』
敵は、確実に動き出していることが判明した。




