第5話 十二人のTIME
村の入口へ辿り着いたころには、夕日は森の向こうへ半分以上沈み、空の端が赤紫色に染まり始めていた。
高い城壁も立派な門もない小さな村で、畑と牧草地を囲むように木造の家々が集まり、その中央を一本の道が通っている。家々の煙突からは夕食の支度らしい白い煙が上がり、畑仕事を終えた人たちが鍬や籠を抱えて家へ戻っていた。
ほんの少し前まで死ぬことを覚悟していたせいか、そんな当たり前の生活の風景を見ているだけで、胸の奥に張りつめていたものが少しずつ緩んでいく。
私の右側では赤が肩を借りながら歩き、左側では緑が脇腹を庇っている。黄色は緑の本と自分の金貨袋を両方抱え、何度も私たちの様子を確認しながらついてきていた。
村の入口には簡素な木柵があり、槍を持った二人の男が見張りに立っていた。私たちを見るなり、そのうちの一人が赤と緑の傷に気づき、すぐにこちらへ駆け寄ってくる。
「おい、その子たち怪我してるじゃないか。森で魔物にでも襲われたのか?」
「違います。街道で……TIMEに会いました」
その名前を口にした瞬間、それまで怪我の具合を気にしていた二人の表情が明らかに変わった。一人が「TIMEだと?」と聞き返したので、私は黒い服に大小さまざまな時計の模様があったこと、左手には黒い《1》が刻まれていたこと、先に進んだ兵士と賞金稼ぎたちまで倒されていたことを説明した。
二人は険しい顔で見つめ合った。
「街道へ兵士と賞金稼ぎが向かったって話は来てたが……本当にいたのか」
「倒れてた人たちは増援の兵士さんたちが助けてくれました。でも赤と緑も怪我してるので、今日はここで休ませたいんです」
男はそれ以上詳しく聞こうとはせず、すぐに木柵を開いてくれた。
「だったら話はあとだ。村の中央に雑貨屋がある。薬も包帯も扱ってるし、その向かいには宿もあるから、まず怪我人を休ませろ」
「ありがとうございます」
私たちは二人へ頭を下げ、村の中へ入った。
ところが、歩き始めて間もなく道端へ積まれていた薪が崩れ、乾いた木材が地面へ落ちる大きな音が辺りへ響いた。その瞬間、私は何が起きたのか確かめるより先に黄色の腕を掴み、自分の後ろへ引き寄せていた。
赤も痛む肩を忘れたように音のした方向へ振り返り、緑は脇腹を押さえながら黄色が持っている本へ手を伸ばしている。
けれど、そこには誰もいなかった。
崩れた薪を積み直そうと、村人が慌てて走ってきただけだった。
「悪い悪い。驚かせたか?」
「……大丈夫です」
そう答えてから、私は黄色の腕を強く掴んだままだったことに気づいた。
「ごめん。痛かった?」
「大丈夫でぷ」
黄色はそう言ったものの、自分も金貨袋を胸へ強く抱き寄せている。赤も緑もすぐには警戒を解かず、何もいないと分かっているはずの道の先をしばらく見つめていた。
誰もTIMEの名前を口にしていないのに、四人とも同じものを思い出していた。
戦いは終わった。
黒衣の人物も、もうここにはいない。
それでも身体の中には、まだあの音の消えた森が残っている。
私は黄色から手を離し、三匹がそばにいることをもう一度確かめてから歩き出した。
◇
村の中央にある雑貨屋へ入ると、乾燥させた薬草の匂いが鼻へ入ってきた。壁一面の棚には保存食や縄、火打ち道具、包帯、小瓶に入った薬などが並び、天井からは何種類もの薬草が束にして吊るされている。
店番をしていた年配の女性は赤と緑を見るなり椅子を二脚出し、まず赤の右肩から背中を確認してくれた。腕をどこまで上げられるか、どこを押すと痛むのかを丁寧に確かめていくうち、最初は平気そうな顔をしていた赤も、肩甲骨の近くを押された瞬間には耳をぴんと立てた。
「そこは痛いでぷ!」
「だったら最初から痛いって言いな。腕はどこまで上げられる?」
赤が右腕を動かしてみたものの、肩より少し高いところまで来ると顔が歪んだ。女性はそこで止めさせ、「骨が折れてる様子はないけど、かなり強く打ってるね。しばらく右腕で重いものを持たせるんじゃないよ」と私たちへ念を押した。
続いて緑の左脇腹を診てもらうため、服を少し持ち上げる。
そこには青黒い痣が広がっていた。
戦っている最中は、ここまでひどくなっていることに気づかなかった。黒衣の人物に吹き飛ばされた光景が頭へ蘇り、私は思わず息を呑んだ。
女性は緑に深く呼吸をさせながら痛む場所を確かめ、何か所かを慎重に触った。
「こっちも強い打ち身だね。骨に大きな異常はなさそうだけど、今日は歩き回らないこと。明日の朝になって痛みが強くなってるようなら、もう一度来な」
「分かりました」
診察を終えた女性は棚から小瓶を二つ、包帯を二巻、それから青みがかった葉を二束取り出し、受付台へ並べた。
「傷薬が二つ、包帯が二巻、腫れを抑える冷却草が二束。今夜と明日の朝に使える分で、一銀Bと四赤Bだよ」
黄色は値段を聞くとすぐに金貨袋を開き、「俺が払うでぷ」と銀B一枚と赤B四枚を取り出した。
私は止めずに「ありがとう」と答えた。
すると黄色は少し不思議そうな顔をしたあと、金貨を大切に扱うときと同じ真剣さで、「仲間の怪我を治すお金なら、使っていいお金でぷ」と言った。
お金が大好きな黄色らしい言い方なのに、なんだか嬉しかった。
女性は硬貨を一枚ずつ確認してから治療用品を紙へ包み、傷薬は汚れを落としてから薄く塗ること、冷却草は水で濡らした布へ包んで腫れている場所へ当てることを教えてくれた。
私が礼を言って紙袋を受け取ろうとすると、女性がふと思い出したように尋ねた。
「さっきTIMEに会ったって言ってたね。左手の番号は、本当に《1》だったのかい?」
「はい。黒い服に時計の模様もたくさんありました」
女性はそこで小さく息を吐き、私たち四人を順番に見た。
「それなら間違いないね。あんたたち、生きて帰れて本当によかったよ」
その言葉に、誰もすぐには返事をしなかった。
少し前までなら「そんなに危ない人なんですか?」と尋ねていたかもしれない。
今は聞く必要がなかった。
私たち自身が、それを知っている。
◇
雑貨屋の向かいには、《森鹿亭》と書かれた木の看板が下がっていた。
扉を開けると、一階は十卓ほどの食堂になっていて、村人や旅人たちが夕食を取っている。煮込んだ肉と野菜の匂いが漂い、その奥には受付と二階へ続く階段があった。
大柄な宿の主人は赤と緑の様子を見ると、事情を細かく聞くより先に壁へ掛けられた部屋札を確認した。
「四人だな。四人部屋が一つ空いてる。夕食と朝食、それから湯を使って三銀Bだ。怪我人がいるなら夕食は部屋まで運ばせる」
「お願いします」
黄色が金貨袋から銀Bを三枚取り出し、受付台へ一枚ずつ並べた。
治療用品に一銀Bと四赤B。
宿泊に三銀B。
昨日は初めて自分で赤Bを稼げたことが嬉しくて、それだけで旅をしていけるような気がしていた。でも実際には、食事をし、眠る場所を確保し、怪我を治すだけでもお金が必要になる。
黄色が三枚目の銀Bを置いたところで、私は思わず「旅って、お金かかるんだね」と呟いた。
黄色は真剣な顔で何度も頷いた。
「だからお金は大事でぷ」
「黄色が言うと説得力あるね」
主人は三銀Bを確認して革袋へしまい、代わりに木製の鍵を差し出した。
「二階の一番奥だ。湯は裏手にあるが、怪我してる二人は長く浸からせるなよ」
「ありがとうございます」
◇
部屋には四つの小さなベッドと丸いテーブル、荷物を置くための棚があった。豪華ではないものの、鍵の掛かる部屋と柔らかい寝床があるだけで、森の中とは比べものにならないほど安心できた。
赤と緑をベッドへ座らせ、私は雑貨屋で教えてもらった通りに手当てを始める。
まず赤の肩と背中についた土を濡れた布で拭き取り、傷薬を指先へ取った。
「痛かったらちゃんと言ってね」
「我慢できるでぷ」
「我慢できるかじゃなくて、痛かったら言うの」
そう念を押してから腫れている場所へ薬を薄く伸ばした瞬間、赤の身体がびくりと跳ねた。
「痛いでぷ!」
「ごめん! ここ?」
「そこが一番痛いでぷ……」
「じゃあもっとゆっくりやるから、動かないでね」
薬を塗り終えると、冷却草を包んだ濡れ布を腫れている場所へ当て、その上から包帯を巻いていく。
続いて緑の左脇腹へ向き合ったとき、私は改めて広がった痣を見た。
私を守ろうとして前へ出た結果だと思うと、胸の奥が痛んだ。
謝ろうとして、やめた。
ここまでの道で、赤も緑も言ってくれた。
自分たちで決めて戦ったのだから、全部を私一人のせいにするな、と。
だったら今は謝るより、少しでも丁寧に傷を治すほうがいい。
私は緑へ声を掛けながら傷薬を塗り、黄色に包帯の端を持ってもらって身体へ巻いていった。
「きつくない?」
「大丈夫でぷ。さっきより楽になったでぷよ」
「よかった」
治療を終えるころには、窓の外はすっかり暗くなっていた。
◇
夕食は宿の主人が部屋まで運んでくれた。
野菜と肉を煮込んだ温かいスープ、黒パン、それから四人分の飲み物が丸いテーブルへ並ぶ。赤は肉を見た瞬間だけ怪我を忘れ、勢いよく身体を起こそうとして傷が痛んだらしく、すぐに顔を歪めた。
私が「だから急に動いちゃ駄目って言ったでしょ」と叱ると、赤は「お肉が見えたら身体が勝手に動いたでぷ」と真剣な顔で答えた。
「そんな身体ある?」
緑と黄色が笑い、私もつられて笑った。
その声が聞こえることが、今は嬉しかった。
食事が半分ほど進んだところで、私はスプーンを置き、ずっと気になっていたことを緑へ尋ねた。
「TIMEについて、知ってることがあったら教えてほしい。全部じゃなくていいから、分かってることだけ」
緑は少し考えてから頷いた。
「TIMEが何のために動いてるのかは分かってないでぷ。突然どこかに現れて、珍しい道具とか宝とか、貴重なものを奪っていく。それを何度もやってるから手配されてるでぷよ」
黄色が「お金を盗むのでぷ?」とすぐに反応したので、緑は「お金だけじゃないでぷ」と説明を続けた。
国が持つ宝や珍しい道具、古い遺物なども奪われているものの、何のために集めているのかは分かっていないらしい。
理由が分からないということが、かえって不気味だった。
私は今日見た黒い左手を思い出した。
「あの《1》は?」
「あれはTIMEの番号でぷ。手配書には《1》から《12》まであるでぷよ」
「十二人もいるの?」
思わず声が大きくなった。
今日遭遇した一人だけで、兵士も賞金稼ぎも、私たちも何もできなかった。それと同じTIMEがあと十一人いると知った途端、目の前の温かい部屋が少し狭くなったような感覚がした。
黄色も驚いたように「十二人全員、顔も分かってるのでぷ?」と尋ねたが、緑によれば顔まで手配書に出ているのは七番までで、八番から十二番は番号が存在することこそ確認されているものの、顔は分かっていないという。
赤は自分の包帯へ目を向けた。
「今日の《1》であれだけ強かったなら、《12》はもっと強いのでぷ?」
「番号が強さの順番だって確認されてるわけじゃないでぷ。ただ、懸賞金は《1》から番号が上がるほど高くなってるでぷよ」
「じゃあ十二番が一番高いの?」
私が聞くと、緑は頷いた。
「そうでぷ。だから《12》がTIMEの中心にいるんじゃないかって見られてるでぷ。でも、TIME自身が十二番をリーダーだって言ったわけじゃないでぷよ」
今日遭遇したのは《1》。
十二ある番号の最初。
それでも私たちは死ぬ寸前まで追い込まれた。
その先に十一人いると考えるだけで、無意識に指先へ力が入った。
赤も同じことを考えたらしく、肉を持ったまま難しい顔をした。
「……十二人全部とは、絶対に会いたくないでぷ」
赤がそう言うと、黄色も何度も頷いた。私も同じ気持ちだったし、緑も否定することなく、傷ついた本を膝の上で静かに閉じた。
分かったことより、分からないことのほうがずっと多い。
TIMEは十二人いる。顔まで知られているのは《1》から《7》までで、《8》から《12》は番号の存在こそ確認されているものの、顔は分かっていない。懸賞金は番号が上がるにつれて高くなり、《12》には十二人の中で最も高い懸賞金が掛けられているため、世間ではTIMEの中心にいる人物ではないかと見られている。
けれど、TIME自身が何かを説明したわけではない。
なぜ各地から貴重なものを奪っているのかも、《12》が本当にリーダーなのかも、今日の《1》から聞こえた甲高い音が何だったのかも分からない。
私は無意識にスプーンを握る手へ力を込めていた。
考え始めれば、あの森へ戻ってしまう。
音の消えた世界で黒衣の人物が目の前に立ち、私へ向かって腕を持ち上げた瞬間が、何度でも頭に蘇ってくる。
私は意識して手から力を抜いた。
「今日はもうTIMEのこと考えるのやめよう。考えても分からないことばっかりだし、ご飯も冷めちゃうから」
「賛成でぷ」
赤は待っていましたとばかりに肉へかぶりついた。黄色も食事を再開し、緑は本をベッドの横へ置いてからスープの器を手に取る。
そんな三匹を見ているうちに、胸の奥に残っていた重苦しさが少しだけ薄くなった。
全員、生きている。
今夜は、それで十分だった。
◇
食事を終えると、私たちは明日の朝まで身体を休めることにした。
赤と緑には雑貨屋で買った冷却草をもう一度当て直し、包帯がずれていないことも確認した。黄色は使ったお金が気になるらしく、ベッドの上へ金貨袋の中身を広げ、治療用品に一銀Bと四赤B、宿に三銀Bを使ったと指を折りながら確認している。
「減ったでぷ……」
黄色が悲しそうに硬貨を見つめたので、私は隣へ腰を下ろした。
「でも、必要なお金だったでしょ?」
「分かってるでぷ。赤と緑の傷を治すためならいいでぷ」
黄色はそう言いながら、一枚ずつ丁寧に袋へ戻していく。
「でも、このままずっと使ってたらなくなるでぷ。旅を続けるなら、また稼がないと駄目でぷよ」
「うん。私もそう思ってた」
昨日、初めてQUESTを達成したときは、自分でお金を稼げたことそのものが嬉しかった。でも今日一日だけで、傷薬や包帯を買い、四人で宿へ泊まるために銀Bを何枚も使っている。
旅を続けるには、ただ目的地へ向かって歩けばいいわけではない。
食べるためのお金がいる。眠る場所にもお金がかかり、怪我をすれば薬だって必要になる。
「赤と緑がちゃんと治ったら、またQUESTを探そう。危なくない仕事を選んで、少しずつ旅のお金を貯めようよ」
黄色は満足そうに頷いた。
「それがいいでぷ。フールちゃんもお金の大切さが分かってきたでぷね」
「なんで黄色が先生みたいになってるの?」
「お金については俺が先生でぷ!」
得意げな黄色を見ていると、思わず笑ってしまった。
その隣のベッドでは、赤がすでに横になっている。
「俺はお肉の先生でぷ……」
「そんな先生いらないよ」
「必要でぷ……美味しいお肉の見分け方を教えるでぷ……」
声がだんだん小さくなる。
どうやら本当に眠いらしい。
緑も欠伸をしながら布団へ入った。
今日は四人とも疲れている。
私も灯りを消し、自分のベッドへ潜り込んだ。
◇
ところが、身体は疲れているはずなのに、私はなかなか眠れなかった。
窓の外では風が吹き、村を囲む木々の葉が擦れ合っている。階下から聞こえていた人の声も少しずつ減り、やがて宿全体が静かになっていった。
目を閉じる。
すると、昼間の森が浮かんだ。
黒い服。
そこに刻まれた大小さまざまな時計。
白に近い髪。
左手の《1》。
そして、音が消える。
風も、葉も、赤たちの声も聞こえなくなり、目の前に黒衣の人物だけが残る。
腕が上がる。
今度こそ振り下ろされる。
私は目を開いた。
心臓が速く鳴っていた。
暗い部屋の天井が見える。
黒衣の人物はいない。
ここは森ではなく、村の宿だ。
分かっているのに、すぐには身体から力を抜けなかった。
そのとき、隣から小さな音が聞こえた。
「……でぷ……」
赤の寝言だった。
見ると、赤は布団から片足を出したまま眠っている。
反対側のベッドでは緑が穏やかな寝息を立て、黄色は金貨袋を胸元へ抱きしめて丸くなっていた。寝返りを打った拍子に袋の中で硬貨が触れ合い、じゃら、と小さな音が鳴る。
私はその音を聞きながら、ゆっくり息を吐いた。
聞こえる。
赤の寝息も、緑の呼吸も、黄色の金貨袋も、窓の外を吹く風も聞こえている。
当たり前だった音が、今夜はどれも大切に思えた。
私は布団を胸元まで引き上げた。
怖くなくなったわけではない。
明日になっても、黒い服を見れば思い出すかもしれない。大きな物音に驚くかもしれないし、森へ入れば周囲ばかり気にしてしまうかもしれない。
それでも、旅をやめたいとは思わなかった。
お父さんとお母さんを探したい。
まだ知らない場所へ行きたい。
三匹とも、もっと一緒に旅をしたい。
そのために必要なのは、何があっても怖がらないことではない。
危ないものを怖いと知ったうえで、それでも生きて進むことなのだと思う。
明日の朝になったら、まず赤と緑の傷を確認する。それから村の人に街道の様子を聞き、安全に進める道を選んで、また四人で歩き出そう。
今度は目的地へ着くことだけを考えない。
危険なら逃げる。
怪我をしたら休む。
お金が減ったら、無理のないQUESTを探して稼ぐ。
そんなことを一つずつ覚えながら旅を続ければいい。
「……おやすみ」
三匹を起こさないよう、小さな声で呟いた。
返事はない。
代わりに、三匹の穏やかな寝息が聞こえてくる。
私はその音を確かめながら、今度こそ目を閉じた。
TIMEとの最初の遭遇で刻まれた恐怖は、まだ胸の奥に残っている。
それでも明日になれば、私たちはまた歩き出す。
今度はただ前へ進むのではなく、四人そろって生きて次の場所へ辿り着くために。
そう考えているうちに、張りつめていた身体から少しずつ力が抜け、私はようやく眠りへ落ちていった。




