結城美姫の試練と秘薬の告白
月曜日の午後三時半、文科省の緩やかな教育政策のおかげで、渡辺徹は人間観察部に行かざるを得なかった。
活動教室の前で心を落ち着け、ドアを開けて中に入った。
ここは一体どこだ……ドアの向こうの光景を見て、彼の最初の感想はそれだった。
教室の半分以上を占めていた雑貨はすべて消え、代わりに巨大な本棚が設置されていた。だがそこに並んでいるのは漫画、ライトノベル、アニメのDVD、それにゲームソフトばかりだ。
壁には半面を占める大型液晶テレビが掛けられ、その脇には各種家庭用ゲーム機がずらりと並んでいる。
首を捻ると、冷蔵庫、ソファ、デスクトップパソコン、精巧なティーポット、食器棚が目に飛び込んでくる。
元々壁際に置かれていた長机と、清野凛と彼の二人のスチール製の椅子だけはそのまま残っており、今ではひどく貧相に見えた。
結城美姫は脚を組んでソファに座り、勝者が美酒を味わうように茶を飲んでいた。一方の清野凛は相変わらず真剣に単行本を読んでいるものの、渡辺徹には彼女の身上から苛立たしい気配が漂っているように感じられた。
明らかに二人はすでに言い争いをした後だった。
渡辺徹は当時の光景を想像した。
二人が意見を衝突させた末、結城美姫が言ったに違いない。「試験に勝てば、当然ここを元通りにする。その実力があるかどうか次第よ」と。
ナルシストなほど自信に満ちた清野凛は、当然のようにその挑発に乗った。
口論が終わっただけなら助かる。渡辺徹は今、結城美姫に手を出されることよりも、むしろ自分が彼女の清野凛への対抗手段として利用されるのが嫌だった。
彼は清野凛のことが好きではない。その毒舌さえ嫌いだ。だが、彼女の嘘をつかない品格だけは尊敬していた。
相手は本を貸してくれたこともある。立派な女性だ。
渡辺徹は自分の席に歩み寄り、思わず口にした。「スチールの椅子も取り替えないんですか?」
長く座っているとお尻が痛くなる。
「私に何かを命じているの?」結城美姫は平静に返した。
「いえ、全然」渡辺徹は慌てて否定した。
結城美姫は手にした精巧なティーカップを置き、腕を組んだ。「私があなたに何もしないとでも思っているの?私に強引にキスをした件は、こんなに簡単に済むものではないわ」
読書をしていた清野凛が顔を上げ、渡辺徹に視線を向けた。
「自分から……自分から先に」
渡辺徹は言い続けるべきか迷った。結城美姫の笑みの中に、身の毛のよだつような殺気を感じたからだ。
彼はその笑みを避け、清野凛の軽蔑的な視線を見つめ、ふと思いついた。結城美姫は、清野凛が人の嘘を見抜けることを知っているのだろうか?
彼は言った。「結城さん、あの日御茶ノ水で、僕は本当にあなたを助けようとしたんです。不良に襲われていると思いました」
「そう?」結城美姫は肯定でも否定でもしなかった。
「清野さんとは昔からの知り合いでしょう?彼女が嘘を見抜けることは知っているはずです。信じないなら彼女に聞いてみてください」
「なぜ私があなたの証言をするの?」清野凛は小さく首を傾げ、疑問そうに言った。
今、可愛らしさを装う時期なのか?この女は絶対に、前回の挑発の仇を討っている。渡辺徹はそう直感した。
「清野さん、これは僕の名誉に関わります。お願いします!」
清野凛は少し考えてから言った。「結局のところ、あなたも人間観察部の一員だ。こんな汚名を着せられては、私にも迷惑がかかるわ。証言するわ。彼はさっき、嘘をついていません」
渡辺徹は期待を込めて結城美姫を見つめた。もし相手が信じてくれたら……
「それがどうしたの?」結城美姫はどうでもいいという様子で言った。「私が一番面白いと思う漫画を一冊取ってきなさい」
渡辺徹は彼女の真意が測れず、本棚まで歩いて『デスノート』を取り出した。
「僕の中での神作です。『このマンガがすごい!』で二位も獲得しています」
結城美姫は受け取り、ページをめくりながら命令した。「デザートを」
渡辺徹はジュースやデザートで満たされた冷蔵庫から、桜をモチーフにしたスイーツを幾つか取り出した。
結城美姫は二ページほど読み、視線の隅で渡辺徹がまだそばに立っているのを見て、嗤った。「どうしたの?また欲しいの?」
彼女は組んでいた脚を入れ替えた。
渡辺徹は思わず、新しいハイソックスに目をやり、すぐに視線を逸らした。一度見たのは本能だ。二度見しないのは、渡辺徹の意志力の強さ故だ。
「違います。まだ話があるんです」
「気に入らない?」結城美姫の笑みは冷酷さを増していった。
「好きです。もちろん好きです!」
結城美姫の笑みが満足げとなった瞬間、清野凛の嘲笑が突然響いた。
「嘘をついているわ」
笑みは瞬く間に残酷なものに変わった。だが渡辺徹は恐れるどころか、嬉しくなった。
相手の反応こそ、清野凛が嘘を見抜けることを信じている証拠ではないか!
「『治癒薬』を三錠、交換」
「結城さん、あの薬は偶然手に入れたもので、残りは三錠だけです。処方箋も持っていません。それに僕以外、両親を含め誰もこのことを知らないんです!」渡辺徹は大声で頭を下げた。
成功するだろうか?
もし成功すれば、彼を日々悩ませていた元凶はここで終わらせられる。その後は十分な時間をかけて自分を磨き上げ、結城家に復讐することができる。
しばらくの沈黙の後、結城美姫は手にした『デスノート』を閉じ、清野凛に言った。「彼は本当のことを言っているの?」
「なぜ私があなたに教えるの?」清野凛は手元の単行本に視線を戻した。
結城美姫は視線を渡辺徹に移し、表情は次第に険しくなった。
「清野さん、どんな条件でも飲みます!」渡辺徹は泣きそうな声で言った。
「そう。じゃあ遠慮なく頼むわ」清野凛は人差し指を顎に当て、思案ぶりに言った。「夏が来たわ。飲み物を買ってきてくれる人が欲しいわ」
「これから何でも飲み物を買いに走ります!」
「お金は?」
「僕が払います!」
清野凛は満足げな笑みを浮かべた。「渡辺くんはいつも嘘をつく嘘つきに違いないわ。だけど、さっきの言葉は真実だと証明してあげる」
渡辺徹は感謝して頷き、それから一瞬たりとも目を離さず結城美姫を見つめ、彼女の反応を待った。
結城美姫は再び『デスノート』を開き、五ページほど読んでからまた閉じた。
「つまらないわ」
「え?」
「あなたが選んだ漫画、つまらないわ」
「あの、結城さん、薬の話をしているんです」
「私は漫画の話をしているわ」結城美姫は渡辺徹をじっと見つめ、平静に言った。
渡辺徹はすぐに身の程をわきまえた。
「男性向けは気に入らないかもしれません。新しく選びます。この『ハチミツとクローバー』は『このマンガがすごい!』女性向けで二位を連覇しています。あとこの『君に届け』も非常に評判がいいです」
渡辺徹は二冊の漫画を探し出し、ソファの脇まで歩み寄った。だが結城美姫は見向きもしなかった。
「ついてきなさい」彼女は立ち上がり、腰をくねらせ、高嶺の花のような姿勢で活動教室を出て行った。
渡辺徹は漫画を置き、後からついていった。
「戻ってくる時、レモンティーを一本買ってきてちょうだい」清野凛は頭も上げずに指示した。
「生きて戻れたらですが」
「あら、そんなに重大なの?嘘をつくなと先ほど言ったわ」
「今回の件が無事に終わったら、二度と嘘はつきません!」
「この言葉自体が嘘ね。だけど私のレモンティーのために、頑張りなさい」
渡辺徹は結城美姫に従い、人影のない体育器材室に来た。
黒いスーツを着た静流が、いつの間にか彼女の側に現れていた。
「私を騙そうなんて?」
結城美姫の声が落ちた瞬間、静流は渡辺徹の腹に一撃を繰り出した。
「ぐふっ……」渡辺徹は腹を抱えた。
結城美姫、滞在停止】
「どう処分されても構いません。両親だけは傷つけないでください。彼らは本当に何も知らないんです。僕は本気であなたのことが好きなんです。もう嘘はつきたくない」
彼は十万ポイントを使って即座に達人級の『フリースタイル格闘』を交換し、苦痛から逃れ、面目を立て直すこともできた。
だが故郷の両親を巻き添えにしないために、少年の気概や面目など取るに足らない。自分が苦しんだところで、何の問題もない。
「やるべきことだけをする」彼は心の中でそう呟き、身体の痛みを和らげようとした。
「私のことが好き?」結城美姫は冷笑した。「残りの薬はどこ?」
「ここにあります」渡辺徹は無理やりポケットから三錠の薬を取り出した。途中で静流に奪い取られた。
結城美姫は一瞥し、再び渡辺徹に視線を戻した。
「好きなように処分していいわ?」
「両親だけは傷つけないでください」
「骨があるじゃない、意外と」結城美姫は口元を上げた。
「死にたいの?」結城美姫は冷たい声で彼を遮った。
「すみません!できることなら生きていたいです!」渡辺徹はすぐに謝罪した。
「生きていたい?私を騙しておいて、何の権利があるの?」
「僕は頭がいいんです!結城家のために働きます!」
「頭がいい?」結城美姫は一瞬きょとんとした後、大声で笑い出した。
「今回の試験、必ず一位を取ります!大学も東京大学理科三類に合格します。結城家が政治に就かせるなら政治、商売に就かせるなら商売につきます!」
東京大学理科三類は宇宙人しか合格できないと言われ、同じ東大の他学部の学生からも仰ぎ見られる存在だ。
だがこれは結城美姫にとって、あまりに馬鹿げていた。
東大の学生など何ものでもない。東大卒の銀座クラブのホステスも少なくない。
彼女はむしろ前の部分に関心を示した。
「試験で一位を取れるって言っているわね?つまり、あなたの方が私より頭がいいって言うの?」結城美姫は星のように輝く瞳を細めた。
「試験の成績が良いことと、頭がいいことはイコールではありません。結城さまは知らないかもしれませんが、僕の成績は元々全校三位です。中学時代はすべて独学だったのに。入学して二ヶ月、今回は一位を取れると確信しています」
「独学?試験が得意だとしても、一位を取れたところで、それがどうしたの?」結城美姫はどうでもいいという様子で言った。「全国一位は毎年出るわ。彼ら全員が私に仕える資格があるわけでもない。神川塾の一位などなおさらよ」
「……」
「他に理由は?」
数人の黒服の男たちが音もなく近づいてきた。
「実は……実は、用心棒にもなれます」エビのように丸まって地面に横たわる渡辺徹が言った。
結城美姫は聞き間違えたかと思った。「何て言った?」




