ゴールデンウィークのバイトと月例試験の順位
月例試験が終了し、俗にゴールデンウィークと呼ばれる長期休暇に入った。期間は四月二十九日から五月五日まで。
渡辺徹が桜の咲き誇る頃に上京してきたのは、もはや一ヶ月前のこと。桜は散り果て、木々には青々とした葉が繁っていた。
故郷は田植えの季節になっている頃だろう。
毎年この季節になると、渡辺徹の今世の両親は午前四時に家を出て田植えに出かけ、昼休みに少し家に戻る以外、一日中田んぼで過ごす。
幼い頃、渡辺徹は利口だったため両親が可愛がり、手伝おうとすれば家で本を読むか遊ぶように言われた。少し成長して村に田植え機が導入される頃には、彼自身の体力が完全に衰え、草取りの手伝いさえままならなくなった。
長時間前かがみでいられず、雑草の鋭い縁に肌は簡単に切られ、ヒルは執拗に血を吸い、アブが頭上で旋回してうっとうしい限りだ。
「実はジャガイモ栽培ならまだできるんだけどな」
考えれば考えるほど、自分が勉強以外何の取り柄もないように思えた渡辺徹は、独り言で弁解した。
ジャガイモ栽培は、塊茎を切り、穴を掘り、埋めて、山から拾ってきた枯れ葉を敷くだけで済むのだから。
休暇前、渡辺徹は家族に電話をかけ、今回のゴールデンウィークは東京でバイトをし、夏休みに帰省すると伝えた。
私服に着替えた渡辺徹は電車に乗り、新宿の街角へ向かい、バイト先の洋服店「ワルゴ」を見つけた。
「渡辺徹君だね?君の仕事は正面の交差点で看板を持つだけ。疲れたら少し休んでもいいが、長時間休んではいけない。分かったか?」
「分かりました」
ワルゴのある交差点は新宿の歓楽街の入り口で、ここに立てば、出入りするほとんどの女性を観察できる。
ただ、数時間看板を持ち続けるなんて……
渡辺徹は元々、交通量調査のバイトを探していた。座ったままカウンターで歩行者や車両を数えるだけの仕事だ。だが世の中、都合よくいくわけもない。
交通量調査のバイトは存在するものの、この交差点にはなかった。
仕事を探していなければ、赤線地帯近くに学生がずっと滞在していれば、警察に職務質問されるに決まっている。
それに、ターゲットを探しながらバイトをすれば、お金も稼げる。手持ちの金は四千円余りしか残っていない。
こうした力仕事は、デパートの店員よりもはるかに稼げる。
手持ちのポイントは換金すればかなりの金額になるが、彼は知力、体力、魅力の強化に貯めておきたい。それに五月まであと二日あり、その時に欲しいスキルが出現するかもしれない。
渡辺徹は看板を持ち、人通りの絶えない交差点に立った。ここには彼の他に、着ぐるみを着てチラシを配る人々もおり、同じような仕事をしていた。
往来する人は多いが、通りがかる女性全員に探知機を使うのは現実的ではない。
若くない者、可愛くない者、独身でない者、服装が開放的でない者は除外だ。
「イケメンさん、一緒にカフェに行かない?」
「え?幸恵、このイケメン、塾生に決まってるじゃない!」
「イケメンならそれでいいの。もしかしたら童貞だし!」
渡辺徹は目の前の話しかけてくる女性を見た。シャツの襟元は開け、大胆に鎖骨を見せ、非常に色っぽく、見た目は可愛らしかった。
人物:黒田幸恵
魅力:5
対象外
「すみません、今バイト中です。もしお洋服をお求めなら、ぜひワルゴをご利用ください」
言い終わると、渡辺徹は一礼してその場を離れた。
化粧術に騙されたとは!
彼の予想では、魅力は6はあるはずだったのに!
黒田幸恵という女は追いかけようとしたが、「警察がいるわ」と仲間に引き止められた。
隣でメイド姿でチラシを配る女子大生が笑って言った。「すごくモテていますね」
「静かにバイトしたいだけなのに」渡辺徹は苦笑いを浮かべた。
この女子大生も、最初に会った時からずっと話しかける機会をうかがっている。
東京では年上の女性と年下の男性の恋愛が流行っているのか?それともイケメンなら何でもありなのか?
辺鄙な村で育ち、全校の教師と生徒を合わせて五人、年齢層も幅広かった渡辺徹は、これほどモテた経験は一度もなかった。
東京に来てからは、ラブレターも声をかけられることも多くなった。
彼はふと、前世の新海誠の映画『君の名は。』の台詞を思い出した。
「来世、東京のイケメンにならせてください」
もしかしたら東京のイケメンの日常はこんなものなのか?自分が大袈裟に反応しすぎただけなのか?
新しい身分に慣れなければならない。
立っていると脚が痛くなり、腕も上がらなくなった。渡辺徹は三回の使用機会を使い果たしたが、ターゲットは一人も見つからなかった。
彼はできるだけ美貌の際立つ女性を選んで探知機を使った。魅力は先ほど声をかけてきた黒田幸恵の5を除き、他の二人は6と7だったが、いずれも対象外と表示された。
魅力が8に達しなければならないのか、それとも魅力以外に満たすべき隠し条件があるのか、定かではない。
看板を店に返却し、本日の給料を受け取った。通常は日払いではないが、ゴールデンウィークの臨時スタッフは日払いに対応してもらえた。
四時間働いて、計5200円。
時給1300円は非常に高い水準だが、仕事内容もそれに見合って過酷だ。
この仕事を続ければ、体力が4、さらには5に上がるのも時間の問題だと渡辺徹は感じた。
だが彼はまだ甘かった、この社会を甘く見ていた。
社会人の女性、特に新宿のクラブに通う女性は化粧術が巧みで、実際の美貌よりも高く見えるのが常だ。
化粧なしでも中性的な美貌が際立つ彼がここで攻略対象を探すのは、ポイントと時間の無駄遣いに過ぎない。
やはり塾が良い。校則で化粧が厳しく禁じられている。どんなに美意識の高い女子でも薄化粧をする程度で、髪を少し明るく染めるくらいしかできない。
探知機に費やした1000ポイント、夜の弁当代を合わせると——昼食は洋服店が支給してくれた——一日で九千円以上の損失になった。
その後のゴールデンウィーク六日間、渡辺徹は途中で国井修や斎藤恵介と秋葉原に一回遊びに行った以外、ずっとバイトと勉強に明け暮れ、新宿歌舞伎町でポイントを浪費することはなかった。
期間中、五月一日の未明にゲームモールがリフレッシュされた。
アイテム:探知機一個/1000、治癒薬一粒/1000
所持金:100円/1ポイント
知力:1ポイント/10万ポイント
魅力:1ポイント/1万ポイント
体力:1ポイント/5千ポイント
スキル:入門―挿花100、習得―料理1000、熟達―運転1万、達人―フリーファイト10万
渡辺徹は新たに追加された治癒薬を詳しく調べた。名前の通り、怪我を治癒するだけで病気は治せない。
だがそれでも十分だ。即死しない限り、ポイントさえあれば生き延びられる。
附則第一条の「プレイヤーの死亡は本ゲームと一切関係なく、復活義務を負わない」という文言は、常にこれが単純な恋愛ゲームではないと彼に感じさせていた。
とにかく備えておいて損はない。
次に今月の五つのスキルを確認した。「料理」以外の四つはすべて新規スキルだ。
渡辺徹は達人級の「フリーファイト」に強く興味を惹かれた。
男で興味のない者はいるまい。
自ら喧嘩を仕掛けなくても、喧嘩が強いに越したことはない。所謂「君子は器を身に蔵す」、人には「人が我を犯さざれば我も人を犯さず、人が我を犯せば我必ずその命を取る」という底力が必要だ。
それに習得級の「料理」も、附則の解釈によれば十分に美味しい料理を作れるレベルで、デパートの弁当とはおさらばできる。
食べきれない分は学校に持って行って昼ご飯にすれば、さらに節約できる。
って、待て!
節約するよりもポイントを節約すべきだ!次にもっと良いスキルが出るかもしれない。例えば「フリーファイト」、それとも「フリーファイト」。
達人級の「フリーファイト」はどうしても欲しい!
彼は、ゲームが自分をチャラ男に誘導し、ポイントを稼がせようとしているのではないかと疑う十分な理由があった。
五月三日、午後七時。
签到日数:玉藻好美・一週間
プレイヤーは签到報酬を獲得
所持金:十万円
魅力半額引換券(プレイヤーの魅力は10未満に限り、1ポイントのみ引換可能)
魅力1ポイントは一万ポイント、半額にしても五千ポイント必要だ。現在の手持ちポイントは四千しかなく、今後も探知機を引換続けなければならない。
もしポイントが足りれば、魅力を1ポイント上げて「東京イケメン」の道をさらに極めたいところだ。
五月六日、登校初日。
午前の授業では、教師も生徒も休暇モードから抜け出せず、浮ついた雰囲気に包まれていた。
昼休みになると、校舎の掲示板に月例試験の順位が張り出された。
「見に行くか?」斎藤恵介が他の二人に問いかけた。
「そんなもの見ても仕方ない!」国井修は興味がないと言った。
二人の会話から、普段の順位が大体推測できる。
斎藤恵介は全校二十位以内を争える実力がある。神川塾では毎年、その層から一流大学に合格する生徒が出る。一方国井修の順位は下から数えた方が早い。
渡辺徹は考えて言った。「二十分後にしよう。今は人が多すぎて近づけない」
二十分後、昼休みも後半になれば、食堂もパン屋も掲示板も、混雑した人々が散っていく。
「ああ」斎藤恵介は頷き、携帯を取り出して二人にゲームを紹介した。
国井修は見て言った。「このゲームか、俺ずっとプレイしてるけど、ハマるな!絶対に!」
斎藤恵介は不思議そうに問いかけた。「なぜ?」
「宣伝詐欺だと疑う!SSRがガチャプールに入っていないに決まってる!」
「運が悪いだけだろ」渡辺徹は笑った。
「んなわけない!俺の運が悪いわけがない!」国井修は断固としてゲーム会社のせいだと主張した。
「そうだ」渡辺徹は家庭科の授業のことを思い出した。「国井、山口直美とはどうなった?」
国井修は得意げに照れ笑いを浮かべた。「えへへ、最近毎日LINEでチャットしてるんだ」
「この野郎!おごるの忘れるなよ!」斎藤恵介は彼の肩を一拳叩いた。
「何のおごり?」
「約束忘れたか?誰が彼女を作ったら、他の二人にご飯をおごるんだ!」
「分かった分かった!」
渡辺徹はこの時、静かになった。彼と玉藻好美の関係は、カウントに入らないだろう。
三人はしばらく話した後、一階の掲示板に向かった。まだ数人の生徒が集まっている。
渡辺徹は上位から順に目を滑らせた。
「順位:一;氏名:清野凛」
まあそうだろう。
「順位:二;氏名:結城美姫」
「……」
「順位:三;氏名:渡辺徹」
良かった、元の順位を守れた。
これほど頑張ったのに順位が落ちたら、本気で荷物をまとめて故郷に帰り、畑で働く両親の前にひざまづかなければならないところだった。
斎藤恵介は感心して言った。「すごいな、渡辺!ずっと五位以内をキープできれば、東京の名門大学に推薦入学できるぞ!」
「ずっとこの実力をキープできれば、推薦など必要ない」渡辺徹はどうでもいいと言った。
斎藤恵介は頷いた。「その通りだな」
「お前は何位?」
「良くできたと思ったのに、三十一位だ。両親に相談して、塾に通うことを考えてる」
「もう塾に通うの?」
「一歩遅れればずっと遅れる。小泉指導教諭も『最初が肝心だ』って言ってた」
渡辺徹は頷き、ずっと黙っていた国井修に視線を向けた。「国井、試験の結果は?」
国井修はしかめっ面で言った。「百二十一位だ」
全四クラス、各クラス四十人の計百六十人。百二十一位は下位層に相当する。
渡辺徹は彼の肩を叩いた。「諦めるな。俺たち三人、今回の結果はどれも芳しくない。一緒に頑張って、次の試験こそ成績を上げよう」
「お前が芳しくないわけないだろ!」国井修は怒りを込めて渡辺徹を見つめ、その大きな声で通りがかりの人々の注目を集めた。
「国井、ゴールデンウィークの間に一つ悟ったことがある」
「人間には限界がある、人間をやめるってか?」
渡辺徹は首を振り、真剣に言った。「東京のイケメンとして、成績が一位じゃなくても、常に進歩し続けなければならない。それが魅力になるんだ」
「失せろ!」




