ライカvsグレイヴッツ#01
「もう目標を見つけることができてもいいはずだけど、誰からも伝令がないな。一体どうなっているんだ。共に行動をしていた騎士たちも姿が見えなくなってしまった」
カイオルは一人森の中を彷徨っていた。
共に行動していた騎士たちもいつの間にやら、姿が見えなくなってしまった。
全てこの幻惑の霧の影響である。
「だからといって、誰かの声が聞こえるわけでもなく物音もしない…か。これはただの霧ではないようだな。もしそうだとするのであれば」
カイオルは目を閉じ一つ呼吸をする。
その後ゆっくり目を開く。
「鬼眼」
カイオルの眼に鬼の魔力が宿り変化する。
「うん、やはりこの霧には魔力が含まれていたか。鬼の眼なら魔力の流れを見ることが出来る」
辺りを見渡し様子を伺う。
「あちらから強い魔力が感じ取れるな。いってみるか」
再び森の中を進み始める。
カイオルが向かう先では、ライカとグレイヴッツの攻防が激しく行われていた。
「竜帝と称され崇められたライカの実力もこんなものか」
2人がぶつかりあう度に空気が震える。
基本的に近接での戦いだ。
「アンタみたいな奴に言われたくないわ。それも同族殺しをする奴にね」
「考えが古いな。なぜ竜族が殺し合うことでお互いの力を得ることが出来るのか、考えたことがあるか?」
「考えたくもない」
「種族として強い者を生み出し種を守るためさ。ライカ、お前も忘れたとは言わせない」
「なんのこと?」
「とぼけるつもりか?」
グレイヴッツがライカを弾き飛ばし、炎弾を飛ばし追撃を仕掛ける。
それに対し、ライカは地面を殴り壁を作り出し防ぎ、反撃として風の刃を仕掛ける。
それを綺麗にグレイヴッツは捌いていく。
見た感じでは実力は互角だ。
「私はアンタとは違って護る側」
「その手は多くのドラゴンの血に染まっているぞ?」
「寝言は寝ていいなよ」
「…本当に覚えていないのか?」
グレイヴッツの表情が明らかに怒りに変わる。
「先代の仕業か? なぜいつもライカだけを特別に扱う?」
「何言ってるの」
「俺も同じアークドラゴンだぞ。ライカが先天性だから? たったそれだけの理由で全てが許されるのか? ミストセルラルの奴らも、何かあればいつもライカを優先していた」
「何を言ってるのか全く分からないけど、戦いの最中だよ!」
一瞬の間で距離を詰め攻撃を仕掛けるライカ。
しかし、グレイヴッツはそれを片手で防ぎライカを捕まえる。




