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リライト・デッドエンド  作者: 未確定ログ
第1部 欠けた世界編 -崩壊-
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第五十二話 残したいもの

「お前は、何を残したい」


巨大な目の声が、世界へ響く。


静寂。


崩壊しかけた空。


重なり続ける世界。


その中心で。


悠真は、結衣を見る。


結衣は泣いていた。


でも。


ちゃんと笑おうとしていた。


最初に死んだ時と同じだった。


“自分より、悠真を優先する顔”。


悠真は苦しそうに笑う。


「……ずるいよな」


結衣が目を瞬かせる。


悠真は空を見上げた。


巨大な目。


観測。


世界。


全部を敵にしてでも、守りたかった。


でも。


本当に欲しかったものは。


“誰も消えないこと”。


それだけだった。


悠真の背後。


無数の“消えた存在”が立っている。


彼らは叫ばない。


責めない。


ただ。


悠真を見ていた。


忘れないでほしい。


その願いだけを残して。


悠真はゆっくり目を閉じる。


そして。


答えを口にした。


「……全部だ」


巨大な目が止まる。


「世界も」


「結衣も」


「消えた奴らも」


悠真の声は震えていた。


「誰かを切り捨てる終わりなんか、認めない」


レンが目を見開く。


先行保持者が、小さく笑った。


「やっと言ったか」


巨大な目が静かに瞬く。


「不可能」


即答だった。


「全保存は、世界容量を超過する」


「不要記録の削除は必須」


悠真は首を振る。


「だったら、世界の方を変えろ」


静寂。


巨大な目が止まる。


観測者たちも沈黙する。


悠真の黒い瞳に、無数の世界が映る。


「なんで“消える前提”なんだよ」


「なんで最初から、“忘れる世界”しか作れない」


黒い波が広がる。


記録の海。


消えた存在たちの記憶。


その全部が、悠真へ重なる。


悠真が一歩前へ出る。


「だったら俺が」


空間が軋む。


世界法則が揺れる。


「“忘れない世界”を作る」


その瞬間。


黒い太陽が、再び脈動した。


だが今度は違う。


破壊じゃない。


収束。


無数の世界。


無数の記録。


全部が、悠真の周囲へ集まり始める。


レンが息を呑む。


「再構築……?」


先行保持者が目を見開く。


「まさか、“新しい観測”を……」


巨大な目が、初めて警戒ではなく、“未知”を見るように揺れた。


「前例なし」


悠真が右手を空へ伸ばす。


黒いノイズ。


白い光。


無数の記録。


全部が混ざり合う。


そして。


悠真の背後に、“巨大な扉”が現れた。


真っ黒な扉。


その表面には。


無数の名前が刻まれていた。

読んでいただきありがとうございます。

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