裕斗の誕生日祝い
今日は夏木 裕斗の誕生日です。
Twitterの方でも絵を投稿しましたが、こちらでも小説を投稿します。
十一月九日。
「裕斗、誕生日おめでとう」
ファートルに来た裕斗にまず出迎えたのは、リーダーのその言葉。彼女は優しく笑いながらコーヒーを準備してくれていた。
「愛良、カレーを準備してやれ」
「了解」
裕斗が座ると、愛良がカレーを目の前に置いた。
「いいのか?」
「誕生日祝いだ。去年は祝ってやれなかったからな」
去年のこの時期、怪盗団は起死回生を狙っていた。そのため誕生日を祝うことが出来なかったのだ。
裕斗がカレーを一口食べると、
「……うまい。いつも食べているかレートは少し味が違う気がするが……」
「そうか。それ、蓮が特別にブレンドしたカレーだ」
愛良のその言葉に裕斗は顔を上げた。蓮はニコッと笑いかける。
「ちなみにこのコーヒーも、ボクが特別にブレンドしたものだ」
そう言われながら目の前にコーヒーも置かれる。裕斗はそれを一口飲み、
「……あぁ、俺の好みの味だ」
胸のぬくもりを感じながら、呟いた。
食べ終えると、「兄さん、あれを」と義明に指示を出す。
「了解、蓮」
「まだ何かあるのか?」
裕斗が身構えていると、義明はケーキを持って出てきた。
「蓮お手製のケーキだよ。誕生日おめでとう、裕斗」
――裕斗、ケーキよ。お誕生日おめでとう。
不意に、母を思い出した裕斗は涙を流す。最初で最後の、母からの誕生日プレゼント。
三人は、それを優しく見守っていた。




