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第57話 終焉の一閃

 蒼銀。


 灰銀。


 二つの光が、第四層を裂く。


 ペケとヒオリは、同時に深淵へ踏み込んだ。


「――《星灰連理》」


 巨大な星灰剣が輝く。


 神話級術式。


 その刃は、空間そのものを歪めながら、“黒い星”へ一直線に伸びていた。


『やめろ』


 原初の黄金眼が、初めて明確な恐怖を滲ませる。


『それを振るうな』


「――嫌」


 ヒオリの蒼い瞳が揺れる。


「もう誰も泣かせない」


 その瞬間。


 星霊第二位階が完全展開された。


 蒼銀の星輪が、空へ幾重にも広がる。


 無数の星々。


 そして。


 歴代封星巫女たちの光が、ヒオリの背後へ集まっていく。


『お願い』


『終わらせて』


『自由に』


 涙みたいな声。


 ヒオリは小さく頷く。


「うん」


 そして。


 隣を見る。


 灰銀の王子。


 ペケは、真っ直ぐ前だけを見ていた。


「ぺけ」


「ああ」


「行こう」


「当然だ」


 次の瞬間。


 二人は同時に加速した。


 轟!!


 第四層全域へ衝撃波が走る。


 速い。


 もはや人間の領域じゃない。


 黒霧。


 空間断裂。


 全部を突き破りながら、二人は“黒い星”へ一直線に迫る。


『止めろォォォォォ!!』


 星喰いが咆哮した。


 巨大な闇が溢れ出す。


 無数の黒腕。


 黒炎。


 深淵そのものが二人を呑み込もうとする。


 だが。


「――断て」


 灰銀の光。


 ペケの斬撃が、空間ごと闇を切り裂く。


「――星よ」


 ヒオリの星光が、黒霧を浄化していく。


 完全共鳴。


 二人の力が、一切ズレていない。


「っ……!」


 アステリアが息を呑む。


「これが、本来の灰銀と星霊……!」


◇◇◇


 原初の黄金眼が、静かに歪む。


『何故だ』


『何故、そこまで繋がれる』


 その声には、理解できないものへの恐怖があった。


 すると。


 ペケが低く言う。


「簡単だ」


『……』


「今回は」


 灰銀の瞳が細まる。


「一人じゃない」


 ヒオリの胸が熱くなる。


 その瞬間。


 星灰剣が、さらに巨大化した。


 蒼銀。


 灰銀。


 そして。


 歴代封星巫女たちの光まで、刃へ重なっていく。


『やめろ』


 星喰いの声が震える。


『それは、“終わり”の術式だ』


「そうだよ」


 ヒオリが静かに答える。


「だから終わらせる」


 次の瞬間。


 二人は同時に剣を振り下ろした。


 ――斬。


 世界が光に染まる。


 第四層。


 黒霧。


 巨大な門。


 全部を貫いて。


 星灰剣が、“黒い星”を真っ二つに裂いた。


『――――――!!』


 絶叫。


 世界そのものが悲鳴を上げる。


 黒い星へ亀裂が走る。


 ドクン。


 ドクン。


 脈動が乱れる。


「効いてる!!」


 レオンハルトが叫ぶ。


 だが。


 次の瞬間。


 原初の黄金眼が狂ったように開いた。


『認めぬ』


 黒い星が暴走する。


 第四層全域へ、崩壊波動が広がった。


「まずい!!」


 セオドアが叫ぶ。


「核が暴走します!!」


 その瞬間。


 フィアが前へ飛び出した。


「っ!?」


 ヒオリが目を見開く。


『フィア!?』


 白銀髪の少女は、泣きそうに笑っていた。


『ありがとう』


『ここまで来てくれて』


 蒼い瞳が、真っ直ぐヒオリを見る。


『でも、最後の封印は必要なの』


 空気が凍る。


「だめ!!」


 ヒオリが叫ぶ。


 だが。


 フィアは静かに首を振った。


『違う』


 小さな笑顔。


『今度は、“封印”じゃない』


 その瞬間。


 フィアの身体が、巨大な星光へ変わった。


 歴代封星巫女たちも、一斉に輝き始める。


『わたしたちが』


『最後に道を開く』


 星光が、“黒い星”へ突き刺さる。


 すると。


 暴走していた黒い星が、一瞬だけ止まった。


『今!!』


 フィアの叫び。


 その瞬間。


 ペケとヒオリは、再び星灰剣を構える。


 互いを見る。


 そして。


 同時に頷いた。


「――終わらせる」


「――もう誰も泣かせない」


 蒼銀と灰銀。


 最後の光が、深淵を貫いた。

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