表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/121

第56話 深淵の眼

 “もう一つの黄金眼”。


 門の奥。


 さらに深い闇の中で、それは静かに開いた。


「……っ」


 ヒオリの全身へ悪寒が走る。


 今までの星喰いとは違う。


 もっと深い。


 もっと古い。


 見ているだけで、魂を呑まれそうになる。


『……起きた』


 フィアの顔から血の気が引く。


 白銀髪の少女が震える。


『だめ……』


『あれだけは、だめ……!』


 その瞬間。


 巨大な黄金眼が、ゆっくりこちらを向いた。


 空気が止まる。


 第四層全域が静止したみたいだった。


『――見つけた』


 低い声。


 だが。


 今までの星喰いの声と違う。


 もっと静かで。


 もっと冷たい。


 それはまるで、“本物”の声だった。


「な、んだよ……」


 レートが震える。


「まだ上がいるのかよ……!」


 アステリアが苦しそうに息を呑む。


「……原初個体」


「え?」


「星喰いの、本来の核です」


 翡翠の瞳が揺れる。


「今までのものは、あくまで“分体”」


「本当に世界を喰らった存在が、あれ……」


 誰も言葉を失う。


 その時だった。


 黒い星が激しく脈動する。


 ドクン!!


 第四層全域へ黒霧が噴き出した。


「っ!?」


 ヒオリが息を呑む。


 同時に。


 黄金眼の少女の身体へ巻き付いていた黒鎖が、さらに締め上がった。


『ぁ……ッ』


 少女が苦しそうに声を漏らす。


「やめて!!」


 ヒオリが叫ぶ。


 だが。


 原初の黄金眼は、静かに笑った。


『器は戻せ』


『それが役目だ』


「違う!!」


 蒼銀魔力が爆発する。


 星光が広がり。


 黒鎖を浄化し始める。


『……星霊』


 原初の黄金眼が細まる。


『今代は、よく吠える』


 次の瞬間。


 空間が裂けた。


「っ――!!」


 ヒオリの目前へ、巨大な黒爪が現れる。


 速い。


 避けられない。


 だが。


 ――斬。


 灰銀の光。


 ペケが割り込む。


 轟音。


 黒爪と灰銀剣が激突し、周囲空間が崩壊した。


「ぺけ!!」


「下がるな」


 低い声。


 灰銀の瞳が鋭く細まる。


 だが。


 原初の黄金眼は静かだった。


『灰銀』


『やはり、お前は邪魔だ』


「光栄だな」


 即答。


 その瞬間。


 ペケの灰銀魔力が、さらに膨れ上がった。


 第四層全域へ、銀色の稲妻が走る。


 だが。


 原初個体の圧が強すぎる。


 空間そのものが軋んでいる。


「まずい……!」


 セオドアが顔色を変える。


「このままだと黒冠が完全開放します!!」


 すると。


 フィアが震える声で叫んだ。


『心臓を!!』


『今すぐ壊して!!』


「でも!」


 ヒオリが苦しそうに少女を見る。


「あなたたちは!?」


『大丈夫』


 フィアが、泣きそうに笑った。


『わたしたちは、もう十分待ったから』


 その瞬間。


 歴代封星巫女たちの残滓が、一斉に星光へ変わる。


『お願い』


『終わらせて』


『自由になりたい』


 ヒオリの瞳から涙が零れた。


「……絶対」


 蒼い瞳が揺れる。


「絶対、みんなを解放する」


 その瞬間。


 星霊第二位階が、さらに強く脈動した。


 蒼銀の星輪が増える。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


「なっ……!?」


 アステリアが目を見開く。


「第二位階が、進化してる……!?」


 だが。


 ヒオリ自身も止められない。


 胸の奥から、力が溢れてくる。


 歴代星霊。


 歴代封星巫女。


 その願い全部が、自分へ流れ込んでくる。


 その時だった。


 ペケが静かにヒオリの肩へ触れる。


「……行くぞ」


「ぺけ」


「全部終わらせる」


 灰銀の瞳。


 その奥に、迷いはなかった。


 ヒオリは小さく頷く。


「うん」


 二人は同時に前へ出る。


 星灰剣。


 蒼銀と灰銀が編まれた神話級武装。


 その刃先が、黒い星を真っ直ぐ指した。


 すると。


 原初の黄金眼が、初めて僅かに歪む。


『……やめろ』


 静かな声。


 だが。


 そこには、確かな“恐怖”が混ざっていた。


 その瞬間。


 ペケとヒオリは、同時に踏み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ