表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/121

第110話 空の災王

 空間の奥で。


 巨大な蒼黒の瞳が、こちらを見ていた。


◇◇◇


 その瞬間。


 世界から音が消えた。


◇◇◇


「……ぇ」


 ガブの声が震える。


 立っているだけで苦しい。


 呼吸が重い。


 心臓を掴まれているみたいだった。


◇◇◇


『……観測確認』


 ノアの声が、珍しく僅かに乱れていた。


王級存在ゼルヴァリオン


『第一封鎖域突破を確認』


◇◇◇


「第一封鎖域って何……」


 レートが青ざめる。


◇◇◇


『説明を簡略化します』


『本来、“世界側”が侵入を拒絶している状態を封鎖域と呼称します』


『現在、突破されました』


◇◇◇


「簡略化して最悪なんだけど!?」


◇◇◇


 空が軋む。


 巨大な瞳が、ゆっくり開いていく。


◇◇◇


 その視線だけで。


 雲が裂けた。


◇◇◇


「……うそ」


 アイリスが息を呑む。


「見ただけで……?」


◇◇◇


『ゼルヴァリオン』


 アズラエルが低く頭を垂れる。


 あの怪物が。


 まるで臣下みたいに。


◇◇◇


『空王よ』


◇◇◇


 次の瞬間。


 空門が、さらに裂けた。


◇◇◇


 巨大な“指”が現れる。


 黒より深い蒼。


 星みたいな紋様。


 世界とは異なる魔力。


◇◇◇


「っ……!」


 ヒオリの星痕が激しく疼く。


 蒼銀光が漏れ出した。


◇◇◇


「ヒオリ!?」


 ペケが即座に支える。


◇◇◇


「これ……駄目……」


 ヒオリの顔色が悪い。


「近い……」


「何がだ」


◇◇◇


 ヒオリは震える瞳で、空を見た。


◇◇◇


「あれ、“星”の力使ってる……」


◇◇◇


 静寂。


◇◇◇


 アステリアの表情が凍る。


「……ありえない」


◇◇◇


「知ってるの?」


 レートが振り返る。


 アステリアは、苦しそうに唇を噛んだ。


◇◇◇


「星録時代に、一度だけ記録があるの」


「え……」


「あれは、“星喰い”」


◇◇◇


 空気が凍る。


◇◇◇


「星を……喰う?」


 ガブが呆然と呟いた。


◇◇◇


「世界外生命体」


 アステリアの声が重い。


「文明ごと空を侵食して、星霊そのものを喰らう災厄」


◇◇◇


 その時。


 セラが小さく震えた。


◇◇◇


「……お姉ちゃん」


◇◇◇


「え?」


 ヒオリが目を見開く。


◇◇◇


 セラは、空の奥を見ていた。


 泣きそうな顔で。


◇◇◇


「あそこに……いる」


◇◇◇


 直後。


 ゼルヴァリオンの瞳が、ヒオリ達を見下ろした。


◇◇◇


 ドクン――。


◇◇◇


 空間全体が脈動する。


 その瞬間。


 ヒオリの脳裏へ、大量の光景が流れ込んできた。


◇◇◇


 崩壊した空。


 燃える方舟。


 泣き叫ぶ人々。


 黒い翼。


 蒼銀の少女。


◇◇◇


「っぁ……!!」


 ヒオリが頭を押さえる。


◇◇◇


「ヒオリ!!」


◇◇◇


 だが。


 その瞳は、空を見たままだった。


◇◇◇


「……知ってる」


 小さな声。


「私、あれを知ってる……」


◇◇◇


 全員が息を呑む。


◇◇◇


 その時だった。


 ゼルヴァリオンの巨大な指先が、ゆっくりこちらへ向く。


◇◇◇


『――星霊』


◇◇◇


 声。


 直接、頭の中へ響く。


◇◇◇


『見つけた』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ