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 シオンと別れて、部屋で「飛翔の黄金翼」のレシピをまじまじと見つめてうっとりしていた。見ているだけでタブレットにレシピが追加されているのが更に嬉しい。レシピのうちいくつか既に持っている素材があるのが更に嬉しい。


 図鑑をコンプリートするためには絶対に作る必要がある「賢者の石」の初めてのとっかかりができたのが本当に嬉しい。そう思うとシオンとの出会いは悪くなかったなと今更に思えてきた。


 ローズさんの期待もシオンが埋めてくれそうだし、これで気兼ねなくひとりで採取続けられると思うと解放感もある。シオン様様だな。その日はアイデアが湧いてきて、火龍のシリーズのとっかかりが見えた。





 シオンを押し付けられそうになっているローズたちといえば、宿屋の部屋でいつもどおり3人でミーティングと称しておやつをつまみながらごろごろしていた。


「マキノに最初、友達を代わりにって提案された時には半信半疑だったけど、今日会った限り、シオンなら行けそうな気がしたんだけど二人はどうだった?」


「そうね。わたくしも大丈夫な気がしているわ。錬金術のレベルもマキノほどじゃないけれど高いし、MP総量もそこらの冒険者よりも多いし、器用に回復、支援、攻撃魔法も使え、防御力も高いのであれば足を引っ張られることもなさそうだし。脂ぎった荒くれの冒険者のおっさんに比べて、はるかに爽やかな好青年って言った感じで見場も悪くないし、ローズを見て上気していたのは大目に見てあげるわ。」


「そうだよね。努力家で錬金術師の常識を覆してまで夢に向かう姿は好感だと思ったから協力するのはいいよ。わたしも支援魔法中心だけじゃなくて、錬金スキル覚えることができたら、攻撃の幅が増えそうで面白そうだし。」


「そうそう、ミントとキャッシーは錬金スキル上げていかないとね。本当マキノっていろいろ規格外だったわね。冒険者が錬金スキル使うという発想もそうだけど「眠り薬」を自分であおるだなんて想像もしたことなかったわ。」


「わたくしたちも一度飲んでみましょうか。わたくしMP総量上げたいもの。高位のダンジョンで気兼ねなく魔法使いたいわ。」


「そうね、シオンも回復魔法使えるのなら、ミントは他の魔法を使うことができるようになるかもしれないわね。ミントがいくらでも使えるようになったら、BランクからAランクになれるかもしれないわ。


 錬金のレベルが上がれば常時自分たちで回復薬も作れるようになるかもしれないし、そうなれば無敵になれるかも。シオンが話していた「罠避けの指輪」マキノのレシピだそうだけど、あの効果聞いてびっくりよね。本当マキノは規格外だったんだなって思ったけど、あれがあればダンジョンかなり楽になるわよね。」


「確かに罠避けがあれば、歩く時びくびく神経使いすぎなくてモンスターに集中できるし、瀕死の時にこちらから攻撃しなければ、モンスターに襲われなくなるのは安心だわ。」


「楽になるのは大歓迎だよ。わたしマキノがシオンにあげたって言っていた「風龍の防具シリーズ」あれ欲しくなったんだけど、シオンがレシピ覚えてきてくれるのなら、風の谷に再度挑戦しにいきたいんだけど。前はぎりぎり風龍倒して瀕死で帰還したから、周辺のアイテムも採取しきれていなかったしね。」


「ああ、風の谷、本当逃げ帰ったっていう感じだったわね。あれから私たちレベルもあがったことだし、シオンが入ってくれたら戦力もアップするし、リベンジするのはいいかもね。


 「風龍の防具シリーズ」なら私も欲しいわ。あれSクラスよね。シオンはぜんぜん知らなかったみたいだけど。あれは普通に売っていないし、レシピ公開されていないから作れる錬金術師も少ないし、冒険者からみたら高嶺の花なのに。」


「そうそうシオンは初めての防具がSクラスってすごいデビューよね。他にも指輪とか護符とかマキノから聞いていると過保護な親がどれだけ世話やいているんですかっていうレベルだったけど、錬金術のレベルは高くて常識がないというのか、マキノは本当その辺のバランスが取れてないというのか。初めての友達なのかな。シオン大事にされているわね。」


 しみじみそんな話がされていたが、マキノはシオンを大事にしていたわけではなく、「風龍の防具シリーズ」は「ミノタウロスシリーズ」よりもただ単純に重たくて歩きにくかっただけで余っていただけだし、下手に防御力低くて巻き込んで大怪我するのを見るのは嫌だっただけだったんだけど、どんどん誤解されてしまっていた。マキノは規格外だけど友達思いのいい子だとそうローズたちに位置づけされて夜は更けていった。



 その頃シオンといえば、MPをほぼ使い切り残量を無くしてから、ベッドに座り覚悟を決めて「眠り薬」を飲んでみた。ものすごく良く寝たという感じで目が覚めたら本当に5分ぐらいしか経っていなくて、ステータス確認するとHPもMPもMAX回復していた。


 マキノは凄いな。よく一人でこんな荒技思いついたものだな。これでいけば一晩で何個も容量の大きなアイテムが作れて、経験値も手に入れてレベルもガンガン上がる。確かに。これを毎日ずっと続けていたとしたら、マキノのレベルも真実味がある。


 ただこつこつ作っていただけというのは本当だったんだな。普通の人には絶対思いつかない方法だけどマキノは凄いよ。


 自分より年下のマキノに嫉妬した日々もあったが、聞けば何でも答えてくれ、何も秘密にするつもりもない大盤振る舞いのマキノに呆れることも多いけど、自分の夢にやっと手が届く手ごたえを感じられてマキノみたいに一晩中錬金を続けてしまった。


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