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次の日、シオンのリクエストでわたしが行った中で一番レベルが高いダンジョンに行くことにした。既に行ったことがあるところへは魔法でも魔法陣でも一瞬で行けるので何も問題はないし、高位のダンジョンの一番深いところもセーフポイントに登録していたらこっちも一瞬で行ける。
それよりも事前にシオンとパーティ登録する方が面倒だったけど、ギルド長に定期報告するのと一緒に手続きしてもらった。手続きの合間にしきりにシオンとはどんな奴なんだとギルド長がしつこく確認してきて、品は良いが仮面を被った少々黒いが、好奇心旺盛なやつと答えて、錬金については自分と少し似ているというと納得してくれたようだ。
あっという間にダンジョンの最奥部に到着した。どうせならとボス戦に向かってみる。シオンは初めてのダンジョンに恐るおそるでしきりにきょろきょろしていたが、「罠避けの指輪」を身に着け、持っていて余っていたそれっぽい防具を渡して身に着けてもらったら、それなりに防御力を上げていたせいもあって、途中何匹かモンスターと出会ったがそうびくびくせずに横を通り抜け無事にボスの部屋の前にたどり着いた。
「ダンジョンって思ったより普通に歩ける場所なんですね。」
「うん、罠もモンスターも全部本当に避けていたし、この指輪結構使えるね。」
マキノも今回は「罠避けの指輪」を身につけ、本当にモンスターが避けるのか見ていたため途中で戦いはしていない。
「でも、マキノ何故ボス戦に?」
「シオンがわたしが行った中で一番レベルの高いところに行きたいって言ったからだけど。」
「「罠避けの指輪」の効果は良くわかったから本当はもういいんだけど。」
「いやせっかくだから行っておこうよ。ここのボスのドロップアイテム結構良いものだし、経験値もそこそこもらえるよ。それにここのボスは何度か戦ってきたから絶対勝てるから。」
シオンもマスタークラスの錬金術師なので帰還の魔法陣を持っているけれど、マキノにここまで言われて逃げ戻ることはできない。
「わかった。行こう。」
「じゃ、行くね。」
決死の覚悟のシオンに比べ、自分の寮の部屋に入るぐらいの気楽さでマキノがボス部屋の扉を開けた。
ボスがこっちに気づいて8つの頭でこっちを睨む。ヤマタノオロチに似ている。
シオンの膝ががくがく震えだしたその時、間の抜けたマキノの声が部屋に響く。
「えいっ」
その声が聞こえてから数秒後、オロチは消え去り、ドロップアイテムが落ちていた。
「マキノ、今、何をしたんですか?」
毎回この戦い方を見せた人には言われるな。そんな非常識なことしていないつもりなんだけど。
「シオン、魔法で戦ったんですよ。ほら、ドロップアイテム拾いに行きましょう。」
「ちょっと待って下さい。普通、魔法で戦うってそんな感じなんですか。もっと派手なイメージがあるんですが。あ、今、自分の冒険者レベルがすごい勢いでレベルアップしています。」
シオンが自分のステータスを確認しているので、いそいそとドロップアイテムを拾いにいったら、「草薙の剣」と「お神酒」を手に入れた。パーティ組んだら二人分ちゃんとドロップするんだな。シオンの分も拾って持っていくと、
「冒険者レベルが12から29まで上がりました。それにつられてMP4200だったのが5500まで行きました。錬金レベルあげていないのに、冒険者レベルが上がるとMPも上がるだなんて、本当に連動していたんですね。」
マキノにとってあまりにも当たり前のことでシオンは感動している。錬金術師になる人は本当にモンスターとあまり戦ったことがないんだな。
「草薙の剣」と「お神酒」はダンジョンに潜らないと手に入らない。ギルドに依頼しようにもかなり高級品でほそぼそと回復薬を売って学費を作っている学生には手に入るものじゃない。
シオンの実家はそれなりに裕福だけど、やはり冒険者じゃないのに「草薙の剣」を買ったりはしない。
でも、いずれ錬金を極める人は「草薙の剣」は手に入れておきたいアイテムの1つだ。これが究極の剣オリハルコンの剣の材料になるからだ。王立錬金術師になってお金を貯めていつか買いたいなと思っていたアイテムが自分の手の中にある。夢心地でダンジョンから帰還すると寮の前で、じゃあねとマキノと別れた。




