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「おい、知っているか。」
「なんだ?」
「最近ダンジョンで変な噂を聞かないか。」
「変な噂とは?」
「見慣れない防具を身に着け、武器も持たずにたった一人で、何周もダンジョンを歩き回っている変な奴がいるっていう噂だよ。」
「ああ。いかにも新人ぽいのに、どう戦っているのかさっぱりわからなくて、どの階層でも傷ひとつなく、誰とも会話せずに、どんどん深く潜っていくあれか?」
「そうだよ。ここのダンジョンそれなりに本格的なのに、そいつはパーティも組まずひとりなのに、いつも平気な顔して荷物もななめ掛けのバッグ1個だけ。どうやっているのかさっぱりわからん。」
「この辺のギルドじゃ1回も見たことが無い奴だよな。モンスターと戦っているところも一度も誰も見たことが無いんだよ。
他の冒険者が、あいつが少し前を歩いていてモンスターと遭遇した瞬間に出会えて、とうとう戦っているところが見ることができると思って足を速めたとたん、やつはモンスターのドロップアイテムを拾っていたそうだ。
その間1秒もなかったという。やつこそ、魔物じゃないかとか、ダンジョンで死んでしまった冒険者の幽霊じゃないかとか言われているんだよな。」
「俺、モンスターは戦えば勝てる自信あるけれど、幽霊は嫌だな。できるだけ奴には会いたくない。」
「俺も俺も。」
そんな噂話なんてマキノにはまったく耳に入らないので、今日も絶好調である。




