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「あ、すみません。」
ダンジョン内で前から来たパーティの男性?いや男の子?中高校生ぐらいの年齢の子から声をかけられた。どうやらズタボロの様子。
「もし余っていたら回復薬譲ってもらえないかな。」
彼の肩に寄り添うかのように女の子回復系、支援系、攻撃系っぽい子が3人もいる。ハーレムか。みんなそれぞれ可愛い。
初心者パーティが初めてダンジョンに挑戦したんだろうな。得体のしれない単独の自分に声をかけてくるぐらいだから切羽詰まっているのかもしれないので、作りすぎて過剰在庫になっている「中級回復薬」をそれぞれに1本ずつ渡す。
「え、こんな良い物を?」
受け取った彼がちょっと驚いている。でもズタボロだよ。いるよ。中級。
「レベル12で攻略できると聞いて来たんだけど思ったより出てくるモンスターが強くて・・・。」
「え?レベル12で攻略ではなく、レベル12でダンジョンに入ることができるという意味だと聞いていますが。」
他の3人の女子が顔を見合わせリーダーの男の子を軽く睨みだした。ちゃんと情報収集していないと痛い目に合うのはゲームと同じ。といっても、わたしは全部ギルド長から教えてもらっているだけなんだけど。
「失礼ですが、君は現在どのくらいのレベル?」
さすがハーレム作る男は失礼なやつだと思ったが、レベルは隠すほどのものでもない。
「現在のレベルは22です。」
女の子たちがぐちぐち言い出している。やっぱりダンジョンの地下5階までレベル13でくるには来るのは早すぎただの、アロンが余裕だって言っていたのは嘘だったんだとか。
「中級回復薬」を飲んだのにリーダーの顔色が悪かったので、
「帰りの魔法陣は確保されていますか?」
と、話を変えてみたら、
「い、いえ。ボス戦が終わったらマーヴェーの帰還魔法を使うつもりでしたが、今回、MPが枯渇してしまって、ここから上に歩いて帰らなくてはいけなくなって、それで回復薬をお願いしたんです。」
戦闘系の女子がリーダーにこれ以上話をさせてはならぬと教えてくれる。
ああ、大抵の冒険者は楽だから魔法を使うと聞いているが、ギルド長が魔法陣を薦めてくれたのはわけがある。魔法陣の準備は最深奥のダンジョンでMPが枯渇してしまった場合の保険みたいなもの。有ると無いでは余裕が違う。
全回復の「テント」作っちゃったからわたしはどっちでもいつでも大丈夫なんだけど。たぶん冒険者になったばかりの彼らが少し可哀想になったのと、遠慮なしのリーダーがぐいぐい話しかけてくるのが面倒くさくなったので「リンゴジュース」を1個支援系っぽい子、たぶんマーヴェーらしき子に渡す。魔法陣はわりと値段が高いから気軽に渡すのは躊躇するのだ。
「リンゴジュース」を手渡された彼女は、なんでこれを渡されたか首をかしげる仕草がちょっと可愛い。パーティのメンバーを顔で選んでいるんじゃないのかなリーダー。もてるやつは違うわ。
「それは「リンゴジュース」で、50だけどMPが回復するから、それを君が飲めばダンジョンから脱出の帰還魔法は使えると思うよ。」
「「「「えっ???」」」」
メンバー4人全員が驚いている。
「MP回復するアイテムって存在していたのですか?」
あ、そうか、MP回復するアイテムは町では売っていない。ダンジョンからドロップするだけだとギルド長が言っていた。それでも必死でどうしても欲しくて「リンゴジュース」を作ったけど、50しか回復しない。
この程度しか作れないのかと、だからわたしは全回復する「テント」に固執したんだけど、この子らは錬金を1回もしたことなさそうだし、ギルドの依頼を普通にこなして、やっとレベル12になってこの町に来たっていう感じだものね。
そもそもこっちの普通の冒険家たちはタブレットもないのにどうやって錬金しているんだろうか。後でギルド長に確認しておかないと。あまりうかつなことは言えない。
「「リンゴジュース」は錬金で作っています。わたし錬金が好きなんです。」
「錬金で?!そうなんだ。錬金で作れるんだ。俺は錬金する人は町でせっせと回復薬作っているだけだと思っていましたが、何故一人でダンジョンに?」
「主に錬金の素材集めですよ。」
「ギルドに依頼せずに?」
「ひとりで採取して錬金するのが好きなんです。」
まだいろいろ聞きたがっているような目をしているが、これでもかなりサービスしている。「リンゴジュース」を持ったままの彼女に飲むように促してみると、
「あ、これ、ものすごく美味しい。力が湧き出してくるような気がします。」
「ステータス確認してみろよ。」
「大丈夫です!50回復しています。50あれば帰還魔法使えます。」
「じゃ気をつけて帰還してくださいね。」
「あ、あの、もし良ければ俺たちのパーティ入らないか?」
リーダー君が言い終わるより早く、3人の女の子から一斉に小突かれている。ひとりで採取するのが好きだって言っていたじゃない。何聞いていたの?ばか!とまで言われている。女の子たちはちゃんと話を聞いてくれていていい子たちだった。
「ええ、わたしの目的はあくまでも採取と錬金で、冒険者として極めたいわけではないのでご辞退させていただきます。」
3人の女の子はちゃんと納得してくれているのかうんうん頷いてくれている。リーダー君は未練ありそうだったけど、再度小突かれて、ようやく諦めてくれたようだ。
「「「「今回は本当ありがとうございました。!!」」」」
ぺこりと頭を下げた4人が帰還魔法でぱっと消えてくれて、やれやれである。さすがハーレム作る男はぐいぐいくるね。
今後できるだけ会いたくない人種ではある。5人組のレンジャーものだと真ん中の赤色が一番苦手だ。どっちかといえば頭脳派の青色をご贔屓している。寡黙でやる時にはやる男が理想なのだ。




