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 初ダンジョンに1歩足を入れる。ギルド長に魔法陣について教えてもらったので、何かあれば入口にはいつでも戻ってくることができるようになっている。魔法陣の作成も面白い。一度行った町に戻るための魔法陣は既に完成しているので、好きな時に最初の町に戻れるようになった。


 今回使用するのは、ダンジョンから入口に戻るための魔法陣で、錬金レベル20で作ることができた。普通の人はレベル40ぐらいにならないと作れないらしいがこれはギルド長のソロ特別処置の恩恵である。


 人に譲渡することもできるので、職業で錬金術師を選択している人は、小遣い稼ぎにこの魔法陣を作成する人もいるという。アイテムショップで割と高額で買い取ってもくれるらしい。


 MPをかなり使って作るので、ベッドで寝る前に余ったMPを有意義に使い果たすために毎回作っていたら、錬金レベルが地味に上がっていっているような気がする。


 とりあえず何かあってもここに戻ってくることができるのは心強い。


 ダンジョンの中は少し薄暗く湿った風がどこからか吹いてきて、ちょっと気味が悪い。ダンジョンにしか出てこないモンスターも多いと聞くので、出会ったら瞬殺を心がけ、気をつけて前に進んでいく。


 迷路にもなっているため、一度歩いた場所の確認が絶えず必要だけど、タブレットの地図は優れもので、ダンジョンでも活躍できている。ただ、この世界の冒険者の人には悪いような気もするから、人がいるところではできるだけタブレットはバッグに仕舞っている。


 1階から5階まで端から端まで全部歩いて、ダンジョンでドロップするアイテムは全部回収し、ダンジョン固有のモンスターも各100匹ぐらい倒していくこと丸一日、レベルは20を超えてきた。


 出会うモンスターはすべて瞬殺できているが、省エネ省略自動オートのため自分の目では確認できないが、モンスターを倒すまで自動で全属性全体魔法として発揮されるため使われるMP量も増えていっている。見えない部分で使っていても魔法レベルも上がっているようだ。


 何度か新人っぽい冒険者に追い抜かれたりしたけれど、皆、わたしが「旅人の服」で武器も持たず、ひとりでいることの方が不思議らしく、何度か振り返り見られたりしたけれど、馬鹿な奴だと認定されているのか、どうやって戦っているのかは興味がなさそうだった。


 魔法を使っているところを見られたところで、掛け声と結果しかないので何も見応えはないんだけど、知らない人に因縁つけられるよりも、馬鹿だと無視される方が楽なので、自分のスタイルと替えるつもりはない。


 それにしてもパーティを組もうなんて、なんで皆そんなめんどくさいことをしたいと思えるんだろうか。毎回戦う時の連携や、何の魔法を使うのかと相談したり、それこそ朝の挨拶ひとつ毎回悩まないといけないのに。


 自分の背中を誰かに預けることになるのは怖くないのか。


 自分が失敗して責められることを考えると身が竦む。わがままな人や自信家の人に振り回されるのも嫌だ。そんな思いをしながら冒険をするよりは、ひとり気ままに好きなことに熱中できる方がはるかに楽だ。


 誰かに任せるぐらいなら、全部自分ができるようになりたい。そう思うからわたしの経験できることはいつも人よりも遅くなってしまう。人に頼れば、人に任せればもっとランクの上のことも早く経験できるかもしれない。でも、自分の足で進んで行きたい。人に後れを取ることに焦りは覚えないので、自分のペースで今回も進んでいく。


 初ダンジョンボス、3mぐらいありそうな両腕に巨大なオノを持ったミノタウロスとの戦いは、保険をかけてレベルを上げ過ぎたせいか、他のモンスター同様に「えいっ」の魔法で瞬殺だった。


 あっけないけど、終わった後のドロップアイテムが嬉しい。ギルド長が教えてくれたように、ドロップアイテムは数種類あり、ダブったものもあったので、合計7回ぐらいボス戦を片付けたら、レベルは22まで上がっていた。


 さすがにボス戦は1回の「えいっ」魔法でMP500近く持っていくが、例の魔法はこちらの攻撃ターン1回として数えられるのかいつもモンスターから反撃される前に倒せているので助かっている。


 いつか自分の持っている全MP使っても勝てない相手が出現したら反撃くらうようになるんだろうか。とりあえず今はいつでもボスの部屋の隣にあるセーフティゾーンに「テント」で寝ればMAX回復なので痛くもかゆくもない。


 ドロップアイテムは序盤役に立つものがあるということだったけど、全部そろえた人じゃないと分からなかったかもしれない。


 1個ずつは大した防具じゃないから1回しかボスと戦わない他の冒険者は気が付きにくいかもしれないけど、これはシリーズものだ。全部装備すると、防御力がぐんと上がった。「ミノタウロスシリーズ」コンプリートである。


「ミノタウロスの小手」「ミノタウロスの胴着」「ミノタウロスの胸当て」「ミノタウロスのブーツ」の4つからなっている。1個ずつの防御力は20程度で、「角うさぎの小手」の18とそれほど大差はないが、全部装備するとボーナスポイントがついて、20防御力×4個分の80防御力ではなく、200防御力と倍以上に増える。


 この辺りで購入できる「皮の鎧」が防御力110なので、かなり高い。だけど、1個ずつだと防御力20なので、「皮の鎧」を既に装備している人にとっては魅力的には映らないだろう。


 それに、ここは初心者のダンジョン。ドロップアイテムがショボイ(薬草や10Gなどフィールドやモンスターから得るアイテムとそう変わらなかった)から大抵の人は1回しか潜らないと聞けば、倒せるぎりぎりのレベル15ぐらいで1階から5階までノンストップで進んできて挑戦するのならば、ボスのミノタウロスはぎりぎり倒せるかどうかだろう。


 よほどの変わり者じゃなければ「テント」で寝てまで何度も繰り返しボスと戦おうとしないだろう。


 そんなことを考えながら、「ミノタウロスシリーズ」を装備すると、「旅人の服」でダンジョンを歩くよりも目立たないような気がする。目立たないのが一番嬉しい。



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