祭り(終宴)
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
近衛騎士ニュートはいいとこなしです。
かわいそうですね。
ではでは~
「タコー殿、どうかお許し願いたい」
近衛隊総長が、膝をついて謝罪する。
「別に気にしてませんよ。頭に血が上っただけでしょう。俺には実害なかったし」
「よろしいのですか?」
近衛隊総長にとって、タコーの言葉は意外なものだった。
「そんなに不思議かな。痛い思いをしたのは、あちらさんだけだし」
「ふー、タコー殿は大きな方ですな」
近衛隊総長は、タコーが大人物だと疑わなかった。
「ココモ、コッカ、フィー、後で謝っとけよ」
「えー、ボクたち悪くないもん」
「タコー様、承服できません」
「フィー、悪くない」
3人とも不満たらたら。
「3対1は、ダメだろ。不意打ちだし」
「ボクたち女の子だもん」
「あっちは、俺の打ち込みで戦闘不能だったんだから、却下」
「「「ぶー」」」
= = = = =
「殿下、お嬢様、どうして止めたのです」
「マリアさんは、アイハイロードの国民です。ニュートが無礼だったとしても、手を出せば、法に触れます」
「お姉ちゃん、わたしは近衛騎兵です。あのまま見過ごしては、近衛隊全体に迷惑がかかります」
「あなたたちには妻としての自覚が足りないのではなくて?あなたたち、夫の敵を見過ごしたのよ」
マリアが言い放つとふたりは反論できなかった。
確かにそうだった。夫に対して殺意をむき出しにした男を見過ごした。
止める相手はマリアではなく、ニュートの方だった。
がっくりと膝をつくふたり。
「タコー様は、ふたりを責めはしないでしょうね。だからこそ、あなた方はタコー様の妻にふさわしいかどうか、わたしたちが決めることになります」
= = = = =
「主様、不甲斐ないこの身をお許しください」
「タコー様、わたくし、考え違いをしておりました。どうかお許しください」
衆目の中で土下座するふたり。
「ジョマリア、騎兵様、どうしたの?アニキの新しいプレイ?」
「こらこら、人聞きの悪いことをいうな。さっきの今だぞ、誤解されるから止めてくれ」
メイドと正装した近衛騎兵の土下座を見て、ココモが能天気に尋ねる。
「えー、ボクだったら、アニキのブーツを舐めるよ」
「タコー様、地面に打ち捨てられた肉を食えと仰せなら、食べます」
「一滴残さず飲む」
「フィー、そんな目で見てたのか?」
がっくりと膝をつくタコーだった。
「ウチはどうしたらいいの?」
「じゃあね、じゃあね、舐めるよ」
「わたしは、お肉をいただきます」
「一滴残さず飲む」
タコーを励ますために妖艶に微笑む娘たちだった。
「あーん、ウチも早く旦那のお手付きになりたいよう」
「タコー様」
「マリア」
「凝っているところを揉みほぐして差し上げますね」
「お前もか」
= = = = =
「さ、飲み直しだ。ガヤ、適当に見繕って持って来てくれ」
「承知。全員、タコーさんたちと飲み直しの準備にかかれ」
「「「「「オー!!」」」」」
傭兵たちが屋台の方に酒と肴を手に入れに行った。
タコーたちだけが残っている。
「あのな、あの騎士のことは、悪くは思っていないんだよ」
「なんで?」
ココモは疑問を口にする。
「俺たちが山賊を退治して、ジョシティア立ち直らせた」
「タコー様、フィー、みんなありがとう」
ジョシティアは改めて感謝する。
「「「姉妹になれたしね」」」
「でだ、このパレードで王室の権威は元通り。おまけに殿下の心は俺に向いているように見える」
「見えるのではありません。もうタコー様の意のままに」
ジョシティアは、タコーの言葉を否定する。
「あー、アレだぁ。アニキの心が折れるやつ。エート、えちぬおーる?」
「えぬてぃあーる」
「そう、ソレ」
ココモは、思い出した。
タコーが心が折れそうだったと言ったこと。
あの若い騎士は、若いゆえに心が鍛えられていないのだろう。
ジョシティアには、若い騎士に対して特別な気持ちはなかった。
馬車がギシギシうるさかったのが関係を持ったその時だった。
その後、数回及んだそうだが、誘拐から救い出したタコーと寝てからは、話しかけることさえ許していないらしい。
気を紛らせるために肉欲に身を任せて、貪っていただけで、騎士は初めから片思いだった。
「仕方ない。・・・キャサリア、アイツと結婚してやってくれ」
「・・・」
キャサリアの顔から血の気が引いて、その場に崩れ落ちた。
「アニキ、またキャサリアが自害しようとするよ」
「タコー様、残酷ですね」
「旦那様は苛烈」
「旦那、ドン引きです」
娘たちは各々思ったことを口にした。
マリアが、キャサリアを優しく抱き起す。
「お姉ちゃん」
「お嬢様、タコー様のお願いは絶対です」
「あーん」
マリアも容赦なかった。
= = = = =
「タコー様、どうか娘をキャサリアをお願いします」
侯爵は膝をつき、タコーに懇願した。
「近衛騎士に嫁いだ方がいいんじゃないか?家柄的に」
「タコー様、今、爵位を捨ててもいいと思いましたぞ」
「あー、はいはい。でも、俺は爵位もない余所者なんだけど」
「悔しいが、私は、貴殿に遠く及ばない。出自を存ぜぬが、それが些細なことに思えて仕方がない。我が娘をお願いする」
ヘインリー侯爵は退かなかった。
「おいおい、聞き捨てならないな。ウチの姫の方が先に娶ってもらうんだからな」
国王が割って入る。
「ジョシティアちゃんは、まずいだろ。立場的に」
「キャサリアより前じゃないと恰好がつかないからな」
どうも心変わりをしたパパふたり。
「おーい、俺はふたりとも面倒見るつもりはないぞ」
タコーは、婚姻を否定する。
控えていたマリアが歩み出る。
「タコー様、身の回りから伽までお仕えいたします」
「「マリア!」」
今、王国が揺らいだ。
いかがでしたか?
ビッチ姫と馬2号(命名:ココモ)は妻レースから脱落するのでしょうか?
次話をお待ちください。




