祭り(今そこにある罠)
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
アイハイロード王国エピソード1も大詰めです。
ではでは~
「持ってきましたぜー」
傭兵たちが料理や酒を持って帰ってきた。
「おー、ゴクロー!!」
ココモが返事をする。
「お嬢さんがたには、甘いものを用意しましたぜ」
ガヤと部下が果物や菓子を差し出した。
「隊長、気が利くねぇー」
ココモは満足そうに褒める。
「はい、タコーさんに教わりましたんで」
頬を掻きながら、もてる秘訣のネタ晴らしをする。
「アニキったら、女心がわかってるんだか、わかってないんだか」
ココモは、柑橘類の実をほおばり満足そうにごちる。
「タコー様は、きっとお見通しなのよ」
「焼き菓子、おいしい」
「あー、旦那お手製のアイスクリンが食べたいなー」
「ヴェルン、あいすくりんって?」
ココモが初めて聞く単語に反応する。
「簡単にいうと獣乳と砂糖を混ぜて氷で冷やして作るんやけど、食べると溶けるお菓子なんよ」
「へー、初めて聞いた。大公国じゃ見なかったけど」
「そりゃ、旦那のお手製しかないからねぇ。ウチらしか食べたことないんよ」
「「「「「「えー、それ、いいなー」」」」」」
ひとりを除いた娘たちに共通の目的が生まれた瞬間だった。
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「タコーさん、ありがとうございました。皆を代表してお礼を申し上げる」
改まった態度で謝辞を口にするガヤ傭兵隊隊長。
「なんだよ、くすぐったいな」
「王都じゃ、はぐれもの扱いでやる気も出ねえ。かといって、ねぐらと仕事がなくなるから、我慢はするんですが、正規兵にコケにされてケンカする。
いらついて街に行っても騒ぎを起こしてました」
「まあ、最初見たときやさぐれてたもんな」
「初めて街ん中を行進したときでさぁ。街の連中、俺たちを見る目が違っていたんです。さっきも屋台に行って、はっきりとわかりました」
「お前さんたちは、命張るのが仕事なんだ。びしっとしてりゃ、見劣りしねえよ」
「タコーさん」
「辛気臭い話は終わりだ。・・・そうだ、皆に言っとけよ。手ぇ出していいのは、商売女だけだぞ。素人相手だと下手すりゃ地獄行きだ」
「じ、地獄ですか?」
「そうさ、女、下手すりゃ、その親、子供も養わねえといけねえ地獄。結婚ってやつ、聞いたことあるだろ?」
タコーは、いたずらが成功した子供みたいに笑いなら、酒瓶を持ってその場を離れた。
「地獄・・・。モテるコツを教えるって言ったのは、旦那ですぜー」
「そーだよ。お前ら、道ずれだー」
ガヤの大声に大声で答えるタコー。
「アハハハハ。ひでーひとだー」
ガヤはタコーの答えに大笑いをした。
タコーは、手を頭の上でヒラヒラと振っていた。
= = = = =
アイハイロード王国傭兵部隊は、こののち錬度が上がり緊急展開部隊として近隣諸国に広く知られることになったのは、また別の話。
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「ここは?」
「ニュート殿、気がついたようだね」
「あなたは?」
娘たちにボコボコにされた若い近衛騎士は、救護テントの中で気が付いた。
傍らには、フードを目深にかぶったおそらくは中年の男が立っていた。
「災難だったね」
「くっ、あんな連中に油断さえしなければ」
「そうさ、君は強い。将来を嘱望される器なのは誰から見ても明らかだ」
「そ、それほどは」
「何か挫折でも味わったかね。そう、挫折を知ると人は強くなれる。まるで君そのものじゃないか」
「そういうものですか?」
「君には、地位、名声、名誉がふさわしい。そう、美しい誰もがうらやむ情婦も必要だろう」
「あなたは、いったい」
「よく聞き給え。私たちは、国を変える、いや取り戻すと言ったほうが正しいだろう。それには君の協力が必要だ」
「俺は、近衛騎士として」
「立場はよくわかる。だが正義を行うのに迷いは禁物だ。さあ、同志として迎えよう。そして、美しい姫君を手に入れ給え。やがて王位につくのは君だ」
「・・・」
「今すぐに返事はいらない。私はまた君に会いに来る。その時に返事をくれ給え。次に良い返事を待っているよ」
フードの男は、言葉を残すとテントの外に出て行った。
ニュートは、すぐ後を追いテントの外に出る。
男は、雑踏の中へ溶け込むように姿が見えなくなった。
ニュートは、テントの中に戻り、簡易ベッドに腰掛ける。
「ジョシティア、あいつが俺のモノになる・・・か」
端正な顔立ちの騎士は、肉食獣が獲物を見つけたように微笑み、つぶやいた。
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「アニキ、今日はあんまり飲まなかったね」
「ああ、深酒は身体に悪いからな」
「フーン」
『ココモ、作戦失敗なんやろか?』
『大丈夫。これから、飲ませちゃうから』
「アニキ、果汁飲む?」
「ちょうど欲しかったところだ。少しもらおうか」
「はい、どうぞ」
「ありがとな」
ココモが差し出したジュースを一口含むタコー。
「あ、これ酒が混ぜてあるな」
「「チッ」」
「ココモ、ヴェルン。今、舌打ちしただろ」
「な、何のことかな?」
「空耳と違いますか?」
タコーと視線を合わせないふたり。
「タコーしゃまぁー」
「にゅしぃしゃまぁー」
目をトロンさせたメイド(若)と近衛騎兵がタコーにすり寄ってきた。
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蒸し暑さ感じて目を覚ます。
見覚えのない天井。
枕元から嗅ぎ覚えのある香りが漂っている。
さらさらの毛並み。
「コッカか」
腕が痺れているのに気が付いた。
両腕に錘が乗っている。
大きさはボーリングの玉くらいだろうか。
錘が動いた。
「ふにゅ。アニキ、おはよう」
「旦那、おはようございます」
錘は、ココモとヴェルンの頭だった。
「・・・ちょっと待て。どうして、ヴェルンがいるんだ?」
タコーは、この直後、認めたくない事実に遭遇した。
いかがでしたか?
タコーは謀略に見事に嵌りましたw
次話、少し長かったアイハイロード王国でのエピソード1最終話です。
次話をお待ちください。




