火種の残る王都
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ひとまずアイハイロード王国は収束します。
ではでは~
「うーん。なんでこうなった?」
「な、何のことかな?」
「ウチがおねだりしたら、旦那が野獣のように襲ってきたんですよ」
タコーの目を見ようとしないココモとヴェルン。
「コッカ、お前は説明してくれるよな」
「えーと、なんでしょう。あ、そうだ。朝食を頼んでまいりますね」
脱兎のごとく、半馬人が逃げる。
「・・・怒らないから、正直に言いなさい」
「ホント?ホントにホントに怒らない?」
「ああ、やっちまったのは俺のほうだしな」
タコーは半ば諦め、ココモに聞いた。
ヴェルンがリンカに薬をもらっていて、最後の果汁に混ぜていた。
しばらくすると酔いつぶれたようになり、安宿で夜を明かすことにしたら、狙い通りタコーの理性の箍がちょうどいい具合に外れたのだった。
酔ったジョシティアとキャサリアは、パパたちが回収して、マリアもそれについて行った。
フィーは渋ったが、国王の手前、侯爵の屋敷に泊まることになった。
= = = = =
「お前たちはもっと自分を大事にしろよ。俺みたいなおっさんじゃなくても、選び放題だろ」
「ぶー、ボクはアニキ一択だよ。もう他の男には興味ないもん」
「あのなぁ」
「旦那とで出会った時から、ウチは奥さんになれたらいいなぁって思ってたんやもん。みんなが言ってたみたいに気持ちいいし」
「ヴェルン、それは、思い込みだ」
「思い込みで気絶するまで感じないもん」
「そやそや、自分でするのと比べもんにならへんよ」
ふんすふんすと鼻息の荒くなるふたりだった。
「ココモ、旦那って、全員相手にしはんの?」
「うん、見てる前で次々気絶させる肉欲の魔王だよ」
「うわー、ひとりだったら」
「一晩で死んじゃうよ」
ふたりの若い娘が猥談で盛り上がっていた。
「あー、ひとり増えるのかぁ?」
タコーは、扶養者増えそうな事態に資金調達の手段を考えていた。
= = = = =
「キャサリア、お前は残ってくれ。マリアもな」
「主様、至らぬところは直します。お供をさせてください」
「タコー様、捧げたこの身、この命、そのようなお言葉で突き放されるとは夢にも思いませんでした」
「タコー様、マリアはともかく、キャサリアは娶っていただくものと信じておりましたぞ。なぜ、そのようなことをおっしゃる」
タコーの言葉に詰め寄るキャサリア、マリア、侯爵。
「これから北方国へ旅に出ようと思っているんだ」
「それは、また急ですな」
目的地を聞いて少し驚く侯爵。
「急じゃない。裁判騒動前から決めていたことさ」
「じゃあ、連れて行ってください」
「メイドはお役に立てますわ」
キャサリアとマリアは食い下がる。
「越境は危険だ。キャサリア、マリア、アイハイロードは北方国と休戦中といっても、潜在的な敵国だからな」
「「ですが」」
「ジョシティアの件も解決していないから、王国に残ってくれ。あと、コッカもな」
「タコー様!」
名前が出たコッカは動揺を隠さなかった。
「なぜでございますか?」
コッカが詰め寄る。
「コッカも北方国はマズいんじゃないか?」
「うっ」
コッカは、打ち明けていないことに関連して、言葉に詰まった。
タコーの説得で北方国への旅は、ココモ、フィー、ヴェルンが同行することで落ち着いた。
残る娘たちは不満顔だった。
「タコー様、わたしたちが置いてきぼりの間もスルんでしょ」
「主様、人数が減った分だけひとりの回数を増やすんでしょ」
「国王に告げ口して、国境を封鎖させましょう」
「「「出発する前にたくさん子種をください」」」
「若い娘が、はしたないことを言うんじゃない。精碧が一つ置いていく。これでここにリフィが転移してこれるから、リフィと一緒に転移して来い」
= = = = =
王国を離れるタコーたちは、王宮に参内していた。
「北方国に参ります。王国内の不穏な動きは、認識しておりますので、いずれ、お役に立とうと思っております」
「タコー殿、かたじけない。再会を楽しみにしておりますぞ。ところで、わが姫の輿入れは考えてくれたかな?」
「あー、まあ、再会のおり、心変りをしておられなければ、考えるとしましょう」
「うー、もう少し良い返事が聞きたいのだが」
「殿下の結婚ですぜ。陛下も一時の気まぐれで決めるのはどうかと思います」
「それはそうだが、本人が希望する政略結婚は滅多にないと思えるんでな」
「政略結婚?」
「アーエルフル、お二方、ケンタウロス族の血盟。まさに政治的、軍事的な切り札といえる。生まれてくる孫は親戚なのですぞ」
国王の鼻息は荒かった。
早く孫の顔が見たくなっただけだった。
(まあ、あと二つ、それ以上の切り札があるんだけどな)
タコーは、事情のすべては説明しようとしなかった。
「タコー様」
「殿下」
「道中、ご無事で」
「ありがとうございます」
国王の傍らで、目に大粒の涙を溜めてジョシティアが立っていた。
「まあ、今生の別れじゃないんだ。リフィやリンカとも会うことになるだろうしな」
「はい」
笑顔になると涙が零れる。
「ジョシティア、アニキが浮気しないようにしっかり見張っておくから」
「ココモ、お願いね」
「任せてよ」
「フィーもいるから大丈夫」
「えーとウチもいいのかな?」
「フィー、頼りにしてるわ。ヴェルン、ゆっくりお話ししましょうね」
同行する3人は、ジョシティアと思い思いに言葉を交わした。
= = = = =
その日のうちのタコーたちは出発した。
北方国へ向かう行商ギルドの商隊に同行する。
表向きは、医者とその助手ということにして。
向かう北方国の上空には重い雲がかかっていた。
いかがでしたか?
次話より北方国編(?)が始まります。
次話をお待ちください。




