祭り(後宴)
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ようやく更新できました。
この後、王国を離れるのですが、火種が残っているのは書いておきたいので、
ちょっと整理しています。
ではでは~
「ぬ、タコー様」
「おー、キャ、ヘインリー卿。何か御用ですか?」
傭兵部隊と酒を飲むタコーの許にキャサリアやってきた。
タコーは、キャサリアの言葉遣いが形式的なことに気づいて、咄嗟に言葉遣いを変えた。
彼女の後ろに面識はないが、パレードでは、ひな壇に座っていた見覚えのある3人がいた。
「タコー様、ご紹介します。こちらは」
「近衛隊総長、近衛騎士長、近衛騎兵長のお三方とお見受けいたしましたが」
キャサリアの紹介より先に3人の素性を言い当てた。
「ご存知でしたか・・・。総長、こちらがタコー様です。フィー様と深いご縁がお有りな方です」
= = = = =
「いかがですか?客将として王国に留まりいただけないでしょうか?」
「それは、陛下の御意ではありませんね」
「タコー様は何でもお見通しですな」
「何でもでは、ありません。ただの勘です」
タコーには、近衛隊総長の誘いは個人的な発想だと判りすぎるほど事情を知っっている。
国王がそんなこと言う訳がない。
「キャサリアの報告では、あなたが傭兵部隊の真価を見抜いていたそうですね」
近衛騎兵長は、疑問を直球で投げ込んできた。
「彼らは隣国出身者で、【王国】への帰属意識は低いでしょうが、忠誠心というのは、向ける先が重要なだけです」
タコーは、しれっと嘘をいう。
キャサリアは、やり取りがあまりに滑稽で吹き出しそうになった。
タコーの嘘を感心して聞く上官達を素直で人を疑うことを知らないようにさえ思ってしまった。
タコーは見覚えのある2組の夫婦が歩いて来るのが見えた。
ただ、見慣れた服装ではなく、裕福な平民が着るような上品で質素なものだった。
「こりゃ、びっくりだ」
「タコー様?」
「ヘインリー卿、貴族は辞めたみたいだぞ」
「はい?」
「タコー殿、お見事でした」
「お褒めいただき、光栄の極み」
「・・・、・・・? へ、陛下!」
「しぃー、バレてしまっては、大騒ぎになるからな」
キャサリアは、いきなりタコーと会話を始めた人物が国王と気づくのに一瞬遅れ、思わず叫んでしまった。
それを同行してきた侯爵が諌める。
お忍びで屋台村にやってきたのだった。
固まってしまったのは、近衛最高幹部の3人。
『へ、陛下、護衛も連れずに何をなさるんです』
「平民に護衛が付いてたら、おかしいだろ。俺達は冒険者だったしな。腕に覚えはある」
「しかし・・・」
「まあキャサリアが気づかなかったくらいだから、大丈夫さ」
国王に主張は、一応筋が通っていた。
「陛下、タコー殿は一目で気づかれましたが」
「うっ。そういうこともある」
総長に論破される国王。
「まあ、これだけ、みんなでワイワイやってんだし、大丈夫だろ。それより、何を着ても目立つ方がいるんだが」
タコーは新しい問題を見つけてしまった。
メイド服を着たジョシティアだった。
マリアに借りたのか、微妙に寸法が合っていない。
ウエストが張りつめて肉感的になっていた。
それはさておき、美貌を隠していないので、すれ違った男は全員振り向く。
「本人は自覚がないかもしれんが、目立ち過ぎだな」
零れんばかりの笑みで駆け寄ってくる王国の誇りは、その光を取り戻し、一層輝いていた。
= = = = =
「はあはあ、タコー様、お疲れさまでした」
「殿下、その言葉は、傭兵部隊にいただけると報われます」
「承知しました。ここで声をかけるのは憚られますので、書簡をしたためましょう」
「感謝いたします」
「・・・」
「?、殿下?」
「もう、イジワル」
「はて、何がでしょう?」
ジョシティアは、つつきたくなるような頬を膨らせ、不満を表していた。
「おーい、アニキー」
ココモたちがタコーを見つけた。
「ほらね、こちらにいると言ったでしょ」
コッカが誇らしげに言う。
「さすが、馬1号だよ」
「ふふん。力だけのオークとは、違いましてよ」
「久々にやってやろーか!うまー!」
びしっ
「アニキー、ヒドイよボクだけなんてー」
額をさすりながら、手刀を放った男に不満を申し立てるココモ。
「人の迷惑を考えろ」
「だってー」
「ただでさえ、お前を筆頭に男の目を引く娘ばっかり集まってきたんだぞ・・・」
「えへへー、ボク目立つ?かわいい?」
「え?あ、ああ。それは、間違いない」
最近、褒められていなかったせいか、タコーの褒め言葉に過剰反応するココモだった。
タコーはタコーで、素直に喜ぶ娘に思っていること言ってしまう。
「もう、アニキのイジワル。ボクだって照れるんだからね」
慣れた動きで腕を組んでしまうココモ。
それを見ていた義姉妹たちは、タコーを押しつぶさんばかりに抱き着いた。
「ヴぇおっぷ」
タコーは飲み食いした内容物をかろうじて納めきれた。
「マリア、ジョシティア」
そこに、がっくりと膝をつく身なりのいい中年男性の姿があった。
視線の先には、他の娘たちに混ざって抱きつくメイドふたりの姿があった。
「あらあら、こんなところで」
「若いっていいわね」
ホホホと微笑むご婦人たちが、互いの伴侶の肩に手を置いて慰めていた。
「タコー殿、手合わせを願おう」
その声は若い騎士だった。
ココモが気が付いた。
「ジョ、マリア、この騎士さんって、もしかしたら」
「・・・」
ココモの問いにジョシティアはすぐに答えなかった。
「・・・ニュート」
「これは、厄介ね」
「だよね」
いきさつを知っているココモとコッカは、気が重くなっていくのがわかった。
いかがでしたか?
近衛騎士ニュートの再登場。
まあ、寝取られ(本人視点)でダメージが大きいのですが。
次話をお待ちください。




