祭り(訓練初日)
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
アイハイロード王国傭兵部隊は、素直に指示に従うでしょうか?
ではでは~
「そ、そんな芝居に騙されるわけねえだろ」
「「「そ、そうだ、そうだ」」」
すぐに信じられない傭兵たち。
「そうだなぁ、次は・・・」
タコーの言葉の途中から、娘たちがタコーの両腕にしがみつき、胸をぐいぐい押し付けていた。
「すまねえ。俺が悪かった。もう勘弁してくれー」
ガヤ百卒長が地面に額を擦りつけていた。
その直後から、傭兵部隊の行進訓練が始まった。
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訓練は単純だった。
歩幅と足並みをそろえるだけ。
しかし、習慣がないと存外難しい。
「ほらほら、右、右、右、左。俺に歩調を合わせろ。モテる歩調だぞ」
「隊長、ほんとにこんなんでモテますかい?」
「俺に聞くな!だが、アイツのモテかたは半端じゃねえ。少なくとも近衛の五十騎長は貴族だぞ」
「無駄口を叩く間があったら、歩幅と歩調を合わせるんだ」
初日で歩くのは何となく揃うようにはなったが、姿勢が悪かった。
「お前ら、モテたくないの?」
タコーはわざと呆れるたように言い放った。
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訓練が終わって体力よりも気力面で疲れた傭兵たちが食事を終えた後くつろいでいた。
「あー、疲れたぜ」
「隊長、いつまで続くんですかね?」
「そりゃ、9日残ってるだろ」
「うえー、酒でも飲まなきゃやってられねえぜ」
経験のしたことがない種類の疲れに愚痴っていた。
傭兵部隊の宿舎には、特配で酒精が運び込まれ、予定外の飲酒に部隊の士気が上がった。
にぎやかな宿舎を眺めるタコー。
(男は単純なんだよな。俺も含めて)
「あ、また宿を忘れてた」
顎に手を当て少し考えるタコー。
「こいつらのところに転がり込むか」
自分用の酒瓶を呷りながら、宿舎に入っていった。
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「キャサリア、アニキは?」
「え?先に帰ったけど、帰ってないの?」
「出かけて行ったきりだよ」
「そんな」
妻(自称)たちは、タコーの外泊する気が知れなかった。
夕食では、妻(自称)たちが、自分たちを放置する夫の悪口を言っていた。
勢いも手伝って、甘めで飲みやすい果実酒を飲み始めた。
「だいたいアニキは、すぐにいい男を見つけろとか言いすぎなんだよ」
「そうよね。わたしたちの気持ちを知ってるのにね」
「あの人は誠実」
「でも、主様はもう少し構ってくれてもいいと思う」
「旦那は、戦で結構死に別れた人が多いとかなんです」
「タコー様は死地を知っておいでの目をしていますね」
「だよね。アニキったら、ひとりで山賊を蹴散らせるもんね」
「大蛇をナイフ一本で追い返したのよ」
「言い伝えの賢人のように慈悲を知ってる」
「身も心も蕩けちゃったりするよね」
「カラクリの知識は当代一と思います」
「勝てないのが悔しくてうれしい方は初めてです」
「アニキのは、反則だよね」
「魔性よ、魔性」
「破瓜で痛いのに、もたない」
「最近は、手だけでも果ててしまうの」
「いいなぁ、ウチも早くしたい」
「いつか先に中で」
「やっぱり、アニキしか考えられないよ」
「それはわたしも同じ想いよ」
「アーエルフルの民も待ってる」
「領地に来てくれないかな」
「ウチは夫婦で工房を大きくしたい」
「元気な子供を授かりたいな」
「「「「「それよ!!」」」」」
マリアの一言が、妻(自称)たちの心をひとつにした。
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「旦那、教えてくれよ。どうやって、貴族さまを手に入れたんだ?」
少し酔った隊長がタコーに絡みつく。
タコーは、少し前に宿舎に入って、隊長たちと飲みながら雑談を交わしているとどうも一番年上だということが判った。
そして、傭兵たちが何より驚いたのは、タコーの見た目の若さだった。
日本人のタコーはこっちの世界では、非常識なほど若く見えるようだ。
「あのー、タコー殿は、・・・もしや火竜を倒したお人なのでしょうか?」
「ん?ああ、まあ。 それより消火に来てくれてたのか、燃え広がらなくて良かったよな」
「いえいえ、タコーさんが火竜を仕留めてくれたおかげです。あのままだと消火が間に合いませんでした」
「おいおい、このおっさん、いや兄さんが【火竜狩り】だというのか!?」
消火活動に駆り出されていた傭兵部隊には、火竜を一人で狩りとったタコーの噂は広がっていた。
ご丁寧に渾名までついていた。
「ほー、そんな渾名があるんだな」
「え? 知らねぇんですかい?」
「大したことはしてねえからなぁ」
「「「「「おおおーーーー」」」」」
畏怖とも感嘆ともつかない驚きの声が宿舎を埋めた。
モテる方法という色事で釣るタコーの企みは、火竜退治の功績の前では、霞んでしまい効果は減ってしまった。
しかし、図らずも傭兵部隊はタコーの指示には、ほぼ従うようになった。
このことでタコーは、どこにいても日ごろの行いが大事なのだと、この世界で改めて思った。
いかがでしたか?
実績があると人は一目置かれます。
次話をお待ちください。




