祭り(基礎固め)
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
傭兵部隊の訓練は、滞りなく進みそうです。
ではでは~
「ぜんたーい! 前へ!!」
≪ザッ、ザッ、ザッ、ザッ≫
タコーが<火竜狩り>その人と知れてから、傭兵たちの態度が一変した。
戦場で遭遇すると携帯している武器では対処しきれない生物兵器。
その火竜を遭遇して瞬く間に無力化、屠った事実は、戦場で命の駆け引きをしている当事者にとっては、魔王クラス。
それでいて偉ぶらず、気さくに話してくれて、モテる秘訣を伝授してくれるとなれば、指示通りに動くのが一番。
「胸を張れよ。頭のてっぺんから釣られた感じの姿勢になるんだ。右、右、右、左、右。歩調と歩幅を合わせろよ」
≪ザッ、ザッ、ザッ、ザッ≫
「縦列、横列を確認しろよ」
ひたすら、歩く訓練が続いた。
= = = = =
部隊は営舎の食堂で昼食と取っていた。
「ええーー。じゃあ、こちらの方がお姫様ですか!」
「エルフは珍しいから、すぐわかったと思ってたが」
「無茶言わんでください。俺たちみたいな平民は見ることさえありませんぜ」
「じゃあ、ココモはどうだ?」
「こちらのお嬢さんもお姫様で?」
「ココモは平民だよな?」
「うん、ボクは平民だよ」
「旦那、緊張しましたぜ」
「そうか。【お二方のお孫様】なら平気か」
「えええーーーー。本当ですかい」
「タコー殿は、身分を隠しておられるのですか」
隊長の口調がまた変わった。
「俺は旅人だよ」
「あのう、こちらのドワーフのお嬢さんも聞いてよろしいでしょうか?」
「ああ、ヴェルンは鍛冶屋のバスム・ラヒトの弟子だよ」
「ラヒト?どこかで聞いたような」
「た、隊長、隊長。天才鍛冶師のラヒトじゃねえですかい」
「あ、あ、あの一振り数ルブラ(数百万円)の剣を作る鍛冶師のお弟子さん」
隊長は、目が回りそうになっていた。
「ヴェルン、君がラヒトの娘だと聞いたら、腰を抜かしそうだな」
「旦那、わざと弟子って言ったでしょ。あと、【お前】って呼んで。ウチだけ仲間はずれになってる」
傭兵たちはタコーとヴェルンの会話を聞き逃さなかった。
彼らの人生において、自慢話にできるような人物が目の前に3人もいる。
「コッカは、内緒だったな」
「え?知られてしまいましたか?」
「いや、知らないよ。話してくれるまで詮索もしないから」
「タコー様、ありがとうございます」
「そういや、マリア、陛下の方はどうなんだ?」
((((陛下?))))
「相変わらずです。しつこいヤツです」
((((ヤツーーーーッ!!))))
「おいおい、昔からの仲間をそんな風に言うなよ
((((昔からの仲間ー!?))))
「だ、旦那。あの、メイドさんは、どういう方なんでしょうか?」
「俺は詳しく知らん。マリア、どういう方なんだ?」
「冒険仲間です。・・・それ以上の関係はございません、タコー様」
マリアの視線は、軽い憂いを含んで、瞳は潤んでいた。
「あー、そういう目で見るな。みんなにも言ってるが、俺はいい嫁ぎ先おごぉ!」
タコーの胴体に5つの拳がめり込んだ。
「「「「ひぃーーーーーーーー」」」」
傭兵たちは、おおよそ一生経験がないであろう修羅場に恐怖した。
= = = = =
「じゃあ、訓練を続けてな。ちょっと出かけてくる」
「了解。行ってらっしゃい」
隊長に後を任せて、出かけるタコー。
「タコー様、馬車を使わないのですか?」
御者が前を歩くタコーに声をかける。
「うーん。王宮なら、歩いて行ってもいいだろ」
タコーたちは、王宮までの街道をぶらぶら歩いていた。
マリア達は、タコーが王宮に呼ばれたことを伝えに来た。
ところが、タコーは国民でもないので行かないと返事した。
キャサリアが、立場上タコーを説得する間、昼食を傭兵たちと食べたのだった。
御者の近衛騎兵も無理やり昼食に付き合わせた。
タコーは昼食を済ませて王宮に向かうことにした。
腹が減っていたので、食事は済ませておきたかったのだ。
= = = = =
「タコー殿はまだ参られぬか」
「はい、まだ参内されておりません」
国王は、少し落ち着かなかった。
王室の権威を元に戻したい。
そのための提案をしてくれたタコー。
しかし、彼の提案が今一つピンとこない。
直接聞いて確認したいと思って迎えを出したのに来ない。
「タコー殿はまだ参られぬか」
「今、お着きでございます」
「そうか、謁見いや食堂に案内してくれ」
「かしこまりました」
到着を知らせる側仕えに指示を出し、自分も食堂に向かった。
= = = = =
「陛下、お召しにより参上いたしました」
タコーは儀礼通り挨拶をする。
「よく来てくれたね、マリア」
「ぶれねえな」
呆れるタコーの後ろから舌打ちが聞こえる。
『タコー様、帰りませんか。わたしが責任を持ちます』
『そりゃ、さすがにマズいだろ』
「いいんです。甘やかすとお妃さまに迷惑がかかります」
「マリアさん、タコー様とゆっくりしていってください。みんなもね」
声の主は、王国の誇りを謳われた王女殿下だった。
いかがでしたか?
傭兵部隊は掌握できました。
ほかの部隊は手つかずです。
次話をお待ちください。




