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寝床の攻防

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


新しい娘はかなりの酒豪です。


ではでは~


「ふー、いい気持れふー」

「さすがに飲み過ぎだな」

「しょーれふかー、いい感じれすよー」


酒豪のヴェルンも酔ってきたのか、目が虚ろになっていた。


「ご主人、この辺に宿はないか?」

「ウチも上の階は宿だぜ。泊まってくかい?」

「ああ、2部屋頼む」


「うーん、そいつは無理だ。ぶっ倒れた連中を部屋に押し込んだんで、あと1部屋しかねえ」

「仕方ないか。じゃあ、部屋を頼む」

「毎度あり。前金で2リクン(約2000円)だ」

「安いな」


「敷布と掛布は1セット3リクン。2セットいるだろ?」

「そういうことか。じゃあ、5リクンで」

「おいおい、生臭くなったら買い取りだからな」

「この娘が寝るだけだ。失礼なことを言うな」


先に荷物を部屋に運び込む。

ヴェルンと言えば、まだ食べて飲んでいた。

(相変わらず、食欲はすごいな)


料理がなくなり酒だけチビチビ飲んでいたヴェルン。

「バスム父さま、今日決行するかんね」

大事をひかえ、ドワーフ娘の酔いは醒めていた。


 = = = = =


「うー、アニキ成分が足りなくなってきたぁ」

「・・・」

「行かせちゃダメだったの」

「主様ー」

「コッカ様、どうかしたの?」

呻く娘たちの中でひとり沈黙するコッカに気が付いたマリア。


「増えそうな気がする」

「リフィでは、・・・なくて?」

マリアは、見当をひっこめた。


「でも、この感覚は、リフィやリンカの時と同じだわ」

「・・・。では、タコー様の知り合いのどなたか。・・・ね」

「たぶん」

道連れになる前にタコーは何をしていたのかをほとんど知らない。

聞くと答えてくれるので、隠しているわけでもない。

娘たちは、聞くのは何となく怖かった。


「もう、厄介な人を愛してしまったわ。どんどん姉妹が増えてくる」

半ば諦めているコッカ。

「フフ、にぎやかなパーティね」

元冒険者マリアの素直な感想だった。

「大陸で有名になるのは間違いないわね」

コッカは相槌を打つ。


「アニキ、帰ってきてよ」

ココモはアニキ成分が欠乏し、ベッドでぐったりつぶやいた。


 = = = = =


「イスーの旦那、どうか、これをお納めください」

タコーとヴェルンは、ベッドの上で向き合って座っていた。

ふたりの間には日本刀によく似た剣が置かれている。


「これ、もしかして、君の嫁入り先に渡すとか言ってたアレか?」

「はい。鍛冶だった父さまが打ちました」


「そんな大事なものをどうして俺に。・・・いくら必要なんだ?」

「お金では、ありません。わたしを妻にしてください」


「・・・師匠の命令だからって、無理に聞くことはないんだぞ」

「もう、ダンナは、女心ってものが解ってません」

「だってなぁ、俺みたいな根無し草のおっさんに嫁入りっておかしいだろ」

「旦那の知識はすごいです。それに優しいし、頼りがいがあって」


「仕事を依頼しに行った時くらいしか会っていないだろ。それでわかるわけないぞ」

「だいたいはリフィさんとリンカさんに教えていただきました」


「リンカはともかく、リフィの話は、大げさだからな。信じたら人生を失敗するぞ」

「わかりました。言いつけ通りにいたします。それはそれとして、父の遺してくれた剣は、お納めください」

「受け取れない。君の嫁ぎ先に渡すといい」

「はい。ですから、お納めください」


「えーと、俺の話聞いてる?」

「はい。リフィさんの話は大げさだから信じると人生を失敗する、ですよね」

「そ、そうだよ。だから、俺に嫁ぐとかないだろ」

「もう引き下がれませんて。バムス父さま、いえ師匠に嫁いでくると宣言したんやもん」

「そんな軽いる理由なら・むぐぅ」


「ダンナは、据え膳を食べればいいんや。フフ、普通の人族じゃウチの力には勝てへんて」

突然、豊満な双丘に抱え込まれたタコーは、視界を奪われ、話すこともままならなくなっていた。

「むぐ、むぐぅ、ぐぅ」

「あん、ダンナァ、息が熱い。・・・ねぇ、ウチじゃ、嫁になれないん?ウチなんかじゃイヤやの?」

「・・・」

話しかけてくるヴェルンの声に混じる哀感。


ヴェルンの決心は本物だと伝わった。

タコーは、ただ諦めさせるのでは、不十分だと理解した。


 = = = = =


「こっちよ」

コッカとキャサリアがタコーを追って旧市街の酒場までやってきた。

「うう、お酒臭い」

飲酒の習慣のないキャサリアが音をあげた。


「この店にタコー様がいたはずよ」

コッカは、かすかな匂いを嗅ぎ分けていた。



ふたりは店の中に入る

「ひとつ尋ねたいのだが、誰か」


「もう、今日は店じまいだよ」

店の奥から、後片付けしている店主が応えた


「いや、飲食はまたにしよう。ここに黒い髪の御仁が見えたと思うのだが」

「その男に何か御用ですか?」

キャサリアの身なりで貴族とわかった酒場の主人が言葉遣いを改めた。


「ここに来たのですね。どこに行かれたかわかりますか?」

「へぇー、その男は、確かにいました」

「そうか。で、その後、どうされた?」

「えー、と」

「ご主人に迷惑はかけん。お教え願いたい」


「・・・、別嬪さんと上の階で・・・」


「「何ーーーー!!」」


ふたりのケンタウロスが轟音とともに階段を駆けあがる。


「あー、一番奥の部屋ですー。店を壊さないでー。お願いしますー」

2階の廊下の踏み抜いたような音を立てながら、廊下をばく進するふたりのケンタウロスには、店主の願いは届かなかった。

いかがでしたか?


この世界、こちらの世界からの訪問者が少なからず情報を残しています。


次話をお待ちください。



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