王都の片隅で飲み比べ
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
新キャラ登場です。
ではでは~
「宿を探さんとね」
ハーフドワーフの娘は、大通りをキョロキョロ見回し宿を探していた。
傍から見ると田舎者が物珍しそうに見物しているように見えなくもなかった。
「お嬢さん、何か探し物かい?」
親切そうな若者が娘に話しかける。
「今しがた、この大里に着いたんやけど、泊まるんとこを探してます」
娘は、大公都の都民だったが、育った田舎の訛りが取れなかった。
「それは困ったね。俺が、いいところを紹介してやるよ」
「ほんとですか?助かります。王都は親切な人が、いはるんね」
こっちだと手招きする若者についていく娘。
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タコーは、ヘインリーの屋敷を出て、旧市街で安宿を探していた。
屋敷に泊まるという図々しさは持ち合わせていなかったので、娘たちを屋敷に残し、一人で泊まると押し切った。
最後までごねたのが意外なことにフィーだった。
「同衾できたのは最初だけ」
「さびしい。限界。疼きを鎮めて」
「摘まんで。ひねって。・・・しゃぶらせて」
情熱的な一面に本人以外は、ドン引きだった。
しかし、考えてみれば、経験が浅いにしても年長者なので精神的に成熟して当たり前だった。
まさに耳年増という表現が当てはまる。
= = = = =
「んぐ、んぐ、んぐ。プッハー」
「キミ、いい飲みっぷりだね」
「王都のお酒もおいしいですねぇ。飲み過ぎちゃいそう」
ジョッキを空にしたハーフドワーフの娘は、お代わりを注文した。
「ほんとに奢ってくれるんですかぁ?」
「ああ、今は飲み放題だから、酒は奢ってあげる」
「ありがとうございます。商品の代金を貰うまで手持ちが少なくて」
「さ、飲んだ、飲んだ」
「はーい」
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(小腹がすいたなぁ。一杯ひっかけるか)
どこかいいところはとタコーの視線の先の店先に人だかりができていた。
なんだろうと店を覘くと一つのテーブルの上にジョッキがいくつも置かれて、床に何人か転がっていた。
店の入り口で見物していた野次馬に事情を聴いてみた。
「なんかのお祝いか?」
「いやいや、そんなもんじゃねえ。飲み比べだよ」
「大酒飲みの勝負か?」
「ああ、床に転がってるは、脱落した連中だよ」
タコーは、親切そうな笑みを顔に張り付けた胡散臭い若者が床に転がっているのを見た。
「じゃあ、あのごっついおっさんは、なんで、まだ飲んでんだ?」
「向こう側もう一人いるんだよ。それも勝負が始まる前から飲んでた娘が」
「娘?」
タコーは、特に勝負の結果には興味が湧かなかったので、対戦相手を見たら別の店に行こうと思った。
野次馬に割って入って、相手の娘が見える位置に移動して、固まった。
「ヴェルン? 何してんだ?」
タコーは思わず声をかけてしまった。
彼女は、ジョッキを呷っているせいで、タコーに気づかなかった。
「おい!おっさん。邪魔すんじゃねえぞ」
店内の見物人から罵声が飛ぶ。
「邪魔はしねえよ。ただ、死人が出ても知らねえぞ」
タコーは、転がってる酔っぱらいを避けて、テーブルに陣取った。
「おーい、酒と適当に肴を頼むよ」
= = = = =
「ぷふー。お嬢ちゃん、しょろしょろ観念したら、でゅぉーだい」
「お酒、美味しいですねー。むぐむぐ」
呂律が怪しくなってきた大柄の男に対して、ヴェルンと呼ばれた娘は、炙った腸詰を肴に楽しそうにぐいぐい飲んでいた。
店員がタコーのところに酒と料理を持ってきた。
タコーは、店員にチップを渡して追加の注文をした。
「あの娘に果物を頼むよ」
頼まれた店員が、果物を娘の席に持って行った。
果物でご機嫌の娘が店員の説明でタコーに気が付いた。
「イスーの旦那!」
「おお、相変わらずだな」
手を振る娘に応えるタコー。
ジョッキを呷った最後の男が飲み干した後テーブルに突っ伏した。
「ありゃー、もう、飲まないん?寝ちゃった?お代わりー」
その一言でギャラリーは、当分の間飲めそうもないと思うのだった。
= = = = =
「あんた、いい飲みっぷりだった。これは店からのサービスだ」
店主がテーブルにドカッと置いた大皿には、数種類の燻製が山盛り乗っていた。
「燻製大好きです。お酒が進んじゃいますね」
「おいおい、まだ飲むのか」
「旦那、いいじゃないですか。奢りですから」
「相変わらずだな。 師匠は、息災か?」
「はい、旦那の教えてくれたカラクリを作るのに夢中です」
「飯とかちゃんと食ってるか?」
「ムフフー。隣のおばさまが、色々面倒見てくれてますよー」
「そうか。お前の弟妹ができるかもな」
「にゃ、そういうものですか?」
「そりゃ、お前がこっちに出張しているんだから、誰かに気兼ねが必要か?」
タコーは、一口に切ったチーズを口に放り込む。
ヴェルンは、腸詰を咥えて何を思ったのか咬み切るのを一瞬躊躇した。
「で、何を持ってきてくれたんだ?」
「射矢と発射器です。旦那の指定通り火薬式、点火に魔石粉の雷管を使います」
「射矢の数は?」
「ちょうど百本」
「重かったろ」
「このくらいドワーフにとっては、重い内に入りません」
いかがでしたか?
ヴェルン嬢、アルコールの燃費が非常に悪いです。
次話をお待ちください。




