偽りの虜囚
お読みいただいて、ありがとうございます。
身柄を拘束されたタコー。
逃げ場を塞がれています。
ではでは~
タコーは、壁伝いに振動が伝わり始めたことに気が付いた。
「夜が明けたかもな」
確信は無かった。
真っ暗な部屋の中で、時々身体をほぐしながら過ごしていたが、どのくらいたったのか想像がつかない。
眠っていたなら、起きたときの感覚でどのくらい寝たか予測ができただろうが、起き続けていると
時間の感覚がマヒしている。
「襲撃は暁、薄暮のころが成功率が高い、か」
呟き、身構える。
「キャサリアは大丈夫かな」
純粋に気持ちを向けてくれる連れ添いの身を案じてしまう。
「応えてやれないのに。俺は・・・」
廊下で数人の声らしき音が聞こえてくる。
続けてキャサリアが話しかけてきた。
「主様、夜が明けました。朝食後、出発すると思います」
「わかった。よく眠れたか?」
「いつの間にか眠っておりましたね。よく眠ったと思います」
「なら、いい。あとでな」
「はい」
ポコポコと蹄が遠ざかる。
= = = = =
「おはよう」
「ココモ、涎を拭きなさい。タコー様がいつも言ってるでしょ」
「おはよ」
「「おはよう」」
「その、昨日はごめんなさい」
「「?」」
「第一婦人」
「「あー」」
「気にしてたんだ」
「大丈夫、冗談よ」
「アニキが好きなら、しょうがないよ」
「タコー様の手綱を引くのは多い方がいいかもしれませんから」
「ありがとう。タコー様が悪い女に騙されないようにがんばる」
3人は、朝日の中で気持ちを一つにしていた。
「そうだ、朝ご飯は、アニキと一緒に食べようよ」
「そうね、別の馬車に乗せられるしね」
「傀儡の法術を使う」
= = = = =
「なんだ?騒がしいな」
タコーは、真っ暗な部屋の中で喧騒らしき音を聞く。
やがて、それは言葉として聞き取れるようになった。
= = = = =
「アニキー、ご飯持ってきたよー」
「ココモ、こっちよ」
「・・・」
兵士たちが三人を制止する。
「待ちなさい。ここは軍の施設だ。君たちは、すぐに立ち去りなさい」
将校がココモ達を促した。
「ご飯を一緒に食べたら、帰るからー、お願い」
「何事ですか!あら、ココモ。ここで何を?」
「キャサリア、おはよう。アニキとご飯食べようと思ってさ。持ってきたの」
「ちょうどよかった。ぬ、タコーも今から朝食だ。監視も必要だし、同行しよう」
「ヘインリー殿、容疑者が毒殺でもされたらどうするおつもりか?」
「いや、心配無用。責任はわたしが持つ」
「ですが、そのような」
将校は食い下がる。
『傀』
少し離れてブツブツつぶやいていたフィーが小さく一言言い放った。
『仕方ありません、わかりました。くれぐれも間違いが起きないように』
「仕方ありません、わかりました。くれぐれも間違いが起きないように」
『気を付けてください』
「気を付けてください」
フィーの言葉通り将校が話す。
「じゃあ、キャ、ヘインリー様、お願いします」
「コ、う、うむ、こっちだ」
= = = = =
「主様、みんなが来てくれました」
「ああ、来てくれて、ありがとうな」
「入ります」
ガコガコと木材のぶつかる音がすると戸が開いた。
「「「「え?」」」」
窓の無い真っ暗な部屋を見て、驚いた。
「タコー様。灯りは?」
「いらないだろ、普通」
タコーは、大したことはないとあっさり答える。
「キャーサーリーアー」
ココモがゴキゴキと手を鳴らし、キャサリアに詰め寄る。
後ずさりするキャサリアをコッカとフィーががっちり固める。
「こらこら、キャサリアは悪くないぞ」
眺めるタコーの声は誰にも届かなかった。
「主様。知っていれば・・・。一言、言ってくだされば、・・・一晩、暗闇で過ごしていたと気づかずに・・・、キャサリアは、お役に立てませんか?」
目に涙を溜めたキャサリアは何かを決心したように目をつぶると大粒の雫が零れる。
「ココモ!!」
タコーの声で、ココモが、キャサリアの手にいつの間にか握られていたナイフを取り上げる。
「お願い!死なせて。タコーに役立たずと思われてまで生きていたくないのぉ!」
タコーは、舌を噛み切れないようにキャサリアの口に手をねじ込む。
「キャサリア。落ち着け。お前は悪くない。だから、俺を残して死ぬとか言うな」
その言葉にコクコクと頷くキャサリア。
「それからな、キャサリア、・・・・・・手を舐め回すな」
「コラー。うま2号!」
= = = = =
騒ぎを聞きつけ武装した兵士がおっとり刀で駆けつけてきた。
食事中だったせいか、一人の兵士は服がスープで汚れていた。
「貴様らー!何の騒ぎ!!ヘインリー殿!」
ねじ伏せられているキャサリアを見て、兵士たちが殺気立った。
「ほー、ボクに刃を向けるんだぁ」
「訳も聞かずに襲ってくるなら、容赦しませんよ」
「傀儡」
「待て待て。ヘインリー様から説明してもらえば済むだろ」
タコーは、キャサリアの口から手を抜くが、その手を追いかけて舌が出てくる。
『こら!みんな怒ってるぞ』
「ヒッ」
キャサリアは、ほかの3人が自分に殺意を向けているのに気が付き、短く悲鳴を上げた。
いかがでしたか?
話の進み方が亀です。
すみません。
書きたい場面が浮かぶと整理できずに書いているせいです。
どうかお付き合いください。よろしくお願いいたします。
次話をお待ちください。




