コッカの安息
ふたりの関係は「信頼」になりました。
続きをお読みください。
ここまでお読みくださり、感謝いたします。
タコーが、持ってきていたロープで根に足場を作り、コッカは無事に抜け出すことができた。
ただ前足をくじいてしまっていたので、無理をしないようにゆっくり歩いて、ようやく小屋にたどり着くことができた。
時間がかかったので、二人とも身体の芯まで冷え切っていた。
非常に危険な状態だった。
たき火を強めにして、とにかく冷えた身体を温めようと、タコーは布で身体中を摩擦する。
コッカの馬体は、体毛が濡れてしまっていて、まだまだ体温が奪われ続けていた。
タコーは、ありったけの乾いた布で水分を拭き取っていく。
コッカは、冷え切った身体の芯が火照るほど熱くなったが、震えが止まらなかった。
タコーは考えていたことをコッカに告げて実行に移す。
「タコー様、お待ちください。あの、わたし恥ずかしいです」
「ダメです、内臓に近い部分です、早く温めないと腹痛どころではありません。俺は、やましい気持ちはありません。あなタのタめです。我慢してください」
「嫌です。堪忍してください、あ、ダメ」
コッカは恥ずかしさのあまり顔を隠してしまった。
タコーはコッカの隅々まで水分を拭き取っていった。
彼女の毛並みのつややかな馬体部分。
しかし、タコーは命の恩人を危険な状態から救う方が優先した。
たとえ、その結果、罵られようが仕方がない。
彼女が無事である方が大事だった。
乾いた布を使い果たした。
あとは水気を絞りながら、濡れた馬体を拭いている。
たき火にかざした服が乾きだした。
タコーはコッカに羽織らせてた。
「すみません、無理強いをしてしまって」
「タコー様のお気持ちはわかります。でも、屈辱は屈辱です。許せません」
「すみません」
= = = = =
身体が乾き、体温も戻り落ち着いた。
薪は充分あり、たき火は心配いらない。
タコーは、鍋で湯を沸かし始めた。
ごそごそと雑納を漁っている。
この雑納はコッカを探しに出たとき、外套の下に持っていたものだった。
そこから何かを鍋に放り込み、コッカにはあるものを差し出した。
「コッカさん、食べてください。滋養があるでしょう」
それは木の実だった。コッカが目印を付けたところにあったもの。
印を見つけたタコーが木に登って採っていた。
「タコー様、これはあなたが召し上がってください。足りなければ、わたしの血も」
「いえいえ、俺は大丈夫です。そろそろ、いけそうなので、ちょっと失礼」
タコーは鍋を持って小屋の外に出ようとする。
「タコー様、どちらへ!まさか、この雨の中を!」
「違います。鍋のものを食べよう思いましタので、外で食べようかと」
「なぜ、そのような。先ほど申しましたことがいけなかったのですか?わたしとは食事を共にできないと?」
悲しそうに問いかけるコッカに申し訳なさそうにタコーが話す。
「雨で陸貝が湧いて、タくさん獲れました。それをゆがきましタので、食べようかと」
「・・・」
コッカが固まった。
「コッカさん?」
= = = = =
二人して食事にありつけた。
服や布も乾き、ようやく人心地ついたところ。
タコーが白湯をコッカに渡す。
「飲んでください。薬草を浮かべています」
「ありがとうございます」
会話は続かず、ふたりで火を眺めていた。
タコーが寝床の用意を始めてしばらくするとかすかに衣擦れの音がした。
タコーは着替えだと思い、振り向かずに寝床に潜り込もうとしたとき
「タコー様、同衾よろしいでしょうか?」
「コッカさん、服を着た方が温かいですよ」
タコーの声の先に柔肌をさらしたコッカが立っていた。
落ち着きなく尻尾が揺れているのが見えた。
コッカは静かに歩み寄り、前脚を折り腰を下ろしているタコーと目線を合わせて言った。
「タコー様、先ほどの辱め、あの、その、・・・責任を取ってください」
「コッカさん、俺はその言葉から変なことしか思いつかないんだが」
「連れて行ってください。もうあなたと離れるのは無理です」
「コッカさん?」
「婚約者の顔ももう思い出せません。今日は怖かった。一人ぼっちはイヤ。もう一人は耐えられない。タコー様、お供させてください。何でもします。性欲の捌け口に使ってください。気に入らないことがあったら、わたしに八つ当たりしてください。だから・・・、お願いです・・・」
「コッカさん・・・」
「コッカと呼んで・・・」
「コッカ」
タコーは、ケンタウロスの涙が伝う頬に手を添えて、涙をぬぐう。
= = = = =
「タコー様」
「コッカ」
「タコー様、生臭いです」
「陸貝は少々癖があるからね。離れよう」
身を起こすタコーの腕を、コッカが掴む。
「行かないで」
「臭いだろ」
「大丈夫です。我慢します」
「え!、それは・・・・」
「これは、根菜です。わたしは、クスッ」
「あー、ハイハイ」
雨の音が遠ざかり、やがて虫の音に変わるころ、小屋の中はふたつの寝息と薪の燃える音だけだった。
ふたりは大人の関係になったみたいです。
ココモもいるというのにどうなるんでしょうか?
合流する時に修羅場になるかも
次話、ご期待いただけると幸いです。




