雨上がりの災難
そろそろ、コッカ編も終わりに近づきました。
ここまでお読みいただいて感謝いたします。
ではでは~
タコーは目を覚ました。
たき火は燃え尽き、小屋の中も肌寒さ感じるはずだったが、
身体を寄せあっていたため、寒くはなかった。
「タコー様」
「コッカ、おはよう。起こしたかな?」
タコーが身じろぎでコッカも目が覚めた。
「雨も止んだね」
「はい、そのようです」
「朝食、採りに行かないとな」
「はい、でも・・・」
「どうかした?」
「その、わたし腰が抜けて立てません」
「それって?」
「はい、タコー様の、その・・・」
「ちょっと待ってくれ。馬体だよな」
「タコー様、失礼です。二脚だから四脚を蔑む方だったんですか!?」
「そっちじゃない。その、ケンタウロスの男も馬体なんだろ」
「はい、なんだとお思いでしたか?」
「そうじゃなくて・・・、言いづらいな」
「・・・あ、それはタコー様の思われる通りです。婚約者も普通でした」
「じゃあ、どうして?」
「え、確かにそうですが、気絶して目が覚めてもまだ腰が抜けたままです」
何か、気まずいような、納得できないようなモヤモヤした気持ちのタコーだったが空腹も無視できないのでとにかく出かけることにした。
「何か採ってこよう」
そういうとタコーは立ち上がり、支度を始めた。
コッカは、タコーの使っていた携帯毛布を拾い上げ、温もりと残り香を確かめながら昨夜のことを思い出していた。
「じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
タコーを見送った後、毛布に顔を埋めてケンタウロスはつぶやいた。
「早く帰ってきてね、旦那さま」
= = = = =
雨は上がったが、二日分の水を吸った土が泥濘となって行く手を阻んでいた。
森に入ると腐葉土の上を歩く。
もともと柔らかいが水はけがいいのか、泥になっていなかったためだ。
雨が上がって、大型の肉食獣が出てくるかもしれない危険性があったため、慎重に進む。
獣は縄張りの中で活動するが、天候の変化で餌が取れなかったとき、それを破る個体がいないとは限らない。
これまで見た限りでは、糞の類で痕跡はなかった。
いつもはコッカがいち早く気づいてくれていたので、深刻ではなかったが、今は違う。
タコーは何か居心地の悪い違和感のような、得体のしれない不快感を感じていた。
低木の茂みから一角ウサギが飛び出してきた。
魔獣の類で小動物とは攻撃性が違う。性格的にイノシシに近いと考えた方がいい。
しかし、今はそれが問題ではなかった。
次の瞬間、バキバキと木を倒し、大蛇が逃げるウサギを追って姿を現したのだ。
「!!」
タコーの脳裏に絶対絶命の四文字が浮かんだ。
目の前でウサギは丸呑みされた。
このままだと蛇の嗅覚に捕まると考えたもののすでに時遅く、蛇がタコーの方へ首をもたげた。
「ヤバイ」
木々の中を走り出すタコー。走りながら考える。
「考えろ、考えろ、蛇に呑まれなければ、いいんだ」
バキバキと低木を押しつぶしながら、大蛇が追ってくる。
タコーは川に向かって走った。
コッカが動けなくなったあの場所を目指した。
大蛇は、タコーが巧みに逃げたために木々の間を縫うことになり追いつけなかった。
タコーは目的の木を見つけ、その根の間に入り込む。
根がむき出しになり、鳥かごのような状態になっている。
邪魔になる根を間引きして、多少の空間を作って大蛇を待った。
川の流れる音がする。
しばらくすると木々を折る音とともに地面を引きずる音が近づいてきた。
タコーの眼前に大蛇の頭が現れた。
ズルリ、ズルリと大蛇の舌が出入りする。
木の根のおかげで丸呑みができない。
蛇の胴体側にはまだ地面があるため、巻き付かれることもない。
安全といえば安全だが、大蛇が立ち去らない限り動けない。
タコーの目の前に蛇の舌が伸びては引っ込み、また伸びてくる。
ズルリ、ズルリと繰り返される。
タコーは、タイミングを計って舌を腋に抱え込んだ。
上手く動きを止められたので、ナイフで数回刺したところで舌は蛇の口の中に引き戻された。
気が付くと頭上の木の方では、ミシミシと軋む音がする。
ふと宙に浮くような感覚の後、隠れていた木が根こそぎ傾いていくのだった。
辺りの土を持ち上げて木が倒れていく。
大蛇は、さほど深くない川と己の巻き付いた巨木に挟まった。
もがいてどうにか木の下から抜け出した大蛇は、重い上に舌を傷つけられ痛い思いをしたせいで目の前の餌には興味がなくなり川の上流にずりずりと登っていった。
タコーはただの人なので、等身大の相手しかできません。
情けないですね。まあ、チート担当はそのうちに出てきます。
次話をお待ちください(もう書いてはいるんですけど、見直し中ですw)




