ケンタウロスの献身 その3
お待たせしました。
楽しみにしている方がいると気合が入ります。
コッカの複雑な心情が伝わるといいのですが?
ではでは~
ふたりで晩餐の肉と根菜のスープを食べていた。
たわいのない会話、旅の話。
陽が落ちて石組みのかまどの火を眺めながら
どちらとなく話し始めた。
月が出ていても真っ暗な森の中で二人の居場所は特別な場所になっている。
光があり、暖かい。
「タコー様、お肉を召し上がってくださいな」
「ああ、ありがとう。コッカさんは肉が苦手ですか?」
「はい、種族の性質なのでしょう。匂いがダメなのです」
「そうですか。では、なぜスープに入れてしまっタのですか?」
「・・・塩がありませんので味付けに。あと・・・あなたと同じ・・・」
「私と?」
「いえっ、なんでもありません」
肉を食えるようになって、食事量が増え回復が早まった。
治療魔法の効果もわかりやすく感じられた。
「コッカさん、ありがとう。傷まわりの鈍痛も楽になって助かります」
「いえいえ、タコー様の養生がお上手なのだと思います」
「ところでコッカさん、そろそろ身の上を明かしていタだけないでしょうか?」
「このままではダメですか?」
「ダメという訳ではありませんが、私もそろそろ旅に戻ります。何かお役に立てるならと思っているのです」
「・・・・・・い」
コッカが俯いて消えそうな声で返事をしたが、タコーの耳までは届かなかった。
タコーはまだ無理だと察して、それ以上は聞かなかった。
= = = = =
タコーが寝支度をし、寝床についたとき、先に眠ったと思ったコッカが話し始めた。
「タコー様、わたしは婚約しておりました。婚約者は戦に出て戦死したのです」
タコーはそのまま話を聞いていた。
「親の決めた相手ではありましたが、勇敢で優しい方でしたので、そのまま夫婦になるつもりでおりました」
コッカは話を続ける。
「戦が始まり、彼は騎兵として戦場に赴いたのです。わたしは彼の帰りを待ちました。生きて帰ってくると疑わずに」
コッカの口調が少し硬くなった。
「彼の訃報は親から聞きました。彼の部隊が敗走を始めたとき、殿を務めたとか」
彼女の息がつまった。
「彼は私との生活を選ばなかったのです。お味方のために頑張ったのは判ります。だけど、生きていてくれないとわたしは残されてしまうのです。彼はそれを知っていて死んだのです」
「コッカさん」
タコーはもう話さなくてもいいと言おうとした。
「それから間もなくわたしは家を出ました。もしかしたら、彼は生きているかもしれない。彼が・・・帰ってき・・・たとき、わた・・・しが・・・誰かと結・・・婚していたら彼・・は傷つ・・・き悲しみます」
嗚咽が混じり、辛そうに話すコッカ。馬体を含めると人族より大きい体躯が小さく見える。
大きく息をして続ける。
「だけど、彼は死んでいるんです。わかっています。結婚するかもしれない自分が許せなかったのです。旅に出て、だんだん彼の顔を思い出せなくなって、もう人に逢いたくなくなって、此処で一人で暮らしていました」
「偉いですね。私より強くおありです」
タコーは孤独の辛さを知っている。
生きようとする意志だけで孤独に勝つには難しい。
「そんなこと・・・。今、お話しできるのは、ここまでです。おやすみなさいませ」
「おやすみなさい」
= = = = =
次の朝、何も無かったかのように朝食を済ませた。
タコーは少し躊躇するも話し始めた。
「コッカさん、あなタの婚約者はあなタの幸せを望んでいるのは間違いないと思います。あなタが幸せを望まないのだとしたら、彼は死にきれないと思います。殿を務めタのも彼があなタに胸を張って報告しタかっタのでしょう。『私は頑張ったよ』と」
ここまで話したところで、コッカは俯き小さく肩を震わせていた。
「あなたに何が判るんです。そんな出まかせを言わないでください」
「あなタは充分苦しんでいます。彼はそれを望まなかっタはず。あなタが彼を愛して、彼も同じじゃないですか?」
「そんな・・・」
「私はあなタのように人を好きになっタことがありません。そういったことは不器用で、よくわかっていないのです。だけど、あなタを見ているとそれは素晴らしくいいものだということは判ります。きっと素敵なことなんだと」
コッカはまた俯いた。
「あなタは幸せになっていい。自分のことを考えていい。私が言いタいのはそれだけです」
タコーの話に何も答えないコッカ。
タコーは身支度を始めた。
「ちょっと、薪を集めてきます。ついでに何か食料になりそうなモノも」
コッカは俯いたままだった。
= = = = =
タコーは森を歩き回り、薪を拾い集め小屋に戻ってきた。
コッカはいなかった。弓と矢筒が無かったので狩りに出たのだと理解した。
薪はいくら有っても困らないので何往復かすることにした。
途中でイモや根菜を見つけたので持ち帰る。コッカ用の食糧が何とか確保できた。
陽が落ちる前にコッカが獲物を持って帰ってきた。
血抜きは済ませていたらしくのそのまま捌き始めた。
湯を沸かし、肉とイモと根菜でスープを作る。肉の一部は炙り食べることを勧められた。
一緒に食事をとるようになって日が経つ。時間の流れが馴染んできたためか、もう何年も過ごしたような錯覚をしていた。
いかがでしたでしょうか?
少しコッカの過去が判明しました。
身分はまだ内緒です。
すみません。期待していただくとありがたいです。
続きをお待ちください。




