身に覚えのある躊躇
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
タコーは、かつて戦禍に巻き込んだ村に来てしまいました。
ではでは~
タコーの申し出が通る形で入国できた。
表向きは、商隊に雇われた医者とその助手たちという身分。
ビリオネラリラントの軍人ではないし、タコーの知識は、この世界で医者として通用したので、まあ無難な落としどころと言えた。
ただ、軍歴を尋ねられた場合は、正直に返答するように約束させられた。
ガリツァ百人長の意図は量りかねていた。
ほかの軍人が、彼のように表面的だけかもしれない友好的な態度ではないと思われた。
用意周到、襲撃されて、娘たちが危険な状態に陥らないとも限らない。
彼女たちが命を落とすことだけは回避しなくてはならない。
この場で、リフィを呼び出し、転移させることも考えたが、北の魔王の勢力下に入ってしまった今、リスクが大きすぎる。
リフィは、魔王の力に干渉してしまうらしい。
転移を知られれば、強制力が働き、元に戻ることを阻害されかねない。
そうなると図らずも発動する力に耐えられない娘たちは死んでしまう。
(無理にでも帰らせるべきだったな)
タコーは久しぶりに心底後悔した。
「閣下、もうすぐ因縁深い村に到着いたします。伝令を先行させておきましたので、できましたら村人にお声がけしていただきたい」
「あ、ああ。充分な謝罪もできないままだったからな」
「ハハハ。閣下がお味方でなくて残念です」
ガリツァは、タコーたちと相乗りした馬車の荷台で愉快そうに笑っていた。
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村は、平和そうだった。
タコーはホッとした。
先の戦で、この村は焼かれた。
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ビリオネリラント軍が再編が完了すると。ちょうどタコーの中隊が壊滅させた北方国軍の追撃に加わるように命を受けた。
ビリオネリラント軍の大部分はそのまま前進したが、大隊本部が独断で村を占領し居座った。
そして、この世界の占領軍として振舞い始めたのだった。
大隊司令官の千卒長は、活躍したタコーが気に入らなかった。
軍令部から派遣された実験中隊で新兵器を運用し、自分たちを退却させた敵軍を一方的にあしらい撤退までさせてしまった。
面目をつぶされ、苦々しい思いをさせられる。
憂さ晴らしに、村長を呼び出し村の備蓄された食料で宴会の準備をしろと伝えた。
北方国は鉱物資源に恵まれてはいたが、やや寒冷な気候のため、食料は常にぎりぎりだった。
宝石や金属は値打ちがあっても食えるわけではない。
村長が宝石を差し出すということで説得を試みたが聞き入れなかった。
見せしめに村長を袋叩きにするという暴挙に出た。
宴会は、ささやかなものだった。
収穫の後なら、まだマシだったかもしれないが、戦争で食料は徴収され、乏しい備蓄でやりくりするしかなかった。
千卒長は、本部付けの下士官に家畜を何匹か潰せと指示をした。
下士官はためらいなく一番大きな一角牛を屠った。
村は、貴重な農作業の動力を失った。
ビリオネリラントの暴挙はとどまらない。
村の収穫祭で奉納する果実酒を見つけ、酒盛りまで始めた。
酒が入ると戦の興奮から獣の本性が見え始める。
千卒長は村の娘たちを酒宴の場に連れてこさせた。
最初は歌や踊りだったが、酔いが回ってくると酌をさせ始める。
タコーが村に入ったのはこのころだった。
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日も落ち、野営場所を探しているところに村の灯りが見えた。
大隊規模の部隊が先行して安全を確保しているはずなので、原住民と交渉し井戸で飲料水を確保したかった。
「タコー殿、あれを」
タコーに助言をするため配属された女性支官があるところを指さした。
暴行された初老の男性が木に縛り付けられていた。
「私刑か?」
「計りかねます」
「とにかく手当をしよう」
「タコー殿、勝手な行動は慎んでください」
「リ、畏くも大公女殿下におかれましては、どのような施しをなさるとお思いですか?」
「解りました」
支官はタコーに従った。
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村にまた兵隊が来た。
一人は立派な騎馬だった。
手入れされた鎧は、先に着ている連中よりも上品に見えた。
もう一人は、耳長馬にまたがり見慣れない服装をしている。
凡庸な感じでおそらくは従者なのだろう。
二人は村の外れで馬から降りて、歩いて村に入ってきた。
鎧を着ているのは女だった。
縛られた村長を見つけたようだ。
女が剣を抜いた!
村長が殺されるかもしれない。
わたしたちは、たまらず駆け寄った。
= = = = =
「「「「村長を殺さないでください」」」」
初老男性の手当をしていると村民と思われる人たちがタコーたち二人を囲んでいた。
「この方は、村長でしタか。なぜ、このようなことに?」
タコーは、当たり前に疑問を口にした。
「あなた方です」
「? 軍ですか?」
タコーは村人の言葉がすぐに理解できなかった。
「しらばっくれるな!お前らが村でしたことを知らないのかよ」
まだあどけなさを残す少年が叫んだ。
「こ、こら。兵隊さんにそんなこと言ったら殺されるぞ」
「うっ」
少年は諫められ黙った。
タコーは、何が起きたかをなんとなく理解した。
(あいつが悲しむな)
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しばらくして、悲鳴が聞こえた。
「キャー、兵隊さんが殺されたー、誰か来てー」
いかがでしたか?
異邦人ゆえの日本人としての行動が、周りとの乖離を生みます。
次話をお待ちください。




