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カモミール〜逆境の中で咲く花〜  作者: くろくまくん


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13/17

ニゲルの真実

コンタクトに答えるため、外に出て会話をし、


そして、戻る時に宿の部屋から何やら光が見えた。



◯登場人物


ニゲル

24歳。闇属性。

中央都市リーウルスのC区画の雑貨屋で働く。


エミリア

38歳。光属性。

ニゲルと同じく、リーウルスのC区画のマッサージ店にて働いている。

 ん〜…やはりエミリアさんは何かある?


 それとも、同じような人の間違い?


 その時、建物の僕とエミリアさんが居た部屋の窓から、何か光が見えた気がした。


 光……? 彼女が何かしているのか? 僕は先ほどのコンタクトの会話のこともあり、彼女に対して更に警戒をすることにした。


 でも……もしエミリアさんが例のスパイだった場合。僕は彼女を……


「お待たせ。ごめんね、遅くなって」


 エミリアさんはベッドにちょこんと座って待っていた。宿の部屋に備えられていたであろう、ティーセットでハーブティーを淹れてくれていた。


「少しお腹空くかなと思って、さっき買ったパンと、カモミールティーを入れてたの」


「ありがとうね、少しお茶にしようか」


 僕は彼女の横に座り、サイドテーブルに置いていたお茶をゆっくり飲む。


「やっぱりいい香りだ。エミリアさんの香り」


 お茶の香りを嗅いだあと、彼女の香りも同時に嗅ぐ。


「あまり臭い嗅ぎすぎるとワンちゃんみたいになっちゃうよ」


 彼女もそう言ってお茶を一口すする。


「エミリアさん、僕……エミリアさんに言わないといけないことがあるんだよね」


 彼女は特に表情を変えることもなく、それを聞いた。まるで何かを知っていたかのように。


「王国騎士団は、日々腐敗の一途を辿っていた。それは何故か。騎士団の在るべき姿を見失っていたからだ。その腐敗を正すべき存在が必要だ」


 彼女は何も言わず、僕のことを見つめる。


「王国には光と闇がある。光は国を照らし、街を照らし、人々に輝きを、救いをもたらす。希望をもたらす。対して闇は、光に隠れ潜み、表に出ることはない。光が正義なのか? 闇が悪なのか?」


 僕は誰に言うでもなく、淡々と語る。


「光は王国騎士団。闇は王国の暗部。ただ元を正せば同じ王国の上層部からだ。その光と闇のバランスで王国は、街の秩序は保たれている」


 彼女は口を開いた。


「ニゲルくん……」


「僕は表の顔はC区画の雑貨屋の店員。裏の顔は……王国の暗部組織の一員だ」


 エミリアさんは、唾を飲み込んだ。ごくりという音が聞こえるくらい部屋は静かだった。


「エミリアさんは、もしかして……王国騎士団のスパイかな? 闇の組織の僕達のことを探っているの?」


 彼女の心臓の鼓動が聞こえてくるかのようだった。その鼓動が激しくなっているのを感じた。


「ニゲルくん……私は……」


 僕はカモミールティーを一息に飲み干した。そして、ティーカップをテーブルに置く。


「なんちゃって! 騎士団シリーズのお話みたいでドキドキしたでしょ?」


 彼女は驚く顔と、困惑した顔の間のような表情をした。


「冗談に決まってるじゃない。こんなのんびりした暗殺者いないよ〜」


 彼女はまだ戸惑っているようだ。


「エミリアさん。僕はエミリアさんのことを愛しているよ。それはもし、さっき言ったことがホントだったとしても。そして、エミリアさんが王国騎士団のスパイだったとしても、だ」


 僕は横に座っている彼女のことを抱きしめた。


「ニゲルくん……」


 ふと思いついた言葉があった。


「光は闇の全てを受け入れたもう。闇のもつ陰湿さも、孤独さえも。光は目が眩むほどの力ではなく、全てを包み込む包容力である」


 抱きしめながら彼女の耳に、首筋に、そして額に口づけをする。


「前に借りた本に書いていた言葉だよ。僕はエミリアさんのことを信じている。初めて会った時の気持ちに、嘘はないと」


 彼女は何も言葉を発することもなく、ただ僕に抱かれた。


 ただ、ただ狂おしい程に。



◇ ◇ ◇



 目が覚めると、日は沈み始めていた。


 二つ並んだティーカップの一つには、まだカモミールの香りが微かに漂っていた。


 彼女は……姿を消していた。



ニゲルはエミリアに全てを話す。


最後にそれは冗談だと言うが……?


そして、力尽きて眠ったあと、目が覚めるとエミリアは居なくなっていた。


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― 新着の感想 ―
わあ、ニゲルはとうとうエミリアに自分の正体(?)を茶化しながらも伝えたのでしょうか。 エミリアはどう思ったのか。 段々佳境に入ってきました。 続きが気になりますね。
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