仕方なかったと許されようと、なんてことをしてくれたと怒鳴られようと僕の心に後悔を与えるのだ。
僕は妹の体を精一杯治療する。
妹を抱きしめているのはハンナとニアさんに泣き顔を見られないため。
そして一瞬見捨てようとした妹の顔を見れなかったからだ。
僕は泣き顔と一緒に心の醜さを隠している、いや、せめて隠そうとはする。そういう人間と見られなければならない。
”心の醜さを隠す”それさえしないものを人は狂人とよぶのだから。
ハンナは僕の気持ちを察したのだろう、何も言わず事務的に、駆け足にもならずニアさんのほうへ向かう。ハンナは膝を折り倒れているニアさんに手をかざした。
魔法による容態の確認と何かできることはないかと探っている。
集中している。いや僕の方をあまり見ないようにしてくれている。
僕が声を上げす泣き止む頃になってもニアさんは目を覚まさない。皮肉な事だかそれが希望でもある。
命の精霊が魂をすり替えたのならこんな周りくどいことはしない。普通に目を覚ます。奴は意識不明にしたままにするほど酔狂ではない。
3人の友人は死んで別の魂を入れられた。
ニアさんはきっと大丈夫。
3人の友人だって既に別の魂が入れられた者が死んだだけで今が本人の可能性だってないとは言えない。
僕は?僕はどちらだろうか。
ウェンディの泣き腫らし顔はきっと僕は僕だと示していた。僕はそう思考する。
それでも震えはとまらない。確信は持ちようがない。
魂を入れ変えられても記憶も心も能力も元のままなのだ。
ハンナだってきっと不安だと思い僕はエリーの手を引きハンナの横に座る。
エリーは僕の恋人のハンナの前でまるで恋人に甘えるように寄りかかっている。
さっきまで気を失って倒れていたのだ、ある程度は仕方がない。
「ニアさんのお姉さんは僕の師匠だ、事情の説明の為にもここに来てもらおう。」
僕が裏切り続けた師匠、ずっと礼を逸した態度で接してきた師匠。そして僕はそんな師匠の妹も守れなかった。
弟子になり6年で5回も会っていない、それでも僕を破門しなかった。
彼女の送ってくれた課題は僕が一度しか提出せず、それも当時斜めに構えていた僕は義理で一度提出した等と言っていた。
彼女は僕の事を考えてくれていた事は出された課題をみればわかる。
そんな師匠に彼女の妹が呪いにより目を覚まさないことを伝えなければならない。
僕の斜めに構え、自堕落だった過去は形を変え僕の前に現れるつづける。仕方なかったと許されようと、なんてことをしてくれたと怒鳴られようと僕の心に後悔を与えるのだ。




