運命の魔法
最強の敵は僕の知る最強の魔術師ウェンディに匹敵するかもしれない。
大悪女サラは剣を使えば僕を簡単に殺す事が出来ただろう。魔法のみで攻撃するのは実力差を見せつけるためだろうか?
僕はもう彼等の本当の名前がわからない。
強力な魔術師に殺されればよくある事。
特徴だけが辛うじて記憶に残る。
僕が大悪女サラの意図がようやく読み解けた時には手遅れだった。
やつは僕達をまとめて始末したかった。
大悪女サラはハンナが来るのを待っていた。
ニアさんを逃がしてまだほとんど経ってはいない。
ハンナはきっと事情を察してニアさんの元にきた。通常の魔境ならハンナさんなら危機位は察せられる。
また魔境でなければ魔術師は世界中どこにでも一瞬で移動できるし、アイコンタクトでも全ての事情を伝えられる。
ニアさんをエリーの元に向かわせ苦しむ様子があれば薬を飲ませる。それくらいは出来ただろう。
ハンナは奇襲のつもりでサラを殴りつけたが、拳を掴まれる。
僕が魔法で気を逸らそうとしても全く気にする素振りもなく撃ち落とし、ハンナの拳を塵にかえた。
ハンナは一瞬苦悶の表情を見せた後、死の呪いが届かないように腕を捨てる。
勝ち目は無かった。
戦いにさえなっていない。
僕とハンナの体にサラの魔法が直撃している。
サラがその気なら僕には気づけず防げない魔法を出せたのだ。
「ハンナ、逃げて」僕はようやくそう言ったがハンナは既に肉体が消滅している。怒りはない。一瞬過ぎて怒りさえわかない。
そして僕も死ぬのだ。
僕が覚悟を決めたその時だった。
僕の失われたハズの手には太陽石が握られている。
狂錬金術師は太陽石に「娘を頼む」というメッセージを込め僕に渡した。投げる必要も僕の元に来る必要もない。彼のコアとなるべき太陽石。
狂錬金術師は心と、体の機能を消失していた。
太陽石は僕の腕を復活させる。
人造人間の魔法が僕にやどっている。
憎しみが憎しみを増大させる魔法。
人造人間が自らのの運命を憎むのろい。
かつてこの世界は5度滅びかけた事がある。
魔法使い伝わる伝承であり、どこまで本当かはわからない。
二体の精霊が世界を滅ぼしかけた。
一体は怒りを忘れさせない者、そちらは4度。
もう一体は何もしなくても世界を消滅させるもの。
こちらは一度だけ。
僕は結界を張る。気休めのためだ。僕は狂錬金術師から託された魔法を放つ。
”無垢の精霊たる何もしなくても世界を消滅させるものは命の精霊たる怒りを忘れさせない者と戦う運命にある。”という魔法だ。
魔法使いでなければ理解できない。
使いどころがあるように思えない効果。
ただ元から決まっている運命を述べるだけの魔法。
魔法使いだけがその意味を理解できる。
魔法使いだけが確信している。
僕の目の前のサラ「それが正解」と言って不気味に微笑んだ。




