表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/20

バスの運転手

キャンピングカーを深夜バス仕様にして走って一日、気が付いたことがある。

深夜バス仕様は、運転手が眠くならないような仕様がある。


いくら運転しても眠くならないし、足腰が痛くならない。


「これ、案外楽かも」


元々、走らせるのが好きだったので、非常に楽しい。

車内にて、四者は各々休んでいた。


「しかし、あの和室と言うのもよかったが、こういう感じもいいな。故郷を思い出す」


アリスは、談話室のソファーで本を読んでいた。

基本筋トレをしていたアリスにしては珍しい姿である。


「そうですね。この様な空間にいると、少しお洒落な気がします」


そう言って微笑むイリア。

どうやら、彼女らの故郷はこんな感じの家が多いらしい。


「う~ん。私はあんまりかな。床で寝れる和室の方が好きかも」


お前は寝る事しか考えてねぇじゃねぇか。

少しは働け。


「大吟醸を貰えないかしら」


ノリスは乗って早々日本酒を頼む。

コイツ、アル中になってないか?


そんなにぎやかだった談話室も、日が傾くにつれ、静かになっていく。


「む、もう夕方か。では私は風呂に入って寝るとしよう」


アリスの一言をきっかけに、皆部屋に戻っていった。


やがて、時間が過ぎ今は、深夜一時を超え、辺りは真っ暗である。

街を出て数時間は経つので、周りは草原と凸凹道のみだった。

先程、彼女らには、行先をかいてもらい、切符を渡した。面倒くさがっていたが、ごり押しで、これなくしたら下ろす、と言ったら喜んで受け取ってくれた。


そこで、初めて知ったのだが、彼女たちの行先はどうやら、グリンデル王国の首都、バルトと言うところらしい。バス仕様でいきなりついたナビで検索したらかなり遠いい。


と言うか、ノリス、この仕様について何も言ってなかった。と言うことは、後天的についたものなのだろうか。


それはともかく。

そのグリンデル王国自体、かなり遠かった。今は、大陸の端、その王国は反対側の端だ。

領土こそ大きいが、首都が端の方にあり、なお遠かった。


俺は真面目に運転をしつつ、少しワクワクするのだった。


==========

平原をただひたすら走っていると、ナビに反応が出た。

紅い点、つまり人がいることを指している。端末の端にあるので、ずいぶん先になるが、少し気になる。

既に三時を迎えた深夜に人影とは、現代感覚からしたら、ちょっと以上だ。それも、何もない平原でである。


カメラをズームにしてみると、身なりの良い女性が、顔を抑えながらへたり込んでいた。

靴は履いておらず、見るからに何かあったと分かる。


「おいおいおい、ここに来てこれって、ちょっと待ってくれよ」


この映像を見たからには、助けたくなってしまう。

どんな素性かも分からないが、こんな暗闇の、何もない草原で、一人の少女があてもなく突っ立っている。俺にはそう見えた。


やがて、少女を肉眼で確認できるところまできて、速度をゆっくりと落とす。

バスを少女の前で止め、扉を開く。


静かな談話室に、エアーの抜ける音が響く。


「特別バス、グリンデル王国行です」


扉の前に立つ少女は、明らかに同様していて、後ろに下がろうとしたとき、停留所の看板にあたる。

そこには、『ムリッツ平原前』と書いてあった。


だって、ナビにはムリッツ平原と書かれていたから、その前あたり、故にムリッツ草原前なのだ。


「御乗車になる方はいませんか?」


俺は、少女に存外に、乗れと伝える。


頭目では見えなかったが、少女の服装は汚れており、腕や足にもあざが目立った。

しかし、服はちゃんと着ているため、そのまま何かから来たのだと考えられた。


少女が立ち、ゆっくりと、数歩ずつバスに入っていく。

やがてすぐ隣まで来た少女は、中学生くらいの小さな少女だった。


「・・・・どちらまで?」


悪まで運転手と言う定で話しかける。


「・・・・・・・・・・ラッセル、首都ラッセルの聖堂」


端末で調べると、この先にグリンデル王国の前に、スパニワ王国がある、その首都がラッセル。

その聖堂と言えば、セリーヌ街の中央当たりだった。


俺は、そこを登録し、切符を発行する。

切符には、使える部屋番号までついている。

少女に切符と鍵をわたし、扉を閉める。


「・・・発車いたしまーす。お足もとにお気を付けください」


そのままは走り出すと、法所は少しバランスを崩すが、取っ手につかまる。


そのままバスを走らせていると、やがて少女が恐る恐る車内に入っていく。


さて、ここでこのバスの最も不思議且つ最も有能な機能をお教えしよう。


このバス、入れた材料や飲み物を増幅させるだけでなく、レシピや料理名を言えば、勝手に料理し、勝手に配膳してくれるという、ちょっと怖い代物なのだ。その機能を知ったのも、航海中の暇なときに、『料理したくな~い』なんて言ってたときだ。


だから、『ホットミルクを出して』と言えば、カップにホットミルクが入って出てくる。

この機能は、モンスターを丸呑みするキャンピングカーが、その素材でポーションを作ったのと同じ原理らしい。なんと、このキャンピング、人をダメにする気だろうか。


あいにくと、飲み物に関しては、前世で買い物に行かなくてもいいほど、たくさん買い込んでいたため、種類なら豊富にある。

端末を操作し、談話室の、少女の近くのテーブルに、手拭きと水、メニュー表を置く。


少女は、同様しながらも、その席に座る。


その様子を見て、まぁ、大丈夫だろう、と、俺は運転に集中することにした。


夜道は暗く、どこまでも草原が続いた。

いっそ不気味だった。


やがて日が昇る頃、一度トイレをしたくなったので、休憩所、と言う停留所看板だけだし、扉を閉めたまま、トイレに向かった。


談話室には、眠ったままの少女がいたので、先に彼女を部屋に連れて、トイレに行った。


その後、運転席から見たアサヒは、輝いて見えた。


個人の理由は知らんが、いいことってすると、きもちいいい!


追記

キャンピングカーの新機能は未知数である。

これは、ノリスが力を取り戻していくたびに進化していく。つまり、ノリスは、少しづつではあるが、力が戻ってきている。

天界に戻れるのもそれほど先ではないのかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ