その笑顔、良いね!
日が昇り、そろそろ5時になろうとしていた時、アリスが2階から降りてきた。
アリスは、未だに走っているバスにすかな駆らず疑問を持っていたようだった。
「・・・当夜殿?昨夜はちゃんと寝たか?」
「いや、寝てないな」
何しろ疲れないし、心地良いもんで。
「寝ないと作業効率が落ちるぞ?人間は、寝て食べて運動することで生きていけるのだ」
まぁ、確かに、一理ある。しかしながら、眠くない物は仕様がないし、疲れてもいない。
むしろ、もっと走らせていたい気分なのだ。
「まぁ、本当に疲れてきたら休むよ」
「ふむ、まぁ、それでいいだろう」
アリスはあいまいに返事をする。
「ところで、アリスはこれから朝の運動か?」
「ああ、日課のあれだ」
と言う事なので、一度バスを止め、扉を開ける。
ついでに窓も開け、寒気をする。
本当に疲れてない上に、やることもなく、運転席に座っているのもちょっと居心地が悪い。
なので、朝食を作ることにする。
朝は、卵焼きにポテトサラダ、ソーセージにベーコンである。
これが一番。ついでにコーンも添えて出来上がり。
皿を机の上に置き、紅茶を入れる。
五分くらいして出来上がったので、ティーカップとポットを机に運んでいると、すでにその席には昨日の少女が座っていた。
よほどお腹がすいているのだろう。朝食を前に、食べたそうにしていた。
ここはひとつ、バスの運転手として接することにする。
少女は、近づいてくる俺に気づくと、怯えを含んだ目で見つめてくる。
俺は、何事もないように振る舞い。
「こちら、朝食のハムエッグと、ダージリンティーです」
ティーカップに紅茶を注ぎ、丁寧に置く。
「・・・食べても、よろしいんですか?」
よろしいんですか、だと。
何と、ここに天使が存在した。
「どうぞ、お召し上がりください」
ひそかに感動しながら席を離れる。
運転席に戻った俺は、久しぶりに異世界に感動していた。
まさか、本当に存在したとは、天使いが。
いやいや、疑っていたわけではないんですよ?ただね?お嬢様がそんな、天使のようとか、ちょっと想像できないでしょ?
朝から良いものが見れたと思いながら、彼女が朝食を食べ終わるのをミラー越しに待っていると、バスに近づいてくるアリスを見て思い出す。
あ、あの子の事言ってなかったわ、と。
これはまずい。
このままでは、クールで優しいバスの運転手さんのイメージが崩れてしまう。
俺は、幻影で作った停留所の看板を片付けるておで外に出る。
「おいアリス、ちょっとこい」
「む?模擬戦か?望むところだ!!」
「ばっかちげぇよ!いいからこっちにこい!」
強引にアリスをバスの陰に誘導した俺は、昨夜の経緯を話、これを他の三人にも共有してほしいと頼んだ。
「当夜殿・・・君はなんて高潔な心情の持ち主なんだ。今日からは同志としてTOEやと呼び捨てにさせてもらおう!私の事もアリスちゃんで構わんぞ?」
「よばねぇよ」
「しかし、いやはや、当夜がそのような志の持ち主だったとは、正直、ノリスに手を挙げたり、人に任せたまま遊戯で遊んでいるダメ人間かと思ったが、あれは仮の姿だったのだな。怠惰の化身なんて思ってすまなかったな」
良し、コイツ、ここでおいてこうかな。どうせ自力で行けるだろ。
「しかし、スパニワ王国か、見たところやんごとなき身分のものだろう。私が国を出る前は、ちょうど反乱軍が鎮圧されたころだったが。今はどうなっているのだろうか」
う~ん。
きな臭い。
まったくもってきな臭い。
もしかしたら、住所に聖堂とか言ったのも、教会にほごを求めるとか、そんな話じゃなかろうか?
其れなら、今なお衣食住に困っていない俺が保護しても良いのでは?
正直、彼女は今なおもお嬢様なのだ。
いや、身分がとかじゃなくて、心が。
「まあ、と言うわけだから、他の三にも言っておいてくれ」
「ああ、任せて置け!」
尾言う事で、先手必勝を得た俺は、看板を消し、運転席に戻るのだった。
暫くして、時間差でアリスも戻り、扉を閉める。
いざ、出発しようとしたとき、くだんの少女から声を掛けられる。
「あの、先ほどの朝食。おいしかったです」
「・・・・ありがとうございます」
うん。
俺、毎日でも朝食作ろうかな。
今日の俺、絶好調だよ!
「・・発車いたしまーす」
クールを気取ろうとして、間を間違えた。
まぁいっか!
こうして、バスは再び走り出した。




