奇襲です
微睡みの中感じる緩やかな冷風。
背中にはフワフワな感触と腰の辺りの激痛。
「っは!」
そして目が覚めたら、夜だった。
目の前には暗闇の中茂っている木々。
既に一日が過ぎた為なのか、外は暗かった。
未だに状況が分からなかった。
「そもそも、ここはさっきいた場所なのか?」
確かめる術は無いが、これでも異世界転移した男だ。ここがまた別の異界だと言われても信じるだろう。それ程までに、ここ数日の体験は自分の常識を覆した。
しかし、その後にすぐに元の世界だと分かった。
周りに茂っている森は確かに昼間見た景色だった。
とりあえず、町が見える辺りまで近づく。
出ないと四人を拾えないからな。
つくづく不幸に会う自分が、ちょっと怖い。
で、やってきたわ良いんだが、誰もいない。
まあ、あんな飛行物体が飛んでる中、町で生きてる奴なんて見たら、即逃げる。
「う~ん、やっぱり、昨夜のうちにみんな逃げたのか?なら起こせよって感じだけど」
窓を開けて、周りを見る。
丁度平地と森の狭間の辺りだった。
静かな風音と、涼しい風。
地面を見れば四つのふくらみが。ん?ふくらみ!
「っておい!そこに誰かいるのっグハッ!」
いきなりふくらみが、立ち上がり、俺の口に草を入れてきた。
「モゴッ!モゴモゴモゴッ!!」
口に中から薬草を出そうと四苦八苦している間に、窓から侵入された。
っていうか、地面から窓までどれくらい高さがあると思ってんだ。
「ペッペッ、畜生!何しやがる!」
入ってきた侵入者を見れば、ノリスと他三名だった。
「お前ら、こんなところにいたのか」
草の中で過ごすって、すごいな。
総理大臣の次に尊敬してやるよ。
暫くして、ノリスが口火を切った。
「ちょっと、今の私たちを見てなんとも思わないの!」
ふむふむ。
草が体中にこびりついているため、車内が汚れている。
と言うか、なんかこいつら臭いぞ。
「とりあえず、風呂入ってこい」
こうして、ようやく、でもないんだが、合流できた。
「何があったんだ」
風呂上がりの三人を、畳の上に正座させて聞き取り中である。
「いや、昨夜魔族の奇襲があってだな」
まぁ、百歩譲ってそこはわかる。なんせ、魔族などと言う世にも恐ろしい生物の襲撃だ。まだそこは良い。だが、何故俺を置いていったかだ。と言うか、正門の隣に泊まってたんだから、起こすくらいできるだろ。
そもそも、魔族が悪いなど誰が調べたんだ?まあ、そんなことを辿っても誰も幸せにならんのだろうかrら、聞かないが。
「そ、それは申し訳ないと思ったのだが、魔族が当夜殿の乗り物を攻撃しても、びくともしていなかったので、大丈夫かと。なので、我々は先にとなり町に向かって町を出て、我々は、当夜殿がこちらに来るのを待っていたわけだ。だが、一度合流したはずなのだが、急に走り出して、焦ったのだぞ?」
なるほど。
納得は出来んが、理解はしてやろう。
急に眠気がやってきたのもこいつらのせいだろう。
多分。
ああ、してやるとも。こいつらは、要は勇者一行ってやつだろう。なれば、それなりのイベントが付きものなのだろう。そうでなければ劇にならない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
其れよりもだ。
「これからどうするつもりだ?」
俺の言葉に一番に反応したのはイリアだ。
「勿論取り返します。彼らの町を」
真剣な眼差しでそう言われると、こちらも言いにくいのだが。
「無理だと思うぞ?」
そもそも、何故俺がこんなことに悩まなければならない。
唯のタクシー親父の仕事じゃなかったのか?
まったく。
めんどくせーな、こんちくしょう。
「それでも、守らなければならないのです」
ああ、そうかよ。
まったく。
こいつらの送迎を受けた以上、乗りかかった船だ。
「畜生。で、作戦はあるのか?」
俺は苦虫を噛んだかをで三人に聞く。
一人、話についていけず、紅茶を啜る女ノリス。
もし捕まったら、コイツをおとりにして逃げよう。
こうして、三人と一緒に魔族から町を取り返すことになった。




