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灰色の鳥  作者: 伊川有子
番外編
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番外編・アダムの18禁的指南

ボーイズトークverです。こちらもR15注意。

アダムが執務室に入った途端、レオナードは恨みがましい目でアダムを見上げた。


「おい、レジーナがヴィラにいらぬことを吹き込んだそうだな」


「ああ、聞いた。マンネリだとか」


アダムは本棚に資料を戻しながら答える。レオナードの額にはピキッと青筋が。


「そういうことじゃない。ヴィラが変な気を回しただけだ」


性生活は十分上手くいっているしなんの不満もない。それはヴィラも同じはずだとレオナードは名誉回復のために釈明した。


「満足するしないの問題じゃないだろう。今よりもっと先があるのだと思ったのは事実だ」


そう言われてしまうとそんな気もしてくる。

レオナードは皺のできた眉間に手を当てながら机の上に肘を置いた。


「何をどうすればいいのかわからない。しかもヴィラの仕入れて来た知識は実践的でない」


事の詳細は聞いたものの、やってみたいのかと聞いてみたら彼女は顔を青くして激しく否定していた。


「いちいち許可をとっていたら進まない。やるなら無理やりするか意識のないときにすればいい」


「・・・・・」


言い返す気力も沸かずにレオナードは黙り込む。そもそも彼は全くもって悩んでいないのだから、無理やりする意味がない。

もちろん心情を察したアダムが話を続ける。


「無理やりでも進めれば向こうものってくるさ」


「いいや、それはお前の女が特殊なだけだ」


普通は怒られるか泣かれるかのどちらかだ。レジーナが特殊だと言われたアダムは心外だと口角を下げる。


「レジーナは普通だろう」


「それはない」


普通の女は涼しい顔で縄や青姦の話はしない。


「・・・とにかく、俺はヴィラの全てを知り尽くしている」


幸せなのだ。これ以上のものは望まないし、今までのやり方を変える必要はない。しかしアダムは異論を唱える。


「知り尽くしているのは“今”だ。開発すれば変わる」


「開発?」


「後ろの穴とか」


ボキッと音を立ててレオナードの握っているペンが折れる。仕事に半分意識をやっているアダムは固まっているレオナードに気づかず話を進めた。


「感じ方が違うらしい。ただし、レジーナはあまり嫌がらなかったが普通の女性は好まないかもしれないな」


「・・・」


「やはり何に性的興奮を得られるかだ。それは人によって違う。

レジーナは興奮がピークに達すると噛むんだ。可愛いだろう」


レジーナは蛇の魔物。彼女の顎の力で噛まれたらアダムでも血だらけになるはず。可愛いでは済まされない。

アダムの首元をよく見てみれば傷用のテープが張られている。


「・・・俗に言うMか」


「俺はどっちでもいける。彼女も。

ああ、でも魔物の姿でしたときは大変だったな。さすがにサイズが合わなくて痛がってた。あれは荒れた部屋の後始末が面倒だからもうしない」


話についていけないレオナードは目の前がくらっとした。


普通が一番。本当に、切実に。

















~おまけ~




「おい、あいつに変な入れ知恵したのはお前か」


今にも人を殺さんばかりの殺気を放ちながらアダムを睨みつけるのはルーク。偶然ドローシャの廊下で出くわした途端、アダムの目の前に立ちはだかる。


入れ知恵したのはレジーナであるが、ルークはあまり彼女と会わせたくないタイプの人種だ。アダムはわざと訂正せずに返答した。


「なにか問題でもあったのか」


「縄の縛り方がわからねえ」


積極的である。


ああ、とアダムは呟き、ルークから受け取った縄を縛り始める。


「もう少し柔らかいものがいい。あまり毛羽立っているものは普通の人間なら怪我をするかもしれない」


「わかった」


素直である。


縄の結び方から身体の曲げ方まで懇切丁寧に説明するアダム。


しかし。


「アダム、何やってるの?」


レジーナ登場。


上半身のみだがルークが縄で縛られているのを見て目を真ん丸にした。




「「・・・・・」」




「お・・・お邪魔しました・・・」


「レジーナ、待ってくれ」


回れ右して去っていくレジーナをアダムは慌てて追いかける。


「おい、待ちやがれ!これ外せ!」


そして縛られて手の自由を奪われているルークが慌ててその後を追いかけたとさ。








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