うたかたの夢
「はい。これも対戦型でして、優勝すると爵位が手に入ります」
「爵位なんだそれ?」
「まぁ一度勝てば一生働かずに生活できる権利にございます」
「そんな事言っても、目が覚めれば、全部消えてなくなるだろ」
「それはそうですが、ゲームに負けない限り、目は覚めません」
「つまり勝ち続ける限り、楽しめると……、それはゲームとゲームの間とかも、贅沢できたりするわけ?」
「もちろんでございます。酒や女、美味い食事、なんでもございます」
「酒は未成年だし飲まないけど、女って、可愛い子とかいるの?」
(ぱんぱんぱん)
宰相は手を叩いた。
美少女達がやってくる。
「うわ。まじで可愛い」
「選りすぐりの美女ばかり、もちろんタイプが違うのであれば、すぐにお取り替えを」
「うん。それは、別にいいんだけど。時間がなぁ」
「ですから、仮にここで一年遊んだとしても、目覚めれば、ほんの一日程度しか経っておりません」
「あぁ、そっか、そっか。しかし、すげぇな。そんな設定。なんかあったな……、漫画で。まいっか。夢だし」
「はい。うたかたの夢にございます」
「たかた……、まっいっか。それで、どんなゲームなんよ」
「こちらのボードに設定を入力していただくと、傀儡という人形が出来上がります。その人形同士が戦います」
「人形がな。自分でコントロールできるの?」
「それはなんとも……、我々もゲームの内容をよく知らないのです」
「マニュアルはないの?」
「そこの説明書のみです」
「過去の対戦データとかは?」
「ございません」
「なるほど。攻略法がないか……。って事は相手側もわからないんだよな」
「もちろん」
「じゃあ純粋にゲームテクニックだけって事か。いいじゃん」
「お気に召しましたか」
「おぉ。悪くはない。それで設定がはじかれるとかあるの?」
「説明書をお読みください」
「あぁ、そうか。読んでみる」
佐藤は説明書を読みだした。
「なんか食べるものないの?」
「ご用意いたします」
宰相は部屋の外に出て指示を出す。
数分して軽食のようなものが届いた。
「お食事にございます」
「じゃあ、食べさせてよ」
「かしこまりました。ではお口を」
宰相は佐藤に食べさせようとする。
「ちげぇよ。女の子に食べさせてもらいたいの」
「これは失礼を。では頼むぞ」
「はい。宰相様。ではアーン」
「はい。アーン。うん美味いな」
佐藤は食事をしながら、
説明書をじっくり読む。
「なるほどな。設定を書いて、無理ならエラーが出るのか。
ずいぶん親切な設計だな。
キャラメーキングし放題じゃん」
「では、私が必要でしたら、側の者に言って、お呼びください」
「うん。わかった。じゃあな」
「はい。失礼します」
宰相は部屋から出て行った。
美少女に囲まれながら、佐藤は考えていた。
どうやって、このゲームで勝ち続けて、このハーレム状態をキープするかを。
まず設定だな。物理的に無理な設定はエラーだろ。こいつら傀儡って言ってたな。操り人形のようなものか……、じゃあ指示通り動くって事か?
コントローラーで動かせないかな。書いてみよう。
『傀儡はコントローラーで動かせる』
どうだ。
『受理』
通った。
この程度なら良いのか。
じゃあ、
コマンドの組み合わせで、必殺技が使える。
『エラーコード4649』
だめか。
でも格ゲーなら、必殺技は使いたい。
どうしよ。
しかし魔法が使えるんだよな。
魔法も必殺技も同じようなものなのに……。
なんで駄目なんだ?
じゃあ、
コマンドの組み合わせで、魔法が使える。
これならどうだ。
『受理』
通った。
この世界の常識から外れない程度でなら良いのか。
なるほどな。
もしかして、必殺という言葉がダメなのかもな。
そうか……、
必殺技が必ず殺す技だとすれば、エラーが出そうだな。
じゃあ、
コマンドの組み合わせで、攻撃力の高いパンチが使える。
これならどうだ。
『エラーコード4649』
だめか。
ゲームの世界では、気を溜めてとかあるけど、
現実的に微妙だもんな。
まてよ。
設定がリアルだという事は、
強すぎる力だと、
拳が崩壊するから、
結局力を抜かないといけない問題があるんじゃね。
じゃあ、
力が255でも拳は無傷。
これはどうだ。
『エラーコード4649』
やっぱりか……。
よかった。
気がついて。
ここ設定つめとこう。
力が200でも拳は無傷。
『エラーコード4649』
力が170でも拳は無傷。
『エラーコード4649』
力が100でも拳は無傷。
『受理』
力が135でも拳は無傷。
『エラーコード4649』
力が120でも拳は無傷。
『受理』
力が130でも拳は無傷。
『エラーコード4649』
力が125でも拳は無傷。
『受理』
力が126でも拳は無傷。
『エラーコード4649』
なるほど……、
拳が無傷かどうかは125が境目なのか。
じゃあMAX125で、
少し余裕を見て、
ちょい下げるくらいのほうがいいかもな。
これがあるとすると、
素早すぎると、
足の腱が崩壊するから、
結局力を抜かないといけない問題まであるんじゃね。
まず素早さが255でも腱は無傷。
これはどうだ。
『エラーコード4649』
やっぱりか……。
なんだよ。この鬱設定。
これ素早さ255、力255で最強じゃんとかやったら、即死だよな。
自分の力で即死って罠すぎる。
これ多分バランス的に、
素早さが125でも腱は無傷。
『受理』
素早さが126でも腱は無傷。
『エラーコード4649』
やっぱりか……。
しかし、
ちょっと待てよ。
腱に負荷がかかっても、
避けないといけない場合とかないか。
素早さを255まで上げといて、
普段は125までで戦い、
いざという時に、
負担覚悟で、
200近いスピード出す。
楽勝だと思ったけど、
結構難しいな。
ちょっと、置いておこう。
体力……。
これは制限マックスでも問題ないだろうな。
知力……。
これは多分魔法だろうな。
もしかすると、
命令の実行度とかも関係してくるかもしれない。
アホだったら、命令に従わないからな。




