あっち側からすれば私の方が異世界人なんだな
「そういえば異世界人でしたね。首藤さんは。こちらと常識が違うところもあるのかもしれません」
白部先輩は言う。
「今の所、目とか髪の色が大きな違いに見えますけど、逆にそれ以外では差異を感じないですね」
「そっちの世界じゃどうなんだ」
「この国のほとんどの人が染めてない限り髪の色も目の色も黒だよ」
「それは…見分け辛そうだな」
「そういわれるとそうだな」
「とりあえず、こちらの呪いの常識で考えてみましょうか。呪いは誰かにかけられるものです。その意識がなかったにせよ、首藤さんは小さいときから自分は若くして亡くなると思っていた」
「ですね」
「ということは、首藤さんの自我が始まる前に呪いは掛けられていたんじゃないでしょうか。何か心当たりはありませんか?」
「自我の前は覚えてませんねえ…」
「ですよねえ…」
我々は行き詰った。
「私、実母を小さいときに亡くしてるんです。それが何か関係あるならって感じですよね」
「話がきければなあ」
眠そうに須和っちが言う。いろんな情報を急に取り込み過ぎたのだろう。
今日の所はここまでにすることにした。
「須和っち、白部先輩。ありがとうございました。ていうか巻き込んでしまって申し訳ない」
「最初に巻き込んだのは私ですよ」
「それは良いんです。大金を手にすることになったし、みすみす死ねないっていう自分の気持ちもわかりました」
「…私も、きっと須和くんもあなたを見殺しになんてしたくない。そうですよね」
「はい。そうです」
きっぱりと二人は言った。二人に私は本当に助けられている。
「本当は泣きながら二人をハグしたいところですが、その気持ちはグッと抑え込みますね」
「そうですか。それは少々残念です」
ふふっといたずらっぽく笑いながら先輩は言う。
「白部先輩!?」
二人は去っていった。その背中が見えなくなるまで見送った。二人がいなければ、どこかで心が折れていたかもしれない。本当にいい人たちだ。親の顔が見てみたいとこんな時に思ってしまう。
制服を脱いで、部屋着になる。
窓辺に頭をもたげると、そこから冷たさが伝わってくる。
「朝陽、真昼、小夜」
弟妹の名前を呼ぶ。彼らは私が10歳の時に生まれた。父が今の母と結婚して数年後の出来事だった。年が離れているせいか、何をしても可愛く、赤ん坊の時こそ大変だったが、大きくなるにつれ、よりかわいい存在になった。
私を産んだ母の事は正直よく知らない。写真では見たことがある。私によく似ていて、将来自分はこういう顔になるのかとネタバレを食らった気分だった。どんな人か父に聞いたら、静かな人だったと。じゃあ私のうるささは父似なのかといえばそうでもない。どこからきているんだこの性格は。
産みの母が私に呪いを掛けたのだろうか。私は憎まれていたのだろうか。産みの母の親族も知らない。そこに問題があったのだろうか。疑問は尽きない。
プン太が体に絡まってくるので撫でてやる。かわいいやつめ。
そこからちょっと勉強をして、春日井からメッセージが来ていたので、そのやりとりをしている途中に寝落ちした。




