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ソロで効率厨の俺は、配信者を助けてバズってしまう!〜形見の杖を奪って、勝ちヒロインを従順にしてみました〜  作者: 海の紅月くらげさん


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7/18

配信


 杖を返したその日は、疲れが出ていたルナを帰って休ませた。

 体力も精神も限界だったはずだ。俺にも配信の欲はあったが、そこまで急ぐ必要はない。焦ったところで、逃げるものでもない。


 そして、次の日。


 十階層へ向かう通路の途中、ルナは配信を開始した。


「みなさん、おはようございます!」


 明るい声が空間に響いた瞬間、視界の端にコメントが溢れ出す。


:ルナちゃぁぁぁん!!!!!

:心配したよ〜

:今日はパーティー配信じゃないの?

:うわぁぁぁん!【¥10,000】


 半透明のウィンドウが次々と展開され、文字と数字が滝のように流れていく。投げ銭の通知が点滅し、視界の端にちらつく。


 やっぱり、この配信機能は好きになれない。


 同時接続者数の数字が、千、二千と跳ね上がっていく。勢いは止まらない。ルナの整った顔立ちは、こうして配信に映っているだけでも注目を集めるのだろう。何もせずとも金が動くのも理解できる。


「心配してくれてありがとうございます。私は大丈夫です」


 ルナは柔らかく微笑み、丁寧に頭を下げた。配信慣れした声色に、安堵のコメントがさらに増える。


 個人配信の登録名は【ルナ《星月の旅団》】

 登録者数は十七万人。


「今日は星月の旅団としてじゃなく、ランダンを二人で攻略します。みなさんが大好きな、ボス撃破RTA配信です。同行者はソルさん!」


 俺の名前が出た瞬間、コメント欄の流れが変わった。ルナの視界に映った俺を見て、ざわめきが広がる。


:二人?

:男だ!

:俺のルナちゃんが!

:こいつアイツじゃね

:62階層にいたやつ!


 否定と期待が混ざった空気が流れる。


「お馴染みですが説明をします。十階層から十五階層までを最速攻略して競うリアルタイムアタックです」


「こんなものが人気なんだな」


 俺がぼそりと呟く。


「はい」


 短く返すルナの声の向こうで、コメントが荒れ始める。


:なにこいつ

:人気で悪いか!

:ルナちゃんのファン辞めます

:俺に62階層の腕を見せてくれよ


 ルナは一瞬だけ困ったように笑った。それでも配信者としての声色は崩さない。


「それでは、ランダン攻略を開始します」


 軽く一礼する。


 俺は何も言わず、歩き出した。


 石造りの通路に足音が響く。十階層は、埃っぽいのと豊富なトラップが特徴のフロアだ。薄暗い天井の隙間から落ちる光が、舞い上がる粉塵を淡く照らしている。


 数歩進んだ瞬間、気配が動いた。


 角を曲がった先に、蜘蛛のモンスターが三体。その中央に、通常個体の倍はある巨大な影がいた。


 十階層ボス、レックレンチュラ。


 先に動いたのはボスだった。口から吐き出された糸が腕のように伸び、空間を切り裂いて迫る。通常なら距離を取る攻撃。


 だが、俺は止まらない。


 短剣を抜く。


 一歩踏み込む。……と、すれ違いざまに刃が閃いた。


 次の瞬間、三匹の蜘蛛の眉間にある紫色の宝石のような核が連続で砕けた。


 大小関係なく蜘蛛の体が崩れ、光の粒子となって空間に散る。粒子はそのままアイテムボックスへ吸い込まれていった。



 コメント欄が一瞬止まった。


「早くこい。走るぞ」


「……は、はい!」


 呆然としていたルナが慌てて駆け出す。


:え?

:今なにした?

:はやくて見えね

:消えた


「俺の通った道をなぞるようにな」


「分かりました!」


 後ろをチラリと見ると、ルナは必死に走っているようだった。俺はルナの最高速度に合わせる。


 次の分岐。左。迷いなく曲がる。床の色が微妙に違う場所を踏み越え、罠を避け、段差を飛び越える。


:毎日変わるダンジョンのトラップを初見で?

:まじ?

:それしか考えようがない

:リハーサルでもしてるんじゃね


 再び敵。蜘蛛が五体。


 突っ込む。


 短剣の刃が閃く。外殻にも、入り組んだ糸にも触れない。眉間の核だけを正確に砕き、五体が同時に崩れ落ちる。後に残るのは、アイテムボックスの収集音だけ。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「頑張れ」


 それだけ言って、また進む。


:速すぎる

:ガチのRTAじゃん

:命が幾つあっても足りない

:マジで62階層の人だ


 十階層を抜ける。階段を駆け下り、間髪入れず十一階層へ。


 敵は無視。進路上のものだけを破壊する。止まらない。減速しない。


 ルナの呼吸が荒くなる。


「……は、速い……」


:ルナちゃんが置いてかれてる

:やばいタイム出るぞ

:友達呼んでくる

:みんなに教えないと!


 十二階層。

 十三階層。

 十四階層。


 すべて最短距離で通過する。無駄な戦闘は一切ない。進路上のボスだけを屠り、速度を維持したまま突き進む。


 やがて、最後の階段に差し掛かり、壁が蒼い魔鉱石に変わる。


 十五階層ボスへと続く階段を降りると、蒼い光が洞窟を満たしていた。フロアは狭く、逃げ場のない空間の中央に、巨大な影がひとつ。


 魔鉱石型ゴーレム、ランダン。


 人型の巨体。全身を覆う青い結晶が脈動し、胸部の核が強く輝いていた。


 ルナが杖を構える。


「ここからは私も加勢します!」


 俺は前に出た。


 一歩。


 踏み込む。


 巨体が腕を振り上げるより早く、懐に潜り込む。短剣を逆手に持ち替え、核へ突き出す。


 鈍い音。


 核が砕けた。


:え?

:あれ砕けんの?

:頭部撃破じゃないの?

:こんな攻略見たことない


 次の瞬間、巨体が動きを止める。全身の結晶がひび割れ、崩れ落ちる。光の粒子となり、アイテムボックスへ吸い込まれた。



 静寂。


 ルナの口が開いたまま止まる。


「……え?」


 そして、コメント欄が爆発した。


:は?

:終わった?

:一撃?

:嘘だろ

:歴代最速だ

:ドラグナイト3位に落ちたな

:化け物かよ


 頭上にデカデカとタイムが表示される。


NEW

【RTA 00:09:06】


 続けてランキングが浮かび上がった。


【ランダンRTA 世界ランキング】

1位【00:09:06】 ルナ《星月の旅団》

2位【00:49:38】 天翼の覇者

3位【00:50:04】 赤竜王騎士(ドラグナイト)

4位【00:53:27】 猫時雨

5位【00:55:35】 風紀螺旋(クリックス)


 過去最速を大幅更新。


 ルナが小さく息を吸う。青い瞳が俺を見る。


「これが……ソルさんの実力」


 コメント欄が、さらに爆発した。



【ルナ《星月の旅団》】

登録者数   21万人

同時接続者数 150,000







楽しかった! 続きが気になる! という方は☆☆☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!

作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!


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