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ソロで効率厨の俺は、配信者を助けてバズってしまう!〜形見の杖を奪って、勝ちヒロインを従順にしてみました〜  作者: 海の紅月くらげさん


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6/20

契約

 相当、美人な子だった。


 俺は言葉を失ったまま、ただ呆然と少女を見つめていた。


 息をするのを忘れていることに気づいて、ごくり、と喉が鳴る。


「……誰だ?」


 少女は一瞬だけ目を見開いた。だがすぐに落ち着きを取り戻し、俺の目をまっすぐに捉える。


「昨日、助けて頂いた者です」


 可憐な声だった。聞き覚えがある。


「……昨日、助けた?」


 記憶を探る。


 昨日、助けたのは一人しかいない。だが暗い洞窟の中では顔まで見ていなかった。声は可愛らしいと思ったが、まさかここまで整った容姿だとは思いもしなかった。


「あの……」


 青い瞳が揺れる。視線がわずかに伏せられ、ためらうように続く。


「杖を……返して欲しくて」


「母の形見だと言っていたか」


 俺は腕を組み、少女を見据える。整った顔立ちに気圧されないよう、意識して表情を固めた。


「俺を探す動機としては十分だが……どうしてここが分かった?」


「それは……」


 少女は一瞬迷ったように唇を結び、やがて意を決したように口を開いた。


「杖を防犯登録していて、位置情報が私に送られてきます」


「ほう……」


 思わず眉が上がる。


「今はそんな機能を武器に付けられるのか」


「はい。相手に贈る時には解除するのですが……昨日のあの場では、そこまで考えが至らなかったんです」


 申し訳なさそうに頭を下げる。銀髪がさらりと流れ落ちた。


「ごめんなさい」


「……まぁいい」


 俺は壁から背を離した。


「ここまで来たってことは……」


 頭を上げた少女は小さく頷く。


「はい。六百万ギル持ってきました」


 力強い声。


「大金だな」


「身の回りの物を売って、貯金をかき集めて用意したお金です」


 目の奥には決意があった。そして続ける。


「それだけ、あの杖は……私にとって凄く、凄く大切な物なんです。お願いします。返してください」


 疲れが滲んでいた。昨日から休まず動き回っていたのだろう。服も着替えていないのか、あちこちに泥が跳ねていた。


「その努力は買う」


「じゃあ!」


 少女の顔がぱっと明るくなる。安堵が広がり、柔らかな笑みが浮かんだ。


 だが、俺は首を横に振った。


「俺が欲しいのは金じゃない」


 笑みが止まる。


「……え?」


 俺は指を差した。


「お前だ」


 青い瞳が大きく見開かれる。


「お前の、権利が欲しい」


 俺は最底辺として生きてきた。


 奪われる側でしかなかった。

 何も持てなかった。


 だが、今回は違う。


 やっと、俺にも運が回ってきた。


「な、なんなんですか!? 権利って……」


「ああ、俺は最底辺(ノースレッド)だ」


 少女の表情が強張る。


「これを聞いて察せなかったら相当の甘ちゃんだぞ」


「あなたが……ノースレッド」


 小さく呟く。


「ということは……配信の権利が欲しいんですね?」


「分かってるな」


 俺は口元を歪めた。


「ノースレッド同士ではパーティーでの戦闘も禁止されている。だが、お前と組めばそれは適用されない」


「……一生付き合うのは無理ですよ」


「やる気になってくれるならありがたい。期限は俺一人分の市民権を手に入れるまでだ」


「一億ですか」


 少女の表情が引き締まる。


「そうだ。でもお前は俺の強さを知ってる。配信の投げ銭、高層階のモンスター素材、ボス討伐、スポンサー依頼……俺は何でもやる。損得で迷うなら心配しなくてもいい。金は折半で、これでどうだ?」


 少女はぎゅっと両手を握り、迷いが瞳の奥で揺れた。



 一拍、置く。



「……やります。お金の為じゃありません。杖を返してもらうために」


 そう、少女は決心するように呟いた。


「俺はソル。お前の名前は?」


 頭上に黒い穴を出現させる。空間が歪み、細長く裂ける。そこから杖が滑り落ち、左手に収まった。穴はすぐに閉じる。


「ルナです」


 俺は杖を差し出す。


「よろしくな、ルナ」


「はい。よろしくお願いします。ソルさん」


「解除しろ」


「はい」


 盗難登録を解除して、ルナは両手で杖を受け取ると、大事そうに抱え込んだ。


 銀の髪が揺れ、青い瞳が悔しそうにこちらを見る。


 その瞬間、俺たちの契約は成立した。




 ピピッ!……ピピッ!……ピピッ!……ピピッ!……。


【ソル専用の杖が盗難されました】

『持ち主に位置情報を送ります』







楽しかった! 続きが気になる! という方は☆☆☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!

作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!


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