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ソロで効率厨の俺は、配信者を助けてバズってしまう!〜形見の杖を奪って、勝ちヒロインを従順にしてみました〜  作者: 海の紅月くらげさん


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黒龍


 黒龍の肺が膨れ上がった。


 間に合った。配信者の位置情報は誰でも見れるからありがたいな。


「はいはい。ところでさ。……コイツ倒したら、いくらになるの?」


 俺の問いに返事をする者はいなかった。


「……ん? まぁいいや」


 無視されるのはしょうがない。女パーティーだし、異性が苦手な人もいるだろう。


「あとこれはやっとおかないと」


 パーティーが戦闘中、外野が倒してはいけないらしい。


【コラボ配信を承諾しますか?】


 俺は目の前の半透明なウィンドウを後ろの意識がある二人に投げる。


【天翼の覇者・ルナ《パーティー抜けました》のコラボ配信を開始します】


 するとすぐにコラボが始まった。これは『モンスターを譲ります』という暗黙の了解らしい。


 ルナが教えてくれた。配信は奥が深い。


 視界にコメント欄が出現する。


:誰?

:ルナ?

:知ってる! 62階の人だ

:誰?

:あ、62階層の


 チラリとだけコメントを見たが、


「俺も有名になったもんだ」


 雪原の空気が引きずり込まれる。地面にあった水が大量に舞い上がった。水は蒸気へと変わりながら黒龍の喉へと吸い込まれていった。


 喉奥の炎が漏れる。


 それは赤ではない。黒だ。

 闇が、燃えているようだった。


 炎がカッ! と鳴ると、空間そのものが軋み、雪原なのに汗をかくほどに暑くなる。


 雪原の地面が細かく震え、氷の表面に蜘蛛の巣のような亀裂が走った。


 黒龍の口が閉じて、俺を見下ろした。


 タメか。


「ブレスが来る。そこから動くなよ。守れなくなる」


 次の瞬間。


 黒龍が口を開く。


 すると世界が、黒に塗り潰された。


 吐き出された黒炎は、もはや炎ではなかった。

 光を飲み込み、空気を焼き、雪原を蒸発させながら一直線に大地を削り取る。触れた雪、触れた水が一瞬で消滅した。


 回避不能。


 逃げ場はない。逃げる気もない。


 黒が迫る。


:終わった

:全滅

:避けられるわけない

:天翼の覇者もここまでか

:やばいってこれ

:助けてくれ!

:お願いします

:流石に62階の奴も


 俺は短剣を逆手に持ち、地面へと突き立てた。


『ウッドリーリング』


 突き刺した一点から、木の根が爆発的に広がる。氷を砕き、雪を押し退け、地面へ食い込むように太く伸びる。根は幾重にも重なり、盾のように立ち上がった。


 黒炎が直撃する。


 轟音。


 木の根が瞬時に焼け焦げ、爆ぜる。

 だが、焼けるそばからさらに太い根が押し出され、炎に触れたそばから新しい木の根が芽吹き、黒炎の奔流を押し返すように盛り上がった。


 しだいに巨大な黒炎の奔流が、左右へと分断される。俺の立つ位置を避けるように黒炎が流れだした。


:え

:は?

:今何した

:ブレスを凌いだ

:意味分からん

:え?????

:止めた?

:フィナちゃんのスキル!

:何あれ

:木の根?

:こんな使い方初めて見た


 炎の勢いが無くなると、俺は短剣を引き抜き、軽く振った。盾となっていた木の根は炭となって崩れ、残った熱風が頬を撫でた。


「……熱がここまで来るのか」


 蒸気の向こうで、黒龍が息を吐く。


「鱗、硬そう。これ短剣じゃ無理だな」


 短剣をくるりと回し、アイテムボックスへ放り込む。


 代わりに、振り返った。


「おい、そこのレンジャー。弓と矢をくれ」


 猫耳の女がわずかに目を細める。


「……え、なんで、かな?」


「早く」


 黒龍の翼が広がる。吹き荒れる風が水を巻き上げる。

 猫耳の女は迷っていたが、弓を投げた。


 空中で受け取る。


「矢は何本いる?」


「一本で十分だ」


 矢を一本だけ受け取り、黒龍に向け、弓を引く。


貫通弓(ピアース)


 矢に光が宿る。

 放たれた瞬間、空気が裂けた。矢は直線の光となり、黒龍の胴を貫く。


 遅れて絶叫が上がった。


「グガァァァァアアアア!!」


八咫烏(やたがらす)


 視界が歪む。

 次の瞬間、俺の位置が矢の先端へと重なる。


 空中の矢を取って、もう一度、弓を引く。


『貫通弓』


 翼を射抜く。


『八咫烏』


 距離が消える。


 再び撃つ。


 喉。


 次は脚。


 次は腹。


 次は首。


 矢は放たれるたびに貫き、次の瞬間には俺がそこに立つ。空間が断続的に歪み、黒龍の巨体には穴が増えていき、絶叫は止まらない。



 黒龍を見上げて、顔を狙う。


『八咫烏』


 次の瞬間には、黒龍の頭上に立つ。


 黒龍を見下げて、黒龍の瞳と目が合った。

 そこには怒りも威厳もない。ただ恐怖だけがある。


 それだけは敏感に感じ取れた。


「終わらせてやるよ」


 弓を引き絞る。


 矢が光へと変質する。

 空間が歪み、一本の柱となって収束していく。


天穿つ一矢アルテミス・メルクレイシア


 放つ。


 光が走った。


 音はなかった。

 ただ一直線に、空間ごと削り取るような光景。


 次の瞬間、黒龍の姿が消滅する。


 雲は割れ、雪原に残ったのは、巨大な一直線の抉れだけだった。


 音と空気が、今さら気づいたように波紋のように広がった。


「はい終わり」


:消えた

:え?

:今のなに?

:50階層ボスだぞ

:は?

:意味がわからん

:最強すぎる

:誰だこいつ



【ルナ《パーティー抜けました》】

コラボ配信中

登録者    21万→56万人

同時接続者数 4,329,000







楽しかった! 続きが気になる! という方は☆☆☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!

作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!


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