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ソロで効率厨の俺は、配信者を助けてバズってしまう!〜形見の杖を奪って、勝ちヒロインを従順にしてみました〜  作者: 海の紅月くらげさん


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雪原

◇◇◇◇


 五十階層・雪原。


 世界は白に閉ざされていた。


 横殴りの吹雪が、雪を刃のように叩きつけてくる。風は悲鳴のような声を出し、視界を切り取り続ける。足を止めれば、瞬く間に膝が雪で埋もれる。立ち止まることが、そのまま死に繋がる環境だった。


 足場も最悪。


 氷と雪がまだらに広がり、踏み込めば滑り、また踏み込めば沈む。踏み出す一歩ごとに、まさに天然のトラップ。安定した場所はどこにもない。


 その中心に、黒があった。


 巨大な漆黒のドラゴン《バハムート》


 体から放たれる熱が、吹雪すら歪ませる。

 雪が溶け、雨へと変わる。落ちた雨粒は地面に触れた瞬間、氷へと変質する。


 氷の足場が増えると、その上から雪が積もる。


 戦えば戦うほど、環境は悪化していった。



 白い影が四つ、吹雪の中に立つ。


 耳飾りには片翼の刻印。装備はすべて純白で統一されている。

 攻略組トップパーティー《天翼の覇者》


 フィナが弓を引いた。


 黒い猫耳が風に揺れ、ブロンドのショートカットが舞う。金の瞳が吹雪の奥にいる黒龍を正確に捉えていた。


『ウッドリーリング』


 矢が緑の光を纏い、風を裂いて飛ぶ。黒龍の足元へと突き刺さった瞬間、矢が根を張った。木の根が爆発的に広がり、氷を砕き、雪を押し退け、地面へ食い込む。


 不安定な雪原に、強制的な足場が生まれた。


 フィナは続けて弓を引き絞る。


『百連激槍』


 一射が分裂し、数十、数百の矢となって降り注ぐ。雪を切り裂き、黒龍の全身を覆うように叩き込まれた。


 だが、バハムートは動かなかった。


 口をわずかに開いただけ。


 次の瞬間、カッ! と、吐き出された黒炎が吹雪を焼き払う。炎は風を無視し、直線的にフィナへと迫った。


 その前に、ノエルが割り込む。


 軽鎧に巨大盾。緑のショートカットが揺れる。


獅子の守り(ライオンハート)


 盾から黄金のオーラが噴き出し、獅子の形をかたどる。黒炎が直撃し、轟音とともにオーラが削られていく。消えない炎が、じわじわと守りを侵食していった。


 セレスが祈りを紡ぐ。


 白の聖職衣がひるがえり、赤いポニーテールが揺れた。


『ブレイド・エンチャント』


 赤い光がパーティー全員を包む。武器と体に攻撃強化のオーラが宿る。


 ノエルが黒炎を逸らした瞬間、ソフィアが前に出た。


 白の重厚鎧。両手に構えたロングソード。足場の木の根を踏み砕きながら一直線に突進する。


「ここまで来るのに三年」


 バハムートが翼を振るった。


 吹雪が爆ぜる。だが暴風は阻むどころか、ソフィアの背を押し、加速を与える。赤いオーラが膨れ上がった。


「悪いな! カウンタースキル」


 剣が振り上げられる。


「『リコイル・ジャッジメント!!!』」


 衝突。


 ソフィアの剣が黒龍の顔面を叩き落とす。衝撃で四肢が氷を砕き、巨体が伏せるように地面へ沈んだ。雪と氷が弾け飛び、白い爆煙が上がる。


 ソフィアはすぐに後退した。




「あわわ……やりましたね」


 ノエルがソフィアの前で盾を構え、震えた声を出す。


「三年分の一撃だ」


 ソフィアが息を吐いた。


「久しぶりに重いのを食らわせてやった」


 コメント欄が流れる。


:カッコイイ

:天翼の覇者強すぎだろ

:速すぎ!

:ソフィアさん流石!

:これが50階層か!

:勝った?

:いける!


 伏せていた黒龍の目が、ギラッと開く。



 瞬間。



「えっ?」


 ノエルだけが反応した。


 パリンッ! と、獅子のオーラが砕け散る。


 盾の中心から火花が弾け、直後、ノエルの体が盾ごと吹き飛ばされた。さらにその後ろにいたソフィアも巻き込まれ、雪と氷を削りながら転がっていく。


 黒い何かが通り過ぎた。

 風だけが遅れて、セレスとフィナの頬を打つ。


:今何が起きた!?

:ノエル!!!!

:ワンパンじゃん

:無理無理無理

:終わった


 セレスが叫ぶ。


『ファーストヒーリング』


 光が弾け、二人を包む。だが起き上がる気配はない。




《バハムート》が天翼の覇者パーティーに向き直り、口を開く。


 空気が歪む。


 雪も雨になり、それが蒸発していった。


 黒龍は空を仰いだ。パッと空を覆っていた雲が円状に消滅する。


 夜の星が戦場へと光を落とした。吹雪は消え、静寂だけが残る。あまりにも神秘的で、同時にあまりにも絶望的な光景に。


「終わった」


 フィナが掲げていた弓をだらんと下げる。


 カッカッと、黒龍の口から炎が漏れた。肺が膨れ上がる。



 コメント欄の流れも止まる。



:死んだ



 そう誰もが思った、その瞬間。


 短剣が宙を回った。


 白いパーティーの間を、気だるげに歩く男が一人。


 短剣を指先で受け止め、無表情のまま口を開く。


「はいはい。ところでさ」


 男は黒龍を見上げて呟いた。


「コイツ倒したら、いくらになるの?」


 それは場違いなほど、気の抜けた声だった。



【天翼の覇者】

登録者数   869万人

同時接続者数 2,950,000








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