第20話 爆裂!これが本当の爆破魔法
幹部による閉ざされた空間で、ヘルメスは金切り声に近い声を上げた。
「ダリア君!ダリア君っ!」
壁を強くたたいたり、爪を研ぐ様に壁を引っかいたりする。
それでも、幹部の女が作り出した空間はびくともしなかった。
「まずったな...おそらくダリア君とディエーゴ君。そしてゼーラが一緒だと思うけど」
魔法を発動しながら、アローネは言った。
「このレベルじゃあ、あの三人でも勝てるかわからない」
「じゃあ、急がないと...!」
歯を食いしばり、再び壁を叩く。
双方の本気をあざ笑うかのように、空間は静かに佇んでいた。
「一つ、方法がある」
アローネが言葉をこぼす。
「いいか?この空間はあいつが作っているものにすぎない」
つまり。
アローネの口角が、次第に上がる。
「魔力の揺れがあるということだ。その隙を突くぞ」
と。
!
魔法と魔法が交差し、激しい衝突音が響く。
焦げ臭いにおいが、鼻に入る。
オリベルと幹部は、互いをにらみつけていた。
(くそっ...!デバフがなければ...!)
眉を顰め、怪訝な表情を浮かべる。
怒りをあらわにしながら、オリベルを転移させ続けた。
しかしそれでも、幹部撃墜にまでは至らない。
「おい、アルゼーヌ。これが限界なの?」
冷や汗を額に浮かべて、オリベルは言った。
そんなわけない。
口がそう叫びたがっていた。
(デバフさえなければ...!)
現実というものは残酷である。
「これが、限界です」
「...わかったわ。それじゃあ、あなたは魔力をためておきなさい」
え。と、アルゼーヌ声を漏らす。
「それまでは、どうするんですか?」
「決まっているでしょう?」
口角を上げる。
そこには、確固たる決意が隠れていた。
「私は学園長。デバフを受けても、時間稼ぎくらいはできるわよ」
そして。
オリベルは言葉をつけ加える。
「たまった魔力で連続転移。そして、相手を翻弄するわよ」
と。
!
「っ...」
体を起こし、体制を整える。
ダリア以外、体に多数のやけど傷があった。
(転移に発動速度の速い爆破魔法...少し厳しいか?)
拳を握り締める。
勝利のビジョンが、霧がかかったようにぼやけていた。
(どうするればいいんだ...?)
自然と、苦笑いを浮かべていた。
「これだけは、使いたくなかった」
ディエーゴは平坦な声で、ぽつりとつぶやく。
杖を、ゆっくりと構える。
「ゼーラ...結界魔法で、あいつの転移魔法を封じてくれ」
「...ええ」
冷たい返答とともに、あたりが青白い結界で包まれていく。
男は、薄笑いを浮かべた。
「へぇ...。転移できる場所を制限したんだ」
でも...。
目を見開き、嘲笑する。
「でも、それでも結果は変わらない。広すぎるフィールドだよ」
「へっ」
ディエーゴは杖に魔力を集中させながら、言った。
「お前を片付ける方法が、ようやくわかったぜ」
「...!」
ゼーラは何かを察し、ダリアと自身。そしてディエーゴに防御魔法を展開した。
杖に集まる魔力は、徐々に膨らんでいく。
まるで、炎のように。
「ここしか移動できないんだろ...だったら」
「だったら、なんだっていうんだよ」
男の頬に、初めて冷たいものが伝う。
「だったら、ここ一帯を吹き飛ばせばいいってことだよな?」
杖に、本当の炎が宿る。
あたりの温度が、徐々に熱くなっているような感覚にダリアは陥った。
「出力最大...爆裂魔法!」
ズドドドドォォォン!!
焼けるようなにおいに、鼓膜を破ってしまいそうな轟音。
あたりは、一瞬にして土煙におおわれた。
土煙が収まり始めたころ。
煙の中から、一つの影が徐々に、そして鮮明に見えてきた。
「デ、ディエーゴ...!」
足早に駆け寄る。
体には傷一つない。
しかし、体はぐったりとしていた。
「ディエーゴ、大丈夫?」
手を添え、尋ねる。
ディエーゴは眼を細くしながらも、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「本気で撃ったからな...。さすがに魔力切れだ」
だが。
ディエーゴは言葉を付け足す。
「それで止まっているわけにもいかない。...先生たちと、合流...しなきゃな」
ハハハ。
乾いた笑いを浮かべて、ゆっくりと歩を進めた。
ダリアはようやく終わったかと、安堵の息を漏らす。
「行こうか」
ドスッ。
肉塊を深く刺すような音が、響いた。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
読者様には主人公が最強に成り上がっていく、そのさまを長い目で見守ってくれたらなと思います!
何かおかしな点があれば報告してください!通知が来たら爆速で書き直しますので(笑)
☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします!!




