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エリクサー

あの日から、俺はサタンを回復させるためにしばらくこの城に住むことになった。


ここ数日過ごしてわかったことは、

サタンは意外にも家庭的だということ。


ただ住まわせてもらうだけじゃ悪いので

城の掃除を申し出ると

「確かに埃っぽいや!掃除しよう!」と一緒にやるし……


食事を用意してもらうのは悪いから自分で用意すると伝えても、毎日「できたよー」と呼びにくる。

献立には何故か俺の好物が入ってることが多い。


汚れた服もいつのまにか綺麗になっている。


そしてずっと気になっているのは……


「今日……メニュー……ライ……好きな……ポト……と鳥の……焼き……だよ!」


今日はポトフと鳥のハーブ焼き……か?


今日は魔王城に住み始めで何日目かの昼食。


食事をとる時は決まっていて毎食その部屋で食べるんだけど……


俺は

ナイフとフォークを手に取り焼いた鳥を切り分けながら

数メートル先に座る魔王を見る……


いや、遠すぎんだろ!


食事をとる部屋のテーブルがとにかく長すぎる!


そしてお互い誕生日席に座ってるもんだから会話しようにも普通の声じゃ相手に届かないわけで


「なぁ!この机長くないか??二人っきりだよ!隣同士で良くないか?」


腹から声を出して問いかけた。しかしサタンは首を傾げている。


これは移動したほうが早いな。


俺は椅子から立ち上がり、皿を持ってサタンの隣まで向かった。


「どうしたの??」


サタンは移動してきた俺に不思議そうに問いかけてきた。


「2人しかいないし、隣で食べたらダメなのか?これじゃまともに会話もできない」


「ええ!?そっ……そっか。そうだったね。離れてたら話できなかったね」


魔王はなにかを思い出したようにポンと手を打った。#==以前にも勇者に同じことを言われた。離れすぎて会話ができないと

==#

「もしかして魔界では食事中話すのルール違反だったりする?」


「ええ!そんなルールないよ!」


「それなら、これからは隣で食べてもいいよな?」


「う……うん!もちろんだよ!」


パァと笑顔になったサタンの隣に腰を下ろし食事を再開する。


「なんでこんなに机長いんだよ?」


「先代の物をそのまま使ってるからわからないけど、確かにこの城には僕たちだけしかいないから小さいテーブルでも充分だね」


「あ、やっぱり他に誰もいないんだ?魔王城入った時からおかしいなとは思ってた。」


俺が仕入れてた情報では魔物や、四天王がいたはず。


「まあそれは色々あって、暇を出した。」


「ふーん」


あ、このポトフうまいな。


ここ数日、食事の時は無言だったからこうやって語り合いながら食べる食事は楽しい。


思い切って行動してみてよかった。


「あー!お腹いっぱい!ご馳走様。」


「今日もいっぱい食べてくれて嬉しいよ!」


食事が一区切りついたところで、俺は試そうと思っていたことを切り出す。


「今日はエリクサーを使ってみようと思うんだ。」


エリクサー 

HPもMPも全回復する高級品。

高かったが、魔王戦に備えて買っていたものだ。


まさか魔王本人に使うことになるとは。


「エリクサーも持っていたんだね。本数は一本だけかい?飲むだけでいいよね」


サタンは何故か本数を気にしている。

残念だがエリクサーは一本しかない。


大量のにあればこの前のポーションみたいな使い方もできたんだけど、なんせお値段が可愛くないもんで


俺はエリクサーを取り出し、コルクを抜こうとするが


「ふんっ!んーーー!」


硬くてなかなか抜けなかった。


おかしい。こんなに硬いか?


何度も踏ん張ってもビクともしない。


そんな俺をみていたサタンがエリクサーに顔を寄せる。


「そんなに厳重に蓋を——」


ポンッ!!


その瞬間、コルクが弾丸のように飛び、

見事サタンの目に直撃した。


「ゔわああああ!!!目が!!目があ!!」


目を抑えて痛がるサタン。


どこかで聞いたことあるセリフだな?

いやいや、そうじゃなくて!

はやく助けないと


そうだ!目薬だ!!


俺は急いで

アイテムボックスを開き探ってみる。


その間もサタンは「目が!開げれないよおお!」と泣いている


あ、そうだった。


俺の左手にはエリクサーがある。


「サタン!!今治してやるから、目を開けてくれ」


俺が慌てて声をかけると、サタンは震えながらも従う。


「うぅ……わ、わかった……」


目をそっと開いた瞬間――俺はエリクサーを彼の目に突っ込んだ。


「ちょっと!!痛い痛い痛い!瓶まで入ってるから!!!”目薬をさす”っていうけど比喩だから!」


サタンが目を閉じてしまった。しかし、まだエリクサーは残っている。


最後まで使わないと意味がない!


俺は暴れるサタンに飛びかかり、指で無理矢理目を開かせる。


「まだエリクサー残ってる」


「放せ!!やめろ!!この、馬鹿力!いやああああああああ!!」


——数分後


「エリクサーなんだから飲ませればよかったよね……」


床に突っ伏したサタンが、涙声でつぶやいた。


目薬が怖いからってあそこまで暴れるなんて思わなかった。


「サタン……魔王が目薬怖いとか知られたら笑われるぞ。流石にもう子供じゃないし、練習しとけよ」


「う……うん。わかった……わかったから、ちょっと黙ってて」


サタンはそういって動かなくなる。


あ、そうだ。忘れていた。呪いが解けているか確認、確認。


魔王 サタン レベル999

HP 1/9999


やっぱり、エリクサーでもダメだったか。


また別の方法を探すしかないな。






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