ポーション
今だにティータイム中の俺たち。
途中でケーキスタンドが追加され、
魔王は、ケーキをもぐもぐしている。
ケーキスタンドに用意されていたお菓子はほとんど魔王が食べていた。
甘いものが好きなんだな。
ケーキを口に運ぶ魔王を見ながらそんなことを思う。
っていやいや、それどころじゃない!
回復する方法を見つけるって言った手前ちゃんと方法を考えないといけない。
多分そう簡単なことじゃないんだろうけど……
ティーカップを口に運びながらそんなことを思う。
まあ、とりあえず回復といったらアレしかないよな。
「じゃあまずはダメ元でポーションを試していいか?」
「ポーションか!飲むのはいつぶりだろう」
勇者はもちろん、冒険者なら必須のアイテムだ。
「とりあえず、今俺が持ってるポーションがあるから。」
アイテムボックスから取り出して、今持っているポーションを全て机の上に置いた。
よくある普通のポーションだ。
「魔界産のポーションは質も味もあんまりなんだよ。人間界のポーションの方が質がいいらしいね!」
魔王の話を聞きながら、机に置いたポーションを一つとり、蓋を開けて魔王に渡す。
魔王はポーションを受けとると、瓶の中を覗き込むように一瞬だけ眺め──
そのまま一気飲み干した。
「おぉ!!全然まずくない!!おいしくもないけど!」
見た感じはなにも変わらないが……
魔王 サタン レベル999
HP 1/9999
うん、ステータスも変わってないな!
まあ、そんな簡単に行くとは俺も思っていない。
魔王は「やっぱりねえ」と肩をすくめる。
「まあ、そんなすぐ治ったら僕も苦労しないし。気長にいこうよ!」
「そうだな。魔王は今までなにを試してみたんだ?」
「あ!その魔王っていうのやめてよ!僕はサタンって名前があるの!君は?」
そういやまだ名乗ってなかったか。
「俺は勇者のライト。これからよろしく?」
俺が名前を名乗るとサタンはなぜか嬉しそうな悲しそうな。よくわからない表情をしていた。
「本当にライトなんだねぇ。」
「ん?どういう意味だ?」
「え、あぁ、いやいや!勇者ライトの噂は耳にしてたからね!会えてうれしいよ」
「俺の噂?どんな噂流れてんの?変なやつじゃないよな?」
歴代の勇者の中で最弱とか言われてたらどうしよう。
勇者に選ばれてから、訓練とかもなく少しの金銭握らされて旅に出されたから、まずは金を稼ぐとこから始まったし、ここに辿り着くまでだいぶ時間かかったし
「んーっと、そうだね。強くてー、かっこいい、勇者様みたいな感じだったよ。あはは」
「絶対、嘘だろそれ。そんで、今までなにを試したんだよ。」
「え、あ、うん。回復アイテム系と回復魔法はほぼ試したかな」
そこらへんは全部試してダメだったのか。
呪いとか言ってたし、回復と解呪の方向で探していったほうがいいな。
「でも試したのはもう何十年も前だし、今と昔じゃ回復アイテムや魔法も格段に質が高まってるし試してみる価値はあるかも」
空の瓶をいじりながら魔王は答える。
普通に使うんじゃなくて他のポーションの使い方はないだろうか?
せっかくたくさんあるのだし……
考えた末に1つの方法が浮かぶ。
「ポーションをつける……とか?」
「え?ポーションは飲むだけじゃないのかい?」
ポーションは傷口にたらすだけでも効果はある。
ただつけるだけじゃ変わらないだろうから……
俺はアイテムボックスから今ある全てのポーションを取り出した。
ここにある全てのポーションはバケツ一杯分くらいにはなるだろう……
「とりあえずバケツにいれてみよう!」
バケツをサタンに用意してもらい、その中にドボドボとポーションを入れていく。
サタンは「後もう少しだねえ」とバケツに呑気にポーションを入れている。
そして、バケツいっぱいに溜まったポーションを前に、サタンはのぞき込みながら眉をひそめた。
「全部入れたけど、どうするのこれ?」
「こうするんだよ」
俺はサタンの顔を勢いよくバケツに押し込んだ。
「ぶばばば!!!!ちょっと!!!なにするの!もう顔は洗ったってば!!」
顔はびしゃびしゃだが、水も滴るなんとやらだな。
「ステータスオープン」
魔王 サタン レベル999
HP 1/9999
「これでもダメっぽいな」
ステータスを確認するが、変化はなし。
まだバケツにポーション残ってるし、どうするか……
「いきなり突っ込まなくても、自分でできるのに!」
「いやぁ、ごめんごめん。なんか使命感でやっちまった」
「あー、もうライトのせいで髪の毛ぐちゃぐちゃだよお。」
サタンは鏡を取り出し身だしなみを整えている。
「あれ?ちょっとお肌ぷるぷるになったかも。」
本当かよ。HPは回復しないけど、肌はキレイになるんか。
さて、次の手を打つべく鏡に夢中になっているサタンの背後にバケツを持って忍び寄る。
「あれ?どうしたの?バケツなんか持って?」
「ん?次の方法を試そうと思って」
「え、なにその構え!?どうするの!?」
サタンがジリジリ後ずさるのを見て、俺は気合がはいる。
どうせならおもいっきりぶちまけてやろっと
勢いよくバケツを振りかぶると、サタンが必死に手を伸ばした。
「まっ──待っ……!」
バッシャーーーン!
見事、魔王に命中。
ポーションの甘い匂いと共にサタンの悲鳴が響いた。
しっかりポーションを被ってくれたようだ。
さて、効果はどうなっているかみてみよう。
魔王 サタン レベル999
HP 1/9999
変化なしか……。床もビシャビシャにしたし拭かないとなあ。
「やっぱりポーションでは無理そうだわ。」
「う…うん…そうだね。次はもう少し優しい方法で……よろしく……ックシュン」
「床、拭いとくから。着替えてこいよ。風邪引くぞ」
「君のせいだけどね!!」




