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傭兵隊長クセノフォン  作者: 世間の果て
第十二章:海だ(タラッタ)!
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石塚という名の在庫証明

 狂乱が別の形へとスライドする。絶叫に飽きた肉の塊どもが、今度は無意味な土木作業を始めた。

 足元の石を拾い上げる。凍てついた、ただの重たい塊。

 アークトス出身の重装歩兵が、自分の頭ほどある黒い岩を両手で抱え込んだ。男の腰椎が異常な角度でひしゃげる。ゴキリ。骨と骨の間のすり減った軟骨が完全に悲鳴を上げる音が、風のノイズの隙間に直接クセノフォンの鼓膜へねじ込まれた。男の顔面が苦痛で引き攣る。痛いだろう。ヘルニアだ。そのまま神経が完全に千切れればいい。だが男は岩を放り出さず、よろめきながら頂上の中央へ歩き、それをドスンと投げ落とした。石同士が激突する乾いた破砕音。一瞬の火花。その火花が、男の鼻毛の先端を焦がした。焦げた体毛の臭い。たまらなく不快だ。


 次々と石が運ばれ、積み上げられていく。

 ただの石の山だ。神々への感謝の祭壇。笑わせる。

 石塚の上に、奪ったペルシャ兵の丸盾が次々と放り投げられる。革張りの表面には、数ヶ月前にこびりついたペルシャ人のどす黒い血と、それを拭き取ろうとして塗りたくられた羊脂が酸化し、べっとりとこびりついている。腐臭。強烈な獣の脂の腐った臭いが、冷たい塩風に乗って鼻腔を直接殴りつける。ボロボロになった麻のチュニック。誰の血か分からない赤黒い染み。それらがただのゴミの山として乱暴に上乗せされていく。


 盾の裏側の持ち手。留め具の真鍮が一つ欠けている。なぜ欠けているのか。槍で突かれたのか、製造段階の不良品か。欠けた穴の縁に、乾燥した白っぽい泥が詰まっている。指でほじくり出したい。泥を削り落とせば、そこに何があるのか。ただの金属の地肌だ。無意味な衝動を、酸っぱい唾液とともに飲み込む。


「神々への感謝の石塚か。泣かせるね」

 横で石をサンダルの先端で蹴り飛ばしながら、欠けっ歯が鼻をすする。すすった黄色い鼻水が喉の奥に落ちる、ズルルというひどく湿った音。


「違う」

 クセノフォンの声帯が、勝手に空気を切り裂く。

「俺たちが六千キロ、自分たちの腐りかけの肉を完全に腐らせずにここまで運んできたことの証明書だ。ただの在庫の棚卸しさ。この石の重さが、俺たちの次の日当を決める」


 祈りなど存在しない。あるのは剥き出しの自己顕示欲。俺たちはこれだけ殺した。これだけ奪った。俺たちの肉体はまだこれだけ稼働する。だから買え。銀貨を出せ。

 石塚は、彼ら自身という商品の肉の値段を提示するための、醜悪な陳列棚にすぎない。


 別の男が、ペルシャの短剣を石の隙間に突き立てた。刃こぼれした青銅の鈍い光。柄に巻き付けられた革紐がほつれて、だらりと下に垂れ下がっている。その紐の先端が、風に吹かれてピクピクと痙攣している。死んだカエルの足。

 男たちはその悪臭を放つゴミの山を囲み、再び意味不明の咆哮を上げる。タラッタ。タラッタ。

 彼らは自分が何に祈っているのかすら分かっていない。ただ、自分たちがまだ生きた売り物であることを、この灰色の空と鉛色の海に向かって必死にアピールしている。買主などどこにもいない。

 神は沈黙しているのではない。最初から人間の肉の相場など見る気がないだけだ。


 クセノフォンは足元の小石を踏み潰す。

 靴底の泥が小石の角に削り取られ、足の裏の皮に鈍い圧迫感が走る。痛覚の伝達。

 在庫証明。

 一万個の肉の缶詰。賞味期限はとっくに切れている。飢えと寒さで膨張し、内側から腐敗ガスを吹き出している欠陥品の山。

 それを売りさばくのが、今のクセノフォンの残された機能だ。

 石塚の横で、トラキア人が自分の脛当ての泥を、黒ずんだ親指の爪でカリカリと削り落としている。カリ、カリ。その単調な摩擦音が、風の音も波の音も完全に掻き消して、クセノフォンの冷え切った脳髄を黒く塗りつぶしていった。

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