プロローグ7 ここはどこだろうか
嫌な想像をしてしまった結果、無言でその場に立ち尽くす形になってしまった綾に、何者かが苛立たしそうにしながら怒声をぶつけてくる。
「どうした!? 何故答えぬ!? このまま斬られたいのか!?」
「……ひっ!? も、申し訳ありません! で、ですが、その……」
「なんだ!? 早く話さぬか!」
「……申し訳ありません……私自身、南蛮暮らしが長かった為、一尺がどれぐらいのものだったのかを完全に忘れてしまっているのです……」
(……さあ、どうなる……?)
何者かから怒鳴られた綾は、なんとか頭をフル回転させて南蛮、という言葉を口にしていく。
これは先ほどの嫌な想像から、もしかしたら自身は戦国時代にタイムスリップしてしまったのかもしれない、という考えから出たものだった。
そうして口にした綾は、目の前の何者かがどのような反応を示してくるのかを注視し始める。
「……南蛮? 南蛮だと? お前は今、南蛮で暮らしていたと、そう言ったのか?」
「は、はい……」
「……ふむ……南蛮の者なら、そのような服装でもおかしくはないか……」
「は、ははは……」
何者かが、自身の話をどうにか信じてくれたと感じた綾が、安堵感から妙な笑い声を上げていく。
するとこうして笑っている綾に、少しの間何かを考えていた何者かが、考えがまとまったらしく声を掛けてきた。
「……ふむぅ……南蛮、か……」
「……ははは、はは……し、信じては、もらえませんか……?」
「……ふむぅ……そうだな……」
「……」
「……お前、名は?」
「……え? な……?」
「名だ! 名はなんと申す!?」
「な……あ! 名前ですか! 綾! 綾って言います!」
「ふむ、綾か……綾、わしと共に来い」
「……え? それは……」
声を掛けてきた何者かは、綾に名前を尋ねてくる。
この求めに応じた綾が名前を名乗っていくと、何者かは続けて綾に自身と一緒に来るように話してきた。
この言葉を聞いた綾が素直に応じて良いのかどうかで悩んでいると、何者かが刀に手を掛けながら、一緒に来ないようならここで斬り捨てる、と綾を脅してきたのである。
「……どうした? 何故返事をせぬ?」
「い、いえ、その……」
「……わしの言葉に従えぬようなら、ここでお前を斬る」
「ひっ!? な、なんで!?」
「お前が間者かもしれぬからな。疑わしき者は斬る。それだけじゃ」
「……間者……」
何者かの言葉を聞いた綾は、自身に選択肢は無いと悟った。
その為綾は、目の前の何者かの言葉に従い、何者かの後をついて歩いていく事を、多少嫌そうな表情をしながら聞き入れていく。
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