プロローグ5 接触
スマホのバグを疑い、電池残量の表示を凝視していた綾は、ふと視線を移して電波状況の表情に目を向ける。
すると電波状況の表示も電池残量の表示と同じく、∞の表示になっていた為、綾はますます自身のスマホに深刻なバグが起きている、という疑いを強めていった。
「……う~ん……スマホの画面表示のバグはどうやれば直せるのか……うん……? なに、これ……? 電波状況の表情も、電池残量の表示と同じように∞になっているんだけど……? え? もしかして、私のスマホに起きているバグって、私が思っている以上に深刻なものだったりするの……?」
綾はこのように呟きつつ、スマホの画面を見ながら周囲を歩き回っていく。
スマホの電波状況の表示が、今自分のいる場所が変われば電波状況の表示も変わるかもしれない、という期待を込めて。
しかしそんな綾の願いとは裏腹に、スマホの電波状況の表情と、ついでに電池残量の表示は、∞の表示から変わる事は一切なかった。
この状況に綾は頭を抱えてその場にへたり込むと、誰かこのバグをどうにかしてくれ! と全力で叫んでいったのである。
「……ぬうぅ~~……! さっきから十分以上この辺一帯を歩き回っているけど、電波状況の表示も電池残量の表示も全然変わらない……どういう事なの……!? あ~、もう!! 誰か! 誰でも良いからこのバグをなんとかしてよ!!」
「……む? な、なんだ、あの珍妙な出で立ちをした大男は……?」
「……うん? えっ、なに? なんなの、あの、やけに古臭いかっこした、ちっさいおっさんは……? なにかのテレビ番組のロケ? それとも、時代劇の撮影かなにか……?」
スマホを持って叫んでいた綾の姿を何者かが見つけ、その姿を凝視してくる。
一方の綾もその何者かの存在に気付き、綾もその何者かに目を向けていく。
その何者か見た綾が、その姿からテレビ番組のロケか時代劇の撮影だと考えるなか、その何者かが綾に声を掛けてきた。
「……そこの男! そこで止まったまま、動くのではないぞ!!」
「……うん? 男? えっ、誰? 私以外に、近くに誰かがいるの?」
何者かの声掛けを聞いた綾が、何者かの声掛けで近くに男がいると思って辺りを見回ていく。
すると綾の行動を見た何者かが、苛立った声を綾にぶつけてくる。
「何をしている、そこの男!?」
「……へっ? い、いや、男なんで、どこにもいないじゃないですか!?」
「なっ!? 何を言っている!? お前の事を言っているのに、男がいないと答える者がおるか!」
「……え? 私が、男……?」
何者かの言葉を聞いた綾は、困惑しながら何者かを見返していった。
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