プロローグ11 綾、なんとか許される
ひたすら土下座を続けていた綾は、いつまでたっても刀が振り下ろされない事に気付き、ゆっくりと顔を上げて何者かの様子を見ていく。
するとそこには、刀を手にしてはいるものの、先程まで放っていた殺気が完全に無くなっている状態の何者かの姿があった。
「……? ……斬られない……? どうして……? あ……」
「……」
「……斬らないのですか……?」
「……ふう……とりあえずはお主の、南蛮暮らしが長かった、という言い訳を聞く事にした」
「ほ、本当ですか!? あ、ありがとうございます!!」
「勘違いをするなよ? 一応大殿に確認するまでの処置だ。大殿にお尋ねし、大殿が許さんとおっしゃられた時はわしがお主を斬る。良いな? 覚悟をしておけ」
「……は、はい……」
なんとかこの場を生き延びる事が出来た綾は、何者かに感謝の言葉を伝えると、深く頭を下げていく。
そんな綾に何者かは、完全に許されたわけでない、大殿が許さなかった時は自分が綾を斬り捨てる、と宣言していった。
この宣言を受けた綾は、まだ自分がいつ斬られてもおかしくない状態が続く事に恐怖すると共に、どうやれば自分がこの戦国時代で生き残る事が出来るようになるのかを考え始める。
(た、助かった……まだ殺される可能性が残ってはいるけど、なんとか助かった……でも、これからどうしようか……なんとか私が毛利家の役に立つ事をわからせていかないと、何回でも殺されそうになっちゃう……それは嫌だから、私の知っている情報で私の立場を悪くしない物は、出し惜しみしないで話すようにしていかないと……)
「……おい、もうすぐ城内に入る。あまり呆けているなよ?」
「……え? あっ、はい!」
考え事をしながら吉田郡山城に向かっていた綾は、城に入ると何者かに声を掛けられた事で考え事をするのを止めていく。
そうして何者かに続いて吉田郡山城城内に入っていった綾は、先程までとは別の考え事を始めていった。
(……それにしても……大殿……大殿か……さっきのこの人の反応からすると、まだ毛利家の総大将は元就様だよねぇ……? でも大殿と呼ばれているという事は、普通の殿もいるはず……そうなると元就様は嫡男の毛利隆元様に家督を譲ってる? そうなると、今って何年なんだ……?)
「……あの、すみません……」
「……む? どうした?」
「ああ、いえ……少しだけ、一つだけとても気になっている事がありますので、その質問をしたいなぁ、なんて思っているのですが……」
「……質問? なんだ?」
綾の言葉を受けた何者かは、不思議そうな表情で綾の質問を聞いてみる事にする。
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