もう1人の俺
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、
レン自身と向き合う回です。
白の塔編もかなり終盤に入り、
派手な戦闘だけではなく、
キャラクターの内面にも踏み込んでいきます。
そして今回、
黒いレンがかなり嫌なところを突いてきます。
でも、
だからこそ今のレンが見えてくる回になったと思います。
それでは、第64話。
よろしくお願いします。
「よう」
黒いレンが笑う。
レンの顔で。
レンの声で。
でも。
決定的に違う。
「……」
「……」
数秒の沈黙。
そして。
「やっぱ俺あんな顔しない」
レンが真顔で言った。
「そこ!?」
ミアが叫ぶ。
「いやだって怖いじゃん!」
実際怖い。
自分の顔でニヤニヤされるの。
普通に嫌だ。
すると黒いレンが肩をすくめた。
「ひでぇなぁ」
「お前誰だよ」
レンが剣を構える。
黒いレンは笑う。
「俺はお前だよ」
「絶対違う」
即答だった。
フィオも静かに頷く。
「似てない」
「フィオ!?」
黒いレンがショックを受けた顔をした。
なんでだ。
「レンもっと間抜け」
「フォローになってない!!」
するとリオンが吹き出す。
久しぶりだった。
本当に久しぶりに。
心から笑った気がした。
でも。
黒いレンの笑顔は消えない。
「なあレン」
低い声。
「本当にそう思うか?」
空気が変わる。
「……何が」
「お前さ」
黒いレンが近づく。
「勇者になりたかっただろ」
静寂。
レンが固まる。
黒いレンは続ける。
「ハーレムだって欲しかった」
「うっ」
「最強になりたかった」
「うっ」
「選ばれたかった」
「うっ」
全部刺さった。
レンは頭を抱えた。
「やめろ!!
過去の俺を掘り返すな!!」
ミアたちが微妙な顔になる。
否定しないんだ。
「でも事実だろ?」
黒いレンが笑う。
「なのに今のお前は何だ?」
空気が冷える。
「主人公でもない」
「選ばれてもない」
「百合に挟まれてるだけ」
「最後だけおかしくない!?」
レンが叫ぶ。
しかし。
黒いレンは笑わない。
「悔しくないのか?」
静かな声。
その瞬間。
レンは黙った。
昔なら。
たぶん悔しかった。
でも。
今は。
「……まあ」
レンは頭を掻く。
「最初は悔しかった」
黒いレンが笑う。
だろ?
そう言いたそうに。
でも。
「今は別に」
静寂。
黒いレンの笑顔が止まる。
「は?」
「だって」
レンは後ろを見る。
ミア。
フィオ。
リオン。
三人ともそこにいる。
「結構楽しいし」
黒いレンが黙る。
レンも少し笑った。
「勇者じゃなくてもいいかなって」
それは本音だった。
すると。
リオンが小さく笑う。
「レン」
「ん?」
「それ主人公みたいな台詞」
「やめろ恥ずかしい」
ミアも少し笑った。
フィオも頷く。
「レンらしい」
黒いレンは黙っている。
その顔。
少しずつ崩れていく。
まるで。
存在できなくなっているみたいに。
「……理解できない」
低い声。
そして。
ドクン。
心臓が大きく脈打った。
同時に。
部屋の奥から。
巨大な黒い影が立ち上がる。
今度は誰も笑わなかった。
だって。
それは明らかに。
今までで一番ヤバかったから。
第64話、ありがとうございました。
今回の主役はレンでした。
最初の頃のレンって、
* 勇者になりたい
* 最強になりたい
* ハーレムほしい
みたいな、
ある意味すごく分かりやすい男の子でした。
でも旅をして、
* ミア
* フィオ
* リオン
と出会って、
少しずつ考え方が変わってきています。
だから今回、
「結構楽しいし」
という言葉が出ました。
レンらしい、
すごくシンプルな答えです。
難しい理屈じゃない。
でもたぶん、
黒いレンには一番理解できない答えでした。
そして今回好きなのは、
「百合に挟まれてるだけ」
です。
完全に事実なのが困る。
あとフィオの
「レンもっと間抜け」
も好きです。
フォローなのか悪口なのか、
たぶん本人も分かってません。
そして最後。
黒いレンは消えかけました。
でも。
それは終わりじゃありません。
むしろ本番はここからです。
心臓の部屋の奥。
今までの黒騎士や霧喰いとは比較にならない存在が、
ついに姿を現しました。
白の塔編、
そして第1シーズンも本当に終盤です。
もし楽しんでいただけたら、
評価
ブックマーク
感想
などいただけると本当に励みになります!
「レン成長したな」
「黒いレン好き」
「リオン守りたい」
「フィオ強い」
「ミアかっこいい」
など、
一言でもめちゃくちゃ嬉しいです!
いつも読んでくださってありがとうございます!
次回もよろしくお願いします




