心臓の部屋
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、
白の塔編の核心へ踏み込む回です。
ついに辿り着いた、
“心臓の部屋”。
そして、
今までの事件の裏にあったものが、
少しずつ姿を見せ始めます。
ホラー。
シリアス。
そしてレンらしさ。
全部詰め込んだ回になりました。
それでは、第63話。
よろしくお願いします。
ゴゴゴゴゴ……
巨大な扉が開いていく。
白の塔全体が震えていた。
「いや絶対入っちゃダメな部屋だろ」
レンが真顔で言った。
「名前からしてダメ」
「でも行く」
フィオが即答する。
「だと思ったよ!」
レンは半泣きだった。
すると。
リオンが小さく笑う。
さっきまで苦しそうだったのに。
「レン」
「ん?」
「ありがとな」
静かな声。
レンは少し照れた。
「……今言うなよ」
「今だから言うんだろ」
その時。
巨大な目が再び開く。
『白の巫子』
「行かない」
リオンが即答した。
『――』
「俺は俺だ」
静寂。
巨大な目が揺れる。
まるで理解できないとでも言うように。
「ほら」
リオンが肩をすくめる。
「やっぱ話通じない」
少しだけ。
いつものリオンが戻っていた。
レンは安心した。
するとセレナが前へ出る。
「行きましょう」
全員が頷く。
そして。
扉の向こうへ足を踏み入れた。
その部屋は。
異様だった。
「…………」
「…………」
「…………」
誰も言葉が出ない。
広い。
あまりにも広い。
そして中央。
巨大な赤黒い塊が浮かんでいた。
ドクン。
ドクン。
ドクン。
脈打っている。
本当に。
心臓だった。
「うわぁ……」
レンが引いた。
「想像以上に心臓だった」
ミアも顔をしかめる。
フィオは静かに魔力を探っていた。
そして。
「……これ」
珍しく声が震える。
「街一つ分の魔力ある」
静寂。
「は?」
レンが固まる。
「街一つ?」
「うん」
「ラスボスじゃん」
その時。
ドクン。
心臓が大きく脈打った。
同時に。
無数の声が響く。
『助けて』
『帰りたい』
『怖い』
『いやだ』
レンの背筋が凍る。
「なっ……」
聞こえる。
心臓の中から。
誰かの声が。
「これ……」
ミアが顔を青くする。
セレナは目を閉じた。
「消えた人たちよ」
静寂。
全員が固まる。
「え……?」
レンの声が震える。
「霧喰いにされた人たち」
セレナは苦しそうだった。
「魂だけ残されているの」
ドクン。
心臓がまた動く。
その度に悲鳴が聞こえる。
レンは剣を握りしめた。
怒りが湧く。
怖さよりも先に。
「……最低だな」
その瞬間。
部屋の奥。
黒い影が立ち上がった。
人の形。
でも違う。
黒騎士より大きい。
霧喰いより濃い。
そして。
その顔は。
レンだった。
「…………は?」
全員が固まる。
黒いレンが笑う。
「よう」
自分の声。
でも違う。
冷たい声。
「会いたかったぜ」
レンは真顔になった。
そして。
「俺、あんな顔しない」
第一声がそれだった。
第63話、ありがとうございました。
ついに出ました。
塔の心臓。
今まで名前だけ出ていた存在ですが、
実際に見てみるとかなり気持ち悪い。
作者も書きながら
「うわぁ……」
ってなってました。
そして今回の大事なポイントは、
霧喰いに消された人たちは、
本当に消えていたわけじゃなかった
ということ。
だからこそ、
レンたちが戦ってきたものの重さも、
ここで一気に変わります。
そして最後。
黒いレン。
この作品で初めてと言っていいくらい、
レン自身へ向けられた敵です。
しかもただの分身じゃありません。
レンの中にあるもの。
レン自身も気づいていない部分。
そういうものを映した存在です。
なので次回からは、
剣や魔法だけじゃない戦いになります。
あと今回好きなのは、
「俺、あんな顔しない」
です。
目の前に自分のコピーが現れたのに、
最初の感想がそこ。
めちゃくちゃレンらしい。
そして白の塔編、
いよいよクライマックス目前です。
ここから第1シーズン終了へ向けて、
一気に加速していきます。
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いつも読んでくださってありがとうございます!
次回もよろしくお願いします




